バイアグラに関するニュースインド版バイアグラ 危険な取引の実態とは 2015.10.01 thu

浜松町第一クリニック竹越昭彦院長監修

2014年、日本でもED治療薬「バイアグラ」のジェネリック医薬品が解禁となりましたが、インドでは世界的な特許期限が切れる前からバイアグラのジェネリック薬品を合法的に製造販売しています。これは、インドの特許に対する考え方が世界とは全く異なるためですが、現在このジェネリック医薬品産業は、インドを支える一大産業へと成長しています。

インドを潤すジェネリックED治療薬

ファーマトラック社の市場調査によると、インド製薬業界で「精力剤および若返り薬」カテゴリーの売上は2015年第1四半期だけで約84億円と、同時期にファイザー社が全世界で販売したバイアグラの売上の約2割に匹敵する額となっています。

インドのED治療薬は正規品の約40分の1と安価ですが、利益率は40パーセント以上ともいわれ、大きな利潤をインドにもたらしているのです。

インターポールも動く 世界中で摘発される違法取引

国際刑事警察機構(インターポール)は今年、違法医薬品ネットワークの解体を目的に、世界115カ国の236機関と協力し「パンゲア」と呼ばれる取り締まりを行いました。

グーグルやVISA、マスターカードなどの民間企業も協力し、約1週間の集中取り締まりを行いましたが、結果は違法薬品約97億円分の没収、156件の逮捕、2400件のウェブサイトの閉鎖となりました。この際に、差し押さえられた小包の発送元としてインドがワースト1位であることが明らかとなりました。

しかし、実店舗に比べてオンライン取引の取り締まりには難しい部分も多いようです。各国の法の目をくぐり抜けて、今もなおインドからの違法な取引が続けられています。

法の目をくぐり抜ける スイスでの輸入実態

EUに加盟している欧州では、個人使用のための医薬製剤を欧州経済地域(EEA)外の国から通信販売で購入することは禁止されています。また、処方箋なしにED治療薬やダイエット薬を購入することも違法となっています。ところが、EUに加盟していないスイスでは、量の制限はありますが処方箋なしで治療薬をEEA外から合法に輸入することができるのです。

観光立国であるスイスでは、国境で観光客が足止めされることを防ぐために、少量であれば例外的に医薬品の輸入を認めるという法があります。本来は海外からの旅行客の便宜を図るための法なのですが、この法があるために、スイスでは個人がインターネットを使用して個人使用の医薬品を合法的に輸入できてしまうのです。

スイスでは現在、医薬品の輸入件数が年間4万件程ありますが、うち半数に当たる2万件では規定以上の量を違法に持ち込んでいるのではないかと懸念されています。

スイスから、インド製ジェネリックの販売サイトに連絡すると、法定上限を超える量のバイアグラなどのED治療薬のジェネリック版の送付について「全く問題ない」と請け合い、万が一税関で製品が押収された場合は「全額返金」を保証する、と約束するなど、違法な輸入を当たり前のように案内されるのです。

しかし、これはれっきとした違反、犯罪行為。スイスでは悪質な違反者に高額な手数料を支払わせることで、大量購入に歯止めをかけようとしています。これらの薬品は、法に違反するというだけでなく、薬害についても懸念されています。

輸入品のED治療薬では、1錠当たりの推奨量の2、3倍を上回る大きさのものを販売しているため、健康被害も深刻になるのでは、と推察されています。多量に摂取しても効果は高まらないのですが、副作用のリスクだけは確実に高くなります。

たとえ治療薬そのものに問題はなくても、信頼できる医師に相談せず、個人の判断で使用すると、命に危険が及ぶ可能性があるのです。

インド政府の対策が鍵

しかし、インドのジェネリック医薬品供給業者は、国際的な犯罪組織の中で違法ビジネスの一部をなしているに過ぎないといわれています。インド国内では、仲介業者の指示に従い製品を送るだけであり、それが違法かどうかの判断をする人間はいないようなのです。

もちろん、インド政府としても対策を考えてはいるのでしょうが、なかなか成果はあがってきません。これは、インド製薬業界の規模が巨大なため、政府として業界に圧力をかけるのをためらっているからではないかと推察され、各国から批判の声があがっています。

しかし、インド政府としても違法医薬品の輸出を黙認したままでは関税が入らず、国の歳入が減るという現実があります。今後は、本格的に対策に乗り出す可能性があることをインド商工省が示唆しています。

元記事:swissinfo.ch http://www.swissinfo.ch/jpn/%E5%8C%BB%E8%96%AC%E5%93%81%E3%81%AE%E9%81%95%E6%B3%95%E8%BC%B8%E5%85%A5_%E3%82%B9%E3%82%A4%E3%82%B9%E5%B8%82%E5%A0%B4%E3%82%92%E5%B8%AD%E5%B7%BB%E3%81%99%E3%82%8B%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%83%89%E7%89%88%E3%83%90%E3%82%A4%E3%82%A2%E3%82%B0%E3%83%A9/41690550?ns_mchannel=rss

インド製ジェネリックを処方するクリニックに注意

2015年の初めあたりから首都圏にて6院ほど展開している男性専門クリニックにてインド製のED治療薬を患者に処方しているので注意して下さい。以下に理由を説明させていただきます。

日本国内では、海外の医薬品を医師が治療に用いるために輸入する場合は必要な書類を所轄の厚生局へ提出し、内容や数量が輸入の目的に対して妥当であること、また販売、貸与、授与を目的としたものではないことが確認されれば薬監証明が発給され輸入は可能です。しかし、厚生局はこの薬監証明発給には次のような条件があることをホームページでも明記しています。

「治療上緊急性があり、国内に代替品が流通していない場合であって、輸入した医療従事者が自己の責任のもと、自己の患者の診断又は治療に供すること」

お気づきでしょうか? ED治療に緊急性があるとは考え難く、国内に代替品が流通している。つまりインド製のED治療薬のジェネリックを輸入する場合、上記の条件を満たしているとは思えないことから薬監証明発給の手続きすらされていない可能性がある。つまり闇ルートから仕入れている可能性があると思われても仕方のない状況です。

仮に薬監証明が発給されていたとしても国内にて正規ルートのないインド製ED治療薬のジェネリックは国内正規品に比べて非常に安価なため国内でも需要があることから、悪徳業者が目をつけてたくさんのインド製ジェネリックの偽造品を流通させているのです。よって、クリニックからの処方であってもインド製を含む海外製のED治療薬ジェネリックはリスクが高いということを理解しておくとよいでしょう。以下に「偽造品の可能性のあるED薬を処方するクリニックに行かないための方法」と「行ってしまった場合の対応」を細かく説明したページを紹介するので是非とも目を通しておいて下さい。