EDとは ~定義、症状、分類、原因~

浜松町第一クリニック竹越昭彦院長監修

EDとは、英語の「Erectile Dysfunction」の略であり、「勃起機能の低下」を意味します。日本では「勃起障害」「勃起不全」と訳されますが、まったく勃起が起こらないケースに限らず、硬さや維持が不十分であることも含め、「満足な性交がおこなえない状態」のことをいいます。 俗に言われる中折れ(性行為の途中で萎えてしまう)がEDの一番多い症状です。

最近なんとなく勃ちが悪い、セックスの途中で中折れしてしまう・・・ などの症状を感じた時は、「ED」を疑ってみて下さい!
たとえば自分の意思に反して勃起するのに時間がかかったり、勃起したとしても射精する前に萎えてしまったりすることもEDに含まれるのです。つまり、自分の意思とは裏腹に機能が追い付かず、満足に性行為を行えないこと。こういえば、自分もEDかも・・・って思う方も増えるのではないでしょうか。

1998年の調査では日本では成人男性の4人に1人が、『時々、性交に十分な勃起を得ることができて維持することもできる』という中等度以上のED症状を抱えているとされています。しかし、日本国内でのEDの認知度はまだまだ低く、『たいていの場合、性交に十分な勃起を得ることができて維持することもできる』などのより軽度のEDも含めるとその推定数は2,500万人ともされており、そうなると成人男性の2人に1人がなんらかのED症状を抱えている計算になります。
特に、中等度ED以上の割合は40歳以上で増え、40代で5人に1人、50代で3人に1人、60歳代では2人に1人がEDを自覚しています。

参照:わが国におけるEDの疫学とリスクファクター 丸井英二 医学のあゆみ 201(6): 397-400, 2002.


2015年に開催された第4回コンサルテーション会議(Fourth International Consultation on Sexual Medicine: ICSM)にて「ED:勃起障害・勃起不全」(Erectile Dysfunction)」は以下のように定義されています。

【EDの定義】
満足な性行為を行うのに十分な勃起が得られないか、または(and/or)維持できない状態が持続または(or)再発すること

「性欲や興奮はあっても、なかなか勃起しない」「最初は勃起するけれど、持続ができない」「挿入できても途中で抜けて【萎えて】しまう」など、EDの症状は人によってさまざまです。これらの結果、性的能力に自信がもてず、性生活に億劫になってしまう人も多く見られます。

通常、性的な刺激を受けると、脳による興奮が神経を通して陰茎に伝わります。すると陰茎海綿体の動脈が拡張し、十分な血液が流れ込むことで大きく膨らむのが、いわゆる勃起という現象です。
しかし、神経や血管に何らかの問題があり、海綿体に十分な血液が送り込まれないと、満足のいく勃起が得られず、ED症状につながります。

勃起には、≪性的刺激を脳で感じる≫≪性的興奮が神経を通じて陰茎に伝達される≫≪陰茎動脈の拡張によって血液が性器海綿体に流れ込む≫という3つが必要不可欠です。脳が性的刺激を受けると、性的興奮が脳から陰茎に伝わり、陰茎動脈血管の内皮細胞から一酸化窒素(NO)が分泌されます。これが陰茎海綿体の平滑筋の中で、サイクリックGMPという神経伝達に関わる物質を産生し、血管平滑筋を弛緩させます。すると大量の血液が海綿体内に流入して、勃起が起こります。
これらのうち一つでもうまく働かないと、十分な勃起が起こらず、十分な硬さが出ない、中折れなどのED症状が起こります。また神経や血管の損傷が大きい場合には、まったく勃起をしないということも起こりえます。

人によって様々な原因が考えられますが、大きく分けると以下の3つに分類されます。

器質性ED(血管や神経の傷害)とは?

中高年からのEDに多いものが、「器質性ED」です。器質性EDとは、神経の障害や、血管の動脈硬化の進行などが原因となって起きてしまうEDのこと。病気がなくても、30歳を過ぎると加齢と共に血管は老化してくるため、弾力性が徐々に低下して(動脈硬化)EDの症状を自覚してくる方が出てきます。動脈硬化になると血管が十分に拡がらず、血の巡りが悪くなり、陰茎海綿体にも十分な血液が流れ込まなくなります。

生活習慣病(高血圧・糖尿病・高脂質症など)の方は特に要注意!

生活習慣病も血管に負担をかけますから、それが原因で動脈硬化が進行してしまうことも考えられます。他にも、喫煙や過度の飲酒も同様の危険性が!最近ED気味かも・・・と思ったら、まずは見直すことのできる生活習慣から変えていきましょう。

また、正常に勃起をするためには神経が重要です!神経には脳を含む中枢神経と、脳と末梢をつなぐ脊髄神経と、身体全体につながる末梢神経がありますが、性的刺激を受けた時に、これらの神経を通して「今だ!勃起せよ!」と陰茎に命令します。しかし、神経に障害を受けると、その命令を下してもうまく陰茎まで伝わらないため、EDの原因となってしまうのです。

神経系の異常としては、糖尿病性神経症やパーキンソン病などの内的要因と、脳出血や不慮の事故による脊髄の損傷、前立腺肥大や前立腺がんの一部の手術のように外部からの神経を傷つけるような外傷が原因となることもあります。

心因性ED(精神的なストレス)とは?

