バイアグラに関するニュース「バイアグラの副作用で難聴になる」は本当? 2017.10.5 thu

浜松町第一クリニック竹越昭彦院長監修

「セックスできないよりも、聴力が失われるほうがいい」こんなセリフを残してこの世を去ったアメリカの実業家がいます。彼はセックスライフを楽しむために服用したバイアグラのせいで難聴になったといわれますが、その原因がきちんと解明されたわけではありません。今回は、ひとりの名物実業家のエピソードを通して、バイアグラの副作用について考えてみます。

バイアグラの気になる副作用は?

弱くなった勃起力の改善に効果が期待できるバイアグラですが、医薬品だけに、副作用のリスクが全くないとはいえません。バイアグラに添付される説明書には、発生頻度不明としながらも「突発性難聴」に注意する旨がきちんと記載されています。

この病が明記されるようになったきっかけは、2007年に消費者からの訴えを受けて行われた米食品医薬品局(FAD)の調査です。バイアグラと同じ成分を持つ勃起薬「シルデナフィル」に、耳鳴りや突発性難聴が疑われるケースが出てきたため、各製薬会社に原因究明のための調査を指示。バイアグラの販売元であるファイザーもその対象になったのです。

この動きは米国衛生研究所(NIH)や英国民保健サービス(NHS)にも波及。権威ある機関による調査の結果、シルデナフィルの服用が突発性難聴を誘発するリスクがあるとし、使用の際は充分注意するよう呼びかけました。

バイアグラ・ユーザーだった実業家の話

上述の通り、バイアグラなどの勃起薬が突発性難聴を引き起こす可能性は以前より指摘されていました。ところが、ある実業家の死がきっかけで、「バイアグラを飲むと難聴になる」説がにわかに注目を集めるようになったのです。

その実業家とは、ヒュー・ヘフナー氏。アメリカの人気雑誌「プレイボーイ」創刊者で、2017年9月27日に91歳で亡くなりました。その際、英国のタブロイド紙が、「彼はバイアグラの副作用が原因で難聴になった」また、「ヘフナー氏は耳よりセックスを選んだ」(ヘフナー氏の恋人だったシャノン姉妹の証言)と報じ、波紋を広げました。

重要な証言は他にもあり、2011年には妻のクリスタル・ハリスさんがテレビ番組の中で、「耳が悪くなったので、バイアグラをあまり使わないよういっている」と語っています。ハリスさんの話によると、隣に座って声をかけても聞こえないくらい、症状は深刻だったそうです。

はっきりとした原因は分からない

片方の耳は補聴器を付けなければ聞こえないほど、難聴に悩まされたヘンリー氏。シャノン姉妹曰く、「難聴の原因はバイアグラ」ということですが、突発性難聴は原因不明の病で、難聴になるメカニズムも今のところ完全に解明されたわけではありません。また、バイアグラやシルデナフィルの服用でなぜ難聴が生じるのか、その理由も分かっていないのが現状です。

そもそも、ヘンリー氏の難聴の原因が科学的に解明されたわけではなく、妻や恋人たちの周辺でささやかれている“噂”に過ぎません。確かにさまざまな調査でバイアグラと難聴の因果関係を疑わせるデータは出ていますが、それを持って「難聴になるから勃起薬は飲まないほうがよい」と断定するのは早計でしょう。

大切なのは、バイアグラのメリットもデメリットも、すべての情報を把握したうえで、正しく使用すること。説明書に記載された注意事項もきちんと目を通し、医師から服用に関するレクチャーをしっかり受けてから使用するのが大前提であることはいうまでもありません。

晩年、ヘフナー氏は難聴に悩まされたものの、充実したセックスライフで人生を満喫したといわれます。さまざまな噂はあるにせよ、ヘフナー氏の選択が正しかったかどうかは、本人のみぞ知る、といえるでしょう。

元記事:J-CAST https://www.j-cast.com/healthcare/2017/10/05310321.html?p=all
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