腎臓病とEDの関係
腎臓病とEDの関係

テーマ腎臓病と ED の関係

腎臓病と ED の関係

腎臓機能が低下すると、老廃物の排出が不十分となります。症状が悪化すると、人工的に排出する「透析」をおこなう必要がありますが、透析を受けている男性の方では、半数以上の方が ED を発症しているともいわれています。年齢に応じて発症頻度も上昇し、60代の男性透析患者では、約80パーセント近くが ED 症状を呈するとの報告もあります。


腎臓病による ED の原因

慢性腎臓病 (CKD: Chronic Kidney Disease ) は、慢性糸球体腎炎や糖尿病性腎症、間質性腎炎などが原疾患となることが多く、高血圧、糖尿病、高脂血症、メタボリックシンドローム、加齢など様々なことが発症や病状進行の原因となります。自覚症状は病状が進行するまでほとんどないのが一般的です。そのまま気が付かず病状が進行すると、最終的には末期腎不全となり、人工透析が必要になります。

人工透析を受けるまでになると、血管障害や神経障害、内分泌(ホルモンバランス)障害や貧血など、腎臓が担っていた役割が途絶えたために、多様な症状が発現します。これらが複雑に絡み合って、ED を発症すると考えられます。

人工透析(血液透析)と ED
人工透析(血液透析)と ED についてはこちらをご覧ください。

1.動脈硬化による血流障害

進行した慢性腎臓病では腎臓での十分な血液のろ過が出来ず、不要な成分が血液中に過剰となることや、血圧のコントロールが悪くなることなどによって、血管壁が傷つけられやすくなり、動脈硬化が起こりやすくなります。陰茎動脈は非常に細いことから、動脈硬化の影響を真っ先に受けやすいため、ED の発症につながります。


2.自律神経機能障害

末期腎不全になると、自律神経の機能にも障害が発生します。自律神経は勃起を起こす中心的役割を担うことから、これも ED 因子となります。


3.ホルモン分泌・代謝障害

多くの透析を受けている男性の方では、勃起に必要な血中テストステロン(男性ホルモン)の値が低下していることが報告されています。さらに、プロラクチンというホルモンは排泄が低下するために、透析をされている方の多くで「高プロラクチン血症」が見られ、これらのホルモンバランスの乱れも ED の原因の一つとなります。


4.腎性貧血(一酸化窒素の合成障害)

進行した慢性腎臓病の方では、貧血の症状が多く見られます。強い貧血の場合には海綿体も低酸素状態となり、血管を拡張させる一酸化窒素の生成機能が低下します。

まずは、エリスロポエチンなどの赤血球造血刺激因子薬製剤を使用して、貧血を解消し、必要に応じてバイアグラなどの PDE5 阻害薬によって、血管の拡張を促すことで ED【勃起不全】の症状が大きく改善することを期待出来ます。


5.薬剤による副作用

透析されている方には、さまざまな薬物が処方されることが多いのですが、これらのうち降圧薬や抗うつ薬、潰瘍治療薬などが原因となって薬剤性 ED を引き起こすことがあります。腎機能が低下すると、薬の代謝も落ちることが多く、薬による副作用によって強い ED 症状が出ることが考えられます。


6.血行障害

末期腎不全では、身体の様々な臓器の血行障害が頻繁に発生することから、海綿体への血液の流入も妨げられ、ED につながります。


PDE5 阻害薬の使用について

慢性腎不全の方も、ED 治療薬である PDE5 阻害薬を服用できます。ただし、服用できる薬に制限が設けられていますので注意が必要です。

重度の腎障害ではバイアグラとシアリスは、経過を慎重に観察した上で服用が可能とされていますが、レビトラは禁忌とされています。また透析を受けている場合は、バイアグラとシアリスの服用が可能ですが、状態によって服用量の設定には十分な注意と管理が必要です。

慢性腎不全の方が PDE5 阻害薬を服用した場合、薬の代謝機能が低下しているために、健常者と比べて血中濃度が上昇しやすくなります。そのため、まずは少量から開始することが基本です。

思わぬトラブルの原因となりますので、透析を受けていることを医師に必ず伝え、十分相談をすることが大切です。


その他の治療法

慢性腎不全の方でも、バイアグラなどのED 治療薬が多くの方で有効ですが、十分に効果が得られない場合では、薬剤を直接陰茎に注射して血管を拡張し、勃起を促すICI療法があります。日本では ICI 療法は認可がおりていない方法ですので、自己責任でおこなう必要があります。この方法は ED 治療薬が使用できないケースでも効果が認められています。

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