竹越昭彦院長コラムザルティア錠について

浜松町第一クリニック 竹越昭彦院長 監修

◆浜松町第一クリニックではザルティアは取り扱っておりません◆

ザルティアとは2014年1月に日本新薬株式会社により「前立腺肥大症による排尿障害」を適応として厚労省に承認された薬剤です。同年4月の薬価収載を経てザルティア錠[2.5mg][5mg]の2種類が4月17日に発売開始されています。
ED治療薬と同じPDE5阻害作用を利用した前立腺肥大症による排尿障害改善薬は日本で初めてですので注目されています。そして注目すべき点がもう一つ、一般名がシアリスと同じタダラフィル錠という点です。

どういうことかと言いますとED治療の適応だと販売名がシアリス、前立腺肥大症による排尿障害の適応だと販売名はザルティア。販売名・規格・コーティングが違うだけで中身はシアリスと同じ薬剤であるということです。

どうして同じ薬剤なのにそんなことになるのか?これを説明させていただきます。

米国では2011年10月にシアリスに「勃起不全」に加え「前立腺肥大症の徴候及び症状」の適応が追加されただけですので今現在、前立腺肥大症による排尿障害改善薬としてシアリス5mgが処方されているのです。理由は米国には健康保険制度がないからです。
日本では健康保険制度があるため前立腺肥大症による排尿障害改善薬として健康保険適用とするには「健康保険適用外であるED治療薬シアリスの販売名」のままでは厚労省に承認を得ることはできません。
よって同じ薬剤ではあるけれど新たに販売名を「ザルティア」として厚労省に申請し承認を得る必要があるのです。

当時はよく「シアリスが保険適用になるのですよね?」と質問を受けました。
シアリスと同じタダラフィル錠(ザルティア錠)が保険適用になることが革命的だの衝撃的だの騒がれていて、前立腺肥大症の排尿障害を装えば健康保険適用でシアリスと同じ成分のザルティアの処方をしてもらえるのでは?なんて思ってしまう人が多かったのです。
しかし、厚労省もザルティアは既にED治療として適応のあるシアリスと同等であることは非常によく理解していますから、前立腺肥大症による排尿障害の適応にてザルティアの処方を認めるには厳しいチェックが入ため、医療機関側もザルティアの処方はかなり慎重にならざるを得ない状況ですので、現在では「シアリスと同じ成分の薬剤が前立腺肥大症による排尿障害の改善もする」と認識するに留まっています。

1万円以上で送料無料。
来院歴が無くてもOKです。

ザルティアのジェネリックについて

2020年2月17~19日に沢井製薬、東和薬品、あすか製薬、杏林製薬、サンド、日医工、ニプロ、シオノケミカル、日本ジェネリックがザルティアのジェネリック医薬品としてタダラフィル錠ZAの製造承認を取得致しました。各社、同年の6月頃には発売が開始されています。
販売名は沢井製薬の場合はタダラフィル錠2.5mg/5mgZA「サワイ」となります。東和の場合は「サワイ」⇒「トーワ」と販売会社によって「」の社名が変わるだけとなります。
また、2021年8月にはザルティアの発売元である日本新薬がザルティアのジェネリック医薬品としてタダラフィル錠2.5mg/5mgZA「シオエ」の製造販売承認を取得し同年12月より発売開始するようです。既にザルティアを製造する日本新薬が新たにザルティアとは別に医薬品を製造することはせず、包装と販売名だけ変更して変更して発売します。つまり中身はザルティアなのです。このように先発品を発売する製薬メーカーが同薬品を後発品としても発売する薬のことをオーソライズド・ジェネリック(AG)といいます。

ザルティア錠に関する各種文書
【医療・医薬関係者用】
添付文書
医療関係者用
インタビュー
フォーム
医療関係者用
くすりのしおり
2.5mg 5mg
ザルティア錠2.5mg
くすりのしおり
外部リンク
ザルティア錠5mg
くすりのしおり
外部リンク
503KB 2.00MB 246KB 245KB

そしてここからが重要です。
それはED治療を目的としてザルティアの処方を受けた際に処方を受けた側、つまり患者様にとって大きなデメリッットがある点です
医薬品副作用被害救済制度というのをご存じでしょうか?これは病院で処方された医薬品を適正に使用したのにも関わらず、ある一定以上の副作用にて健康被害にあった場合に公的機関より治療費の一部を負担してくれる公的な制度です。
これが以下のケースは救済の対象とはなりません。

  1. 医薬品の使用目的・方法が適正であったとは認められない場合。
  2. 医薬品の副作用において、健康被害が入院を要する程度ではなかった場合などや請求期限が経過した場合。
  3. 対象除外医薬品による健康被害の場合(抗ガン剤、免疫抑制剤などの一部に対象除外医薬品があります)以下参照
    医薬品副作用被害救済制度対象外医薬品(抗悪性腫瘍剤・免疫抑制剤など)
    医薬品副作用被害救済制度対象外医薬品(動物用医薬品、体外診断用医薬品等関係)
  4. 医薬品の製造販売業者などに明らかに損害賠償責任がある場合。
  5. 救命のためにやむを得ず通常の使用料を超えて医薬品を使用し、健康被害の発生があらかじめ認識されていたなどの場合
  6. 法定予防接種を受けたことによるものである場合(予防接種健康被害救済制度があります)。なお、任意に予防接種を受けた場合は対象となります。

厚労省はザルティアを「前立腺肥大症による排尿障害」の適応として承認したわけですからED治療の適応は認めていません。
よって上記対象外項目の 1. に該当するためザルティアをED治療目的にて処方されて重篤な副作用があった場合も副作用救済制度の適用になりません。

現状、ザルティアは、医療機関への卸値がタダラフィルとしての成分量単価で計算するとシアリス錠よりも安価になります。さらにシアリス錠よりも利益が取れる。
そのような理由から、一部の医療機関で自由診療におけるED治療目的でザルティアを処方しているところもございます。
まだ患者へのデメリットを説明して処方しているのなら良いですが、そのような説明を無しに、安くて便利ということだけを謳って処方している場合はかなり悪質であると判断して間違いないでしょう。
重要な注意点を以下にまとめておきましたので目を通しておいて下さい。

メリット

  • シアリスよりも安く処方が受けられる可能性がある。
  • ザルティアの場合タダラフィル[2.5mg]と[5mg]の規格になるため今までになかったタダラフィル15mgなどの服用が可能になる。(ザルティア5mg×3錠=タダラフィル15mg)
  • ザルティアはED治療薬ではないため他人に薬剤を見られてもEDであることがバレ難い

デメリット

  • ザルティアを服用して万が一、重篤な副作用を生じても医薬品副作用救済制度を受けられない。
  • 規格が最大でも[5mg]であるためシアリス20mg相当のタダラフィルを体内に得るには4錠も服用しなくてはならない。
院長 竹越 昭彦 たけこし あきひこ
略歴
  • 1966年 生まれ
  • 1991年 日本医科大学卒業
  • 1991年 日本医科大学付属病院
  • 1993~2002年 東戸塚記念病院 外科
  • 2004年10月 浜松町第一クリニック開院
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