AGA(男性型脱毛症)とは
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浜松町第一クリニック 竹越昭彦院長 監修
AGAとは、Andro Genetic Alopeciaの略です。Andro(男性) genetic(遺伝性)Alopecia(脱毛症)の意味で、成人男性特有の進行型脱毛症を指します。
通常は2~6年程度ある髪の毛の成長期が、数ヶ月~1年と短くなり、前頭部や頭頂部の硬毛が細くて短い軟毛に変化して、髪の毛が薄くなっていきます。早い方では、10代後半から起こり初め、日本人の場合では20代後半~30歳代にかけて割合が増えていき、40歳代で30%、50代では40%以上まで増加していき、日本人男性の約2~3人に1人が発症する症状です。
治療をせずにさらに症状が進行すると、頭皮から表に髪の毛が現れなくなり、髪の毛がまったくない状態に見えるツルツルな状態へとなっていきます。
参考 ⇒ 男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン2017年版
AGAの抜け毛のパターン
AGAの大きな特徴としては、額の生え際の左右から後退していくタイプ(M字パターン)、頭頂部から薄くなるタイプ(O字パターン)、前頭部から頭頂部にかけて髪の毛が後退していくタイプ(U字パターン)、またM字とO字、U字とO字の混合タイプもあります。進行過程で、毛髪がゴソっと抜け落ちるわけではなく、少しずつ髪の毛が細く短くなっていき、徐々に髪の毛が減少していく症状です。ヘアサイクルを繰り返すごとに成長期が短くなり、毛髪のミニチュア化が進行していくためです。
AGAの抜け毛のパターンは決まっており、1950年代にJames Hamiltonがパターン表を作成し、1970年代に O'Tar Norwood が改良を加え、両名の名前をとった、「Hamilton – Norwood Scale」が現在の指標となっています。
また、欧米ではあまり見られない「早い段階から頭頂部が抜けていくパターン」がアジア人には多かったため、皮膚科医の高島巌医師が「Hamilton – Norwood Scale」に「Ⅱvertex型」を加え、日本人ではこの「高島分類」が用いられています。
ご自身の症状が、以下のような脱毛パターンなのか、確認してみましょう。
- Ⅰ型:脱毛が始まっていない又はごく初期状態
- Ⅱ型:生え際から「M字型」に進行し始めた状態で本人も自覚していないことが多い
- Ⅱa型:おでこから、全体的に生え際がやや後退しはじめている状態
- Ⅱ型 Vertex型:生え際から「M字型」の進行に加えて、頭頂部が「O型」に脱毛してきた状態
- Ⅲ型:生え際から「M字型」がⅡ型より徐々に進行し目立ってきた状態でAGAだと本人も分かる状態
- Ⅲa型:おでこから、全体的に生え際が後退してきているがまだM字の形をしている状態
- Ⅲ型 Vertex型:Ⅲ型の「M字型」状態に加え、頭頂部が「O型」に進行してきた状態
- Ⅳ型:「前頭部」から「頭頂部」にかけて進行した状態だが、「前頭部」と「頭頂部」の脱毛領域がつながっていない状態
- Ⅳa型:おでこから、頭頂部に向かって大きく生え際が後退し、脱毛箇所が「逆Uの字型」の状態
- Ⅴ型:「前頭部」から「頭頂部」にかけて進行し、「前頭部」と「頭頂部」の脱毛領域がほとんどつながっている状態
- Ⅴa型:Ⅳaの脱毛箇所と「頭頂部」の脱毛領域がつながっている状態
- Ⅵ型:「前頭部」と「頭頂部」の両方が、全体的にかなり進行し、側頭部と後頭部以外は脱毛が進んでいる状態
- Ⅶ型:Ⅵ型よりさらに脱毛度合いが進行している状態
正常な髪の毛の増え方
まず、AGAの原因を知るために、髪の毛の増え方についてご説明します。髪の毛が生えてくる毛穴の中には、毛乳頭があります。毛乳頭は、毛細血管が通っており、たんぱく質や亜鉛などの栄養成分を受け取り、毛母細胞に細胞増殖を指令しています。
