バイアグラに関するニュース心疾患に用いられるステント治療の安全性向上、バイアグラに期待か? 2017.7.27 thu

浜松町第一クリニック竹越昭彦院長監修

虚血性心疾患に用いられる「ステント治療」に、ED治療薬であるバイアグラの有効成分「シルデナフィル」が有効であるという研究結果が。2017年7月に開催されたAHA(米国心臓協会)のBCVS (Basic Cardiovascular Sciences学術集会)で発表されました。報告をしたのはソウル大学病院(韓国)のHan-Mo Yang氏らの研究チーム。この発見により、今後ステント治療の安全性が高まるかもしれません。

ステント治療の概要と問題点

ステント治療とは、血管内へステントと呼ばれる筒状をした小型の金属製医療機器を留置し、血管を拡張させる手法。心筋梗塞や狭心症における標準的な治療法として普及しています。

しかし、この手法にはいくつかのリスクも報告されています。まずは「ベアメタルステント(BMS)」。こちらは、血管の内膜が増殖することで肥厚し、血管の再狭窄が考えられます。これに対応するのが、本来金属がむき出しになっているステントへ薬剤を塗った「薬剤溶出ステント(DES)」です。ただし、再狭窄のリスクが抑えられる一方で、ステント周囲に血栓ができてしまう可能性が指摘されています。

シルデナフィルによる血小板の凝集抑制とPKGの活性増強

こうした背景がある中、今回の実験では、血小板の凝集をシルデナフィル(バイアグラ)が30%抑制する結果が得られたそうです。さらに、ラットに対してシルデナフィルを使用した場合には、PKG(プロテインキナーゼG:動脈壁の肥厚を防ぐ酵素のひとつ)の活性が増強さることも分かりました。

本体、ステントの留置によって血管に損傷が起こると、PKGの活性が低下して血管壁の肥厚や血小板の凝集が促されてしまいます。しかし、シルデナフィルの使用によって、PKGの活性が強化できるということが言えるのです。

このことから、シルデナフィルはDESへの塗布や、ステント留置後の経口投与に適した薬剤である可能性が高まりました。今後、ステント治療後の再狭窄に対する有効性が示されれば、即実用化も考えられます。つまり、血栓や血管の損傷(瘢痕化)によってもたらされる再狭窄リスクをシルデナフィルが防ぎ、将来的にはより安全なステント治療が実現できるようになるかもしれません。

現時点では否定的な意見も

ただし、今回の実験はまだラットを用いたものであるため、最終的にはヒトを対象に大規模な研究・検証が求められます。また、米レノックス・ヒル病院のCarl Reimers氏によると、ラットとヒトとでは体の構造上の違いが大きいため、現時点では臨床的な意義を判断できない、とのこと。実際に、今回の研究結果はまだ審査通過をしておらず、米国心臓協会(AHA)などの医学誌に掲載されるまでは、あくまで予備的な成果とみなされています。

元記事: Health Press http://healthpress.jp/2017/07/post-3135.html