EDといったら、「中高年に多い症状」というイメージを持っている方も多いのではないでしょうか?

20代、30代でも中折れや勃起障害に悩んでいる方が多く、そんな方に多いのが、「心因性ED」です。身体には不調がないのにいざという時に勃起しなかったり、頻繁に中折れしたり、というのは、仕事や家庭などの日常生活におけるストレスや、性交がうまくいかなかったことのトラウマなどの精神的ストレスが引き金となってしまっているのです。奥さんから子作り宣言された日だけはなぜかうまくいかない・・・ってことはありませんか?

それは「今日だけはうまくやらなきゃ!」というプレッシャーが大きなストレスとなり、神経に性的興奮がうまく伝わらないことで、自分の意思とは裏腹に、勃起できなくなってしまうんですね。このようなストレスやプレッシャーがあると、性的な興奮が神経を通してスムーズに陰茎に伝わりにくくなり、EDを引き起こします。

性行為自体の経験が浅い10代後半~20台前半の若い男性が緊張からなる場合や、仕事で忙しくまた子作り世代でもある30代~40代の男性に多いパターンです。

また、最近増えているうつ病によるEDです。「性欲が出ない」、「性行為が面倒」なども、この心因性EDに分類されます。

薬剤性ED(特定の薬による影響)とは?

ある疾患で内服している治療薬が原因で引き起こされるEDが「薬剤性ED」です。つまり薬の副作用が原因で起きてしまうEDのこと。当院でも年齢的にまだ若い世代で尚且つ抗うつ薬・向精神薬・睡眠薬を服用している方や、年齢に関わらず高血圧の人に処方される降圧剤を服用している人などでは薬剤性EDを疑うようにしています。実際に主治医に服用している薬剤を変更してもらっただけでEDが改善に向かう人もいました。

具体的には、どのような薬が薬剤性EDになりやすいのか?これについては日本性機能学会が監修を務める【ED診療ガイドライン】に「EDを引き起こす可能性のある薬剤」として掲載されています。

降圧剤利尿剤(サイアザイド系、スピロノラクトン)
Ca拮抗剤
交感神経抑制薬
β遮断剤
精神神経薬抗うつ薬(三環系抗うつ剤、SSRI、MAO阻害薬)
向精神病薬(フェノチアジン系、ブチロフェノン系、スルピリド、その他)
催眠鎮静薬(バルビツール系)
麻酔
ホルモン剤エストロゲン製剤
抗アンドロゲン薬
LH-RHアナログ
5α還元酵素阻害薬
抗潰瘍薬スルピリド、メトクロプラミド、シメチジン
脂質異常症治療薬スタチン系
フィブラート系
呼吸器官・アレルギー用剤ステロイド剤
テオフィリン
β刺激薬・抗コリン薬
抗ヒスタミン薬(クロルフェニラミン、ジフェンヒドラミン)
プソイドエフェドリン
その他非ステロイド抗炎症薬(NSAIDs)

SSRI:選択的セロトニン再取込み阻害薬、MAO:モノアミン酸化酵素


特に抗うつ薬・向精神薬は、添付文書にも副作用としてEDがあることが明記されていないことが多いです。そのため、精神科又は心療内科にて処方を受ける際に副作用でEDがあることを主治医から伝えてもらっていないケースが多く見受けられます。またうつ病などの精神疾患の場合では、精神的に弱っているので性行為を試みる人も少ないので、当院に来院されて初めて薬の影響でEDになっている可能性を知る人が多いのが現状です。

心配なのは上記のEDガイドラインにも書かれているのですが、薬剤性EDのことを知らずに多くのうつ病患者さんがEDも心の病だと思い込んで更に病状を悪化させる可能性があるという点です。

複合型EDとは?

実際には、『EDの原因はこれだ』と特定することは難しく、上記の1~3が複合して起こることが多くあります。加齢による動脈硬化と降圧剤の副作用、仕事での疲れやストレスなどが複合して絡んでいることが多く見受けられます。いずれの要因の場合でも、バイアグラなどのED治療薬は有効ですので、当院にご相談ください。

まず試してみてほしいのは、バイアグラをはじめとするED薬の服用です。ED治療薬を服用し、その効果を判定するのが近年の主流となっています。特定の手術や疾患がない場合には、ほとんどの場合でED治療薬の内服で大きな改善が見られます。日本ではバイアグラとレビトラ、シアリスの3種類の治療薬が販売されています。陰茎の血管を拡張し、血液の循環を良くする作用があり、医師の診察のもとで処方を受けることができます。


また生活習慣病やうつ病などがある方は、EDをこれ以上進行させないためにも、それぞれの原因に応じた対策をとっていくことが重要です。たとえば糖尿病や高血圧などの生活習慣病による器質性EDの場合は、生活習慣の見直しや治療薬で、血糖値や血圧を正常に保ち続けることも大切です。

心因性EDでは、カウンセリングのほか、パートナーとの信頼関係の構築も重要です。(当院ではカウンセリングは行っておりません。)

薬剤性EDの場合は、ED治療薬の併用で十分な効果が得られない場合には、主治医の先生と相談しながら常用している薬を見直すことを当院よりお勧めする場合もございます。

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