髪の毛は、この毛母細胞が増殖する際にできた副産物のたんぱく質が積み重なってできたもので、皮膚などの細胞とは異なり、髪の毛は神経の通っていない老廃物と言えます。そのため、髪の毛自体は引っ張っても、切っても痛くありません。人体では、「爪」も髪の毛と同様に死滅した細胞です。
正常な毛乳頭は、毛細血管から栄養素を受け取り、IGF-1*1、KGF*2、HGF*3などの成長因子を出し、毛母細胞の増殖を促すことで、結果として副産物である髪の毛が作り出され成長していきます。
IGF-1とは*1
Insulin-like Growth Factor-1 のことで、日本語では「インスリン様成長因子」のこと。筋肉や骨、皮膚などの体の様々なところに存在し、細胞の増殖などに関与している物質。髪の毛においては、毛母細胞に作用して細胞増殖を促すと考えられている。ミノキシジルの外用薬が、IGF-1の産生を促すことが大阪大学の論文で発表されています。
参照 ⇒ 毛の発育制御機構の解明における最近の進歩と育毛剤(大阪大学医学部皮膚科学教室・外部サイト)※226ページ「9.男性型脱毛の治療」を参照
KGFとは*2
Keratinocyte Growth Factorで、日本語では「ケラチノサイト増殖因子」と訳される。別名FGF-7とも呼ばれる成長因子のひとつ。ミノキシジルの外用薬がこのFGF7の産生を高めることを、ロート製薬が発表しています。
参考 ⇒ ロート製薬の発毛研究(ロート製薬ホームページ・外部サイト)
HGFとは*3
hepatocyte growth factorで、日本語では「肝細胞増殖因子」と訳される。細胞の増殖を促す成長因子の一つで、肝細胞の増殖を促進する因子として発見されましたが、多くの組織で産生され、様々な細胞の増殖を促すことが知られており、髪の毛の生成にも関与しているとされています。
髪の毛の成長を邪魔する 「ジヒドロテストステロン」
上記のように髪の毛は作り出され太くなり伸びていきますが、それを邪魔する物質があります。それは男性ホルモン(テストステロン)が、5α-還元酵素によって作られたジヒドロテストステロン(DHT)です。これこそが、男性を悩ませるAGAの原因物質です。
よく誤解されるのが、男性ホルモン(テストステロン)が高いからといってジヒドロテストステロン量が多くなりAGAになりやすいとは一概に言えません。遺伝的に、5α-還元酵素の働きが強い場合や、ジヒドロテストステロンが結合する毛乳頭細胞の受容体が過敏な体質の方がおり、AGAを発症させることが分かっています。
男性ホルモン受容体にジヒドロテストステロンが結合
前頭部や頭頂部の毛乳頭細胞には男性ホルモン受容体があり、ジヒドロテストステロン(DHT)の結合した毛乳頭細胞は、やる気を出して増殖してくれればよいのですが、逆にやる気をなくしてしまい、TGF-β*4やDKK1*5などの抑制系因子を誘導します。指令塔である毛乳頭細胞から出されたTGF-β*4やDKK1*5などによって、毛母細胞も休み状態となり増殖が抑制されてしまうため、髪の毛の成長が止まり、また成長期から退行期への移行が促されるため、十分に成長していない未成熟の髪の毛の状態で休止期に入ってしまいます。このようなメカニズムでAGAを発症します。
TGF-βとは*4
細胞増殖抑制作用があり、細胞増殖・分化を制御し、細胞死を促すことが知られているサイトカイン(細胞の働きを調節する分泌性蛋白の一種)。
DKK1(Dickkopf-1)とは*5
ジヒドロテストステロン(DHT)の分泌に応答して毛乳頭(DP)細胞から分泌される主要な脱毛因子。
一方で、ひげや胸毛の毛乳頭細胞にも男性ホルモン受容体がありますが、こちらはジヒドロテストステロンが結合すると細胞成長因子が出され、ひげや胸毛が太く濃くなる傾向にあります。また、前立腺でも男性ホルモン受容体があり、ジヒドロテストステロンが作用することで、前立腺の細胞が増殖して大きくなっていくことで尿道を圧迫し、前立腺肥大症となります。
ジヒドロテストステロンは、各所で成長や増殖を促す働きがあるのですが、悲しいことに頭の髪の毛だけは、成長を止めてしまう方向に働き、多くの男性を悩ませています。
AGA治療薬「フィナステリド」を飲むとジヒドロテストステロン(DHT)はどれくらい減る?
