竹越院長コラム「妻だけにはED」

代表的なEDのタイプ「妻だけにはED」

9. 妻だけにはED

妻だけにはED

「俺は仕事とSEXは家に持ち帰らないから」
こんなことをうそぶく男性が、40代になると多いようだ。妻以外の女性とは何の問題もなくSEXできるのに、妻とはできないのがこのタイプで、心因性EDのパートナー関連型の典型である。パートナー関連型のEDは、前出の国際インポテンス学会のED分類試案では、

  1. 特定の関係では興奮しない
  2. 特定の好みにより興奮しない
  3. パートナーとの葛藤で中枢性の抑制

この3種類に分かれる。「妻だけにはED」は、@.) に該当する。このタイプのED患者は、結婚後一定期間を経た40歳以上の中高年に多いが、その理由は多岐にわたる。ちなみに、B.) の夕イプのEDはパートナーの性格がきつかったり、物言いが乱暴だったりというような直接SEXとは関係はないが、嫌な部分を疎ましく感じ、本人も気づかないうちに性欲を司る性中枢を切ってしまうことで発症する。常にスイッチがOFFになっているので、相手がどんな女性であっても勃起しないどころか、性欲を催すこともない。

話を「妻だけにはED」に戻そう。もっとも多い理由は、妻を女性として見られなくなっているケースだ。日本人男性は長い間、連れ添った妻を家族、もしくは母親としてしか見られなくなり、妻を対象にしては性欲が湧かなかったり、性的興奮を得られないという人が多い。一方、妻の側も結婚から年月を経ると、家事に追われたりで、身だしなみにも気を使わなくなり、夫としてはそんな妻に性的興味を持てなくなってしまうわけだ。また、結婚生活が長くなり、単純に妻に飽きたからというケースも多い。妻以外の女性とSEXしてみたいという夫の浮気心が働いているわけだが、そもそも「妻だけにはED」は、妻以外の女性相手のSEXでは勃起するわけだから、その意味においては、このタイプのED患者は少なくとも一度は浮気の経験があるということになる。日本はセックスレス大国であると述べたが、家庭内ではセックスレスでも、外ではそうでないという男性も多い。このような男性は「妻だけにはED」の可能性が高いのだが、妻とはセックスレスなのでEDの自覚がない場合がほとんどである。当人にとっては、問題はないのだろうが・・・・・・。

このタイプのEDは子づくりも原因となることも少なくない。仕事に疲れて帰宅すると、開口一番、妻が「今日は排卵日なの」と切り出し、食卓には生卵やニンニクなどの強精料理が並ぶ・・・・・・と嘆く複数の患者さんの声を聞いたことがある。また、両親から「早く孫の顔を見せて」と言われ続けてEDになってしまった患者さんもいる。子づくりのプレッシャーが心因性のEDを招いているわけだ。子供が欲しい妻の気持ちもわかるが、これでは夫は種馬のようなものだ。妻が子づくりを迫れば迫るほど、夫のペニスは萎えていくわけで、実に皮肉な構図のEDとも言える。このタイプのEDは結婚してから間もない若い男性に多いが、昨今の晩婚化の影響や高齢出産の増加から中年男性にも増えている。後者の場合、高齢出産というタイムリミットがあるので、妻の焦燥感も手伝って夫に執拗にSEXを求めることになる。この場合、男性は妻とのSEXをより拒絶するようになってしまうので、EDが顕著に表れるようだ。

一方、「妻だけにはED」とは逆に、「妻以外ではED」という男性もいるようだ。妻以外の女性とSEXに及ぼうとした際に、どうしてもペニスが勃起しないというケースだが、「いけないことをしている」という罪悪感や、「妻に怒られる」という恐怖感が勃起を妨げている。筆者の見立てでは、こちらはEDとは言えないのではなかろうか・・・・・・。