AGA治療薬フィナステリド1mgを6週間服用すると、服用前と比較して、血液(血清)中のDHT濃度は-71%、頭皮中のDHT濃度は-64%減少と服用前と比較して半分以上濃度を減少させて、上記のようなジヒドロテストステロンによる髪の毛の成長期が短くなる働きをブロックすることが出来ます。
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では、上記のようにジヒドロテストステロンが、毛母細胞の増殖を邪魔すると髪の毛の寿命はどのように変化するのでしょうか?正常な毛周期(ヘアサイクル)とAGA初期、進行したAGAの状態別で、ヘアサイクルを見ていきましょう。
正常な毛周期
髪の毛は、1日に約0.3ミリ、1ヵ月で約1cm、1年で12cm程度伸びていき、正常な男性では約3~7年程度1本の髪の毛が維持されています。髪の毛は、同じ毛がずっと伸び続けるわけではなく、成長期➡後退期➡休止期というサイクルで、生え変わっていきます。ヘアサイクルのほとんどは成長期で2~6年程度あり、成長期が長ければ長いほど、産毛から軟毛、硬毛という風にその分髪の毛は太く長くなっていきます。その後成長が止まる退行期が2週間ほどあり、3~4ヵ月間の休止期になります。この期間は毛根の位置が浅くなり、髪の毛を洗う時やとかす時のわずかな力で抜けたり、新しく生えてきた髪の毛に押し出される形で、自然に抜け落ちていきます。
正常な周期の方の髪の毛の状態は、
休止期:約10%程度
成長期:約90%程度
退行期:約1%程度
とされています。
AGA初期の毛周期
AGAのヘアサイクルは、正常な毛周期とスタートは同じですが、上記でご説明したジヒドロテストステロンの影響で成長期の途中段階で毛母細胞の増殖が邪魔され、十分に髪の毛が作られなくなり、細い軟毛が多くなります。また、成長途中で脱毛の指令が毛乳頭細胞から出されるため、十分伸びていない短い状態で、退行期➡休止期となり、抜け落ちて行ってしまいます。また毛球が十分に発達していないため、休止期に入っている髪の毛は毛穴からさらに抜け落ちやすくなり、髪の毛がない状態の毛根が増えていきます。成長期が短くなりますが、一方で退行期や休止期の期間は変わらないため、太く長く成長した髪の毛が相対的に減り、髪の毛も細くなっていることから、頭皮の地肌が見えやすい状態となります。
進行したAGAの毛周期
AGAの状態が継続すると毛乳頭細胞の活性が低下していきますので、新たに生えてくる毛はさらに細くまた成長期も短くなっていきます。髪の毛がどんどんミニチュア化されていきますので、小さい「産毛」のような髪の毛が多くなり、最終的には頭皮からでない状態となり、まったく髪の毛がないような状態に見えてきます。
AGAは、Andro(男性) genetic(遺伝性)Alopecia(脱毛症)を意味し、遺伝することが分かりますが、では父親やおじいちゃん(祖父)、ひいおじいちゃん(曾祖父)の髪の毛を見れば、自身がAGAになりやすいのか分かるのでしょうか?またその場合は、誰の髪の毛を見ればいいのでしょうか?
ここからは、少し遺伝の細かい話となります。遺伝を調べていっても、男性であればAGA発症のリスクは誰にでもあり、「自分はAGAにならない体質だ!」と安心できる内容ではありませんので、ご興味のある方はご覧ください。結果だけお読み頂いても大丈夫です。
AGAと関係するヒトの遺伝子
ヒトの遺伝子染色体は、通常は22対の常染色体と1対の性染色体の23対46本の染色体があります。その中でAGAと関係のある「男性ホルモン受容体遺伝子」は、性染色体のX染色体に存在することが知られております。以下で詳しくご説明しますが、男性のX染色体は母方より引き継がれるため、「母方の祖父」や「母方の祖母方の曾祖父」がAGAであった場合には、ご自身がAGA体質である可能性が高くなります。
また常染色体の17q21*6、20p11*7とAGAに関連があることが「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017 年版」に明記されており、こちらは「父方」からも「母方」からも遺伝する可能性があります。
参照 ⇒ 男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン2017年版
※2764ページ「1.疾患の概念」を参照
※画像転載⇒wikipedia 染色体ページより
遺伝子の17q21*6や20p11*7ってどういう意味?!
17q21とは、17番遺伝子の長腕領域2の1番目の縞という意味です。20p11は、20番目遺伝子の短腕1領域の1番目の縞を意味しています。科学の進歩によって、遺伝子のどの部分がどのように関わっているのか解明されており、研究者の方々には頭が下がる思いです。遺伝子にご興味ある方は以下ページもご覧になってみてください。
参考 ⇒ 一般社団法人 日本家族計画協会 遺伝のはなし・外部サイト
「男性ホルモン受容体の感受性が高い遺伝子」を引き継ぐとAGAになる可能性が高い
AGAの主な原因は、毛乳頭細胞で男性ホルモン受容体の感受性が高いことやジヒドロテストステロン(DHT)が過剰に作られてしまう、又はその両方が原因ですが、「男性ホルモン受容体の感受性が高い遺伝子」を引き継ぐとAGAを発症するリスクが高いと言えます。これは、他の遺伝子が正常で、髪の毛の毛乳頭で作られるジヒドロテストステロン(DHT)量が正常量であっても、過敏な男性ホルモン受容体が反応して「髪の毛」の生産を弱めてしまうからです。
一方で、5-α還元酵素の活性が高く、ジヒドロテストステロン(DHT)の作られる量が多い体質の遺伝子を引き継いでいたとしても、「男性ホルモン受容体の感受性が正常」の場合には、DHTが毛乳頭内に多くなっても、受容体が反応しなければ、髪の毛の生産は弱まらないため、AGAの症状がでなかったり、軽度な状態となることもあります。
男性ホルモンレセプターの感受性に関わる「X遺伝子」
AGAは、X遺伝子が大きく関わりますので、少しややこしいですが、性染色体X遺伝子について掘り下げて見ていきます。
まずヒトの性別は、通常父親から1本、母親から1本の染色体と引継ぎ、2本の組み合わせによって性別が決定します。1本のX染色体と1本のY染色体のペアができると「男性」、X染色体同士のペアの場合には「女性」となります。
男性の性染色体のX染色体は母親が持つ2本のX染色体のどちらかから、Y染色体は100%父親側から引き継がれるため、X染色体上に遺伝情報のある男性ホルモンレセプターの感受性は母親から引き継がれます。
では、そのAGA因子を持つX遺伝子は誰からどのように引き継がれてきているのでしょうか?下図のように、X遺伝子を3世代前まで遡って流れを調べてみます。今回の図では、すべてのX遺伝子にAGA因子があると仮定して作図しています。
AGAは男性に発症しますので、つい自身の父親や祖父の髪の毛を思い浮かべてしまいますが、男性ホルモンレセプターの感受性に関わる「X遺伝子」については、母方の家系の男性を確認する必要があります。まず、母方の祖父がAGAであった場合、母方の祖父から自身の母親へは、AGA要因のあるX遺伝子(図⑧or⑨)が一本100%引き継がれており、母親の持つ2本のX染色体のうちの1本がAGA要因があるものとなりますので、自身にも遺伝している可能性が高いと言えます。また母方の祖母方の曾祖父(図⑩)もAGAの場合には、AGA要因のあるX遺伝子が自身に遺伝している可能性がさらに高くなります。
一方で、母方の祖母方の曾祖母のX遺伝子(図⑪or⑫)を引き継いでいる場合には、曾祖母、祖母、母親と女性が遺伝子を引き継いできているため、AGAの遺伝子が引き継がれているにも関わらず女性なので発症せず、その遺伝子を引き継いだ男性であるご自身だけがAGAを発症する可能性もあります。
5α還元酵素の活性が高くジヒドロテストステロンが作られやすい体質
一方で、性染色体ではない常染色体の17q21*6、20p11*7にもAGAの原因となる遺伝情報が存在すると考えられており、前頭部や頭頂部の毛乳頭で「5α還元酵素の活性が高くジヒドロテストステロンが作られやすい体質」などAGAを発症させる可能性があります。この常染色体は「父方」「母方」のどちらからも引き継がれるため、両親や祖父母に薄毛の方がいる場合にも、AGAになりやすい体質である可能性があります。
遺伝から分かること
母方の祖父がAGAの場合には、リスク大!
遺伝を調べるだけでAGA体質かどうかを100%知ることはできませんが、上記でご説明の通り、母方の祖父が進行したAGAで、AGA要因をもったX遺伝子を持っている場合には、ご自身の母親のX遺伝子のうちの少なくとも1本はこのX遺伝子が引き継がれています。そのため、ご自身にも遺伝している可能性が高まるため、より注意が必要です。AGAの症状が気になる場合には、出来るだけ早めにフィナステリド、デュタステリドの飲み薬やミノキシジルの塗り薬を使用して、予防していくことが重要です。
「父親」や「父方の祖父」が進行したAGAでも、自身が同じようにAGAになるとは限らないが、注意が必要!
ご自身の「父親」や「父方の祖父」が、AGAであったとしても、上記でご説明した通り、父親側からは、男性ホルモンレセプターの感受性の情報があるX遺伝子は継承されないため、同じようにAGAになるとは限りません。ご自身にAGAの症状がない場合には、過度に心配する必要はありませんが、AGAの原因となる常染色体を引き継いでいる可能性があります。ご自身にAGAの症状が出てきた場合には、早めにフィナステリドやデュタステリドの内服薬とミノキシジルの外用薬の使用を検討した方がよいでしょう。
「父親」や「両親の祖父」にAGAの人がいなくても、自身だけAGAを発症することがある!
「曾祖母」→「祖母」→「母」と女性によって引き継がれてきたX遺伝子がご自身に引き継がれている可能性もあります。「曾祖母」「祖母」「母」は女性のためAGAを発症しませんが、男性であるご自身だけAGAを発症する可能性があります。血縁のある人に脱毛症状がある人がいなくても、男性であれば、誰しもがAGAを発症する可能性があると言えます。
AGA治療で重要なことは、気になりはじめたら、早めに対策をすることです。上記でご説明した通り、毛乳頭細胞や毛母細胞の活性が大きく低下し、髪の毛のミニチュア化が始まってしまうともとの状態に戻すのは時間がかかります。またAGAがかなり進行した状態ですと、毛乳頭細胞や毛母細胞の活性がもとに戻らないこともありますので、症状に気が付いたら早めに対応していきましょう。
ジヒドロテストステロンの生成を抑制する「内服のAGA治療薬」
AGAの進行は、上述のようにジヒドロテストステロン(DHT)の働きによるものですから、内服のプロペシア錠(フィナステリド)又はザガーロカプセル(デュタステリド)のどちらからのAGA治療薬の服用で、まずはジヒドロテストステロンによって抑制指令を出している毛乳頭細胞を正常な状態に戻す必要があります。
ザガーロカプセル0.5mg(グラクソ・スミスクライン株式会社)
また、プロペシア錠、ザガーロカプセル共に特許が切れており、厚生労働省認可の安いジェネリック医薬品も登場してきており、多くの患者様がジェネリック医薬品を利用されています。
デュタステリドカプセル0.5mg(ザガーロのジェネリック医薬品)
フィナステリド、デュタステリドの内服は、どちらも日本皮膚科学会で最高クラスの「推奨ランクA」に指定されています。
参照 ⇒ 男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン2017年版
※2766-2768ページ「CQ1」「CQ2」を参照
血流促進、成長因子を増加が認められる「ミノキシジルの外用薬」
フィナステリドかデュタステリドの服用が治療の第1優先となりますが、費用に余裕がある場合には血流を促進し毛乳頭細胞へ栄養を届きやすくしたり、毛母細胞の分裂を促し髪の毛の合成を促すミノキシジルの外用薬も併用することをオススメ致します。また最近では、休止期から新たな髪の毛が生えはじめる発毛効果がある「PDGFA」を増加させることをロート製薬が発表しています。
参照 ⇒ ロート製薬の発毛研究(ロート製薬ホームページ・外部サイト)
当院でも、東和薬品社製の「ミノアップ」と富士化学工業社製の「ミノキシジルFCI」を処方しております。
ミノアップ(ミノキシジル外用薬・東和薬品社製)ミノキシジルの外用薬も、日本皮膚科学会で最高クラスの「推奨ランクA」に指定されています。
参照 ⇒ 男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン2017年版
※2769ページ「CQ3」を参照
※ミノキシジルの内服薬は、安全性が確立されておらず、厚生労働省を含めて全世界的にAGA治療では未承認となりますので、ご注意ください。
参考 ⇒ ミノキシジルタブレットの危険性