射精障害について

浜松町第一クリニック 竹越昭彦院長 監修

射精障害とは、ED(勃起不全)と同じ性機能障害の一種です。一般的には以下のA~Dよのケースに分類されます。
「満足な性行為ができない」「パートナーに申し訳ない」「恥ずかしい」という悩みがある点はEDと共通していると言えます。EDの悩みと同様、カップルや夫婦の関係が悪化するケースもよくあり、逆行性射精や膣内射精障害に至っては妊活(子作り)にも影響を及ぼすため深刻な事態に発展してしまうこともあります。

射精障害の種類

  • A.射精時にオーガズムに達するが精子の量が少ない。または精子がほとんど出ない。
    【逆流性射精】
  • B.性行為の時に挿入前、もしくは挿入してすぐに射精してしまう。
    【早漏】
  • C.性行為の時に長時間射精できない。
    【遅漏】
  • D.オナニーだと射精ができるのに性行為だと射精できない。
    【膣内射精障害】

勃起障害との違い

以下の①~⑦は男性が性交中に射精に至るまでの体内での仕組みを段階的に表したものです。
①~④までの勃起までのプロセスにおけるトラブルは勃起障害。
⑤~⑦までの射精までのプロセスにおけるトラブルは射精障害です。

  • ①性的刺激を受け脳の中枢神経が興奮。
  • ②脊髄神経を通って陰茎に伝わる。
  • ③体内では一酸化窒素が分泌され局部の細胞内に血管を拡張させるサイクリックGMPが増え海綿体の平滑筋が弛緩。
  • ④血液が通常時よりも多く海綿体へと流入し男性器が勃起する。
  • ⑤性的興奮が高まってくると精巣上体にある精子が「精管」へと送られる。
  • ⑥さらに精管の動きによって「射精管」へと入り精子は「精嚢(せいのう)」からの分泌液と混ざり合い、その後、前立腺に送られて前立腺液とも混ざり合う。
  • ⑦その後、性的興奮が頂点に達する(オーガズムに達する)と前立腺の平滑筋によって尿道へと押し出され、陰茎の先端部(外尿道口)から射精する

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射精の仕組みは前項での⑤~⑦です。「精巣上体にある精子が精管へ運ばれる」⇒「射精管へ送られ精嚢液と前立腺液と混ざり精液に」⇒「前立腺の平滑筋により尿道を通り陰茎の先端部から放出」これが射精です。
通常は以下の図の赤い矢印の経路で精液が通り射精しますが、逆流性射精の場合は黄色い矢印の膀胱側に精液が流れてしまうためオーガズムに達し射精感はあっても放出される精液の量が少なくなったり、無射精(精液が出ない)といったことが起こるのです。


この現象は通常、射精の際に尿道側に精液が流れるように反射的に膀胱頸部(ぼうこうけいぶ)が閉じて精液が膀胱側への流れを防ぐのですが、膀胱頸部がしっかり閉じていないことで起こります。前立腺肥大の手術や事故等による脊髄損傷、糖尿病による末梢神経障害、薬剤の副作用(主にユリーフ錠:シロドシン)が主な要因です。
射精感(オーガズム)は得られることと身体に悪影響を及ぼすものではないので基本的には治療はせず様子見となる場合が多いのですが、妊活中のご夫婦にとっては射精時に精液が出ないというのは不妊に繋がるので大きな問題となります。その場合は膀胱頸部を閉じる際に大きく関わる交感神経の作用を強める三環系抗うつ薬の投与が行われますが有効率は3割程度なので投薬では解決しないことも多く、最終的には、膀胱内の精子を採取、または精巣から精子を採取して人工授精(AIH)・体外受精(IVF)・顕微授精(ICSI)のいずれかの選択を迫られることになります。

国際性医学会による早漏の定義

早漏については早漏の定義でも説明させていただいている通り、国際性医学会(ISSM)では性行為時に「毎回」もしくは「ほぼ毎回」挿入前または挿入後1分以内に射精してしまうこと。とされていますが、一般的には「適正と思う挿入時間」より早期に射精してしまう場合のことと考えている人が多く、この適正と思う時間も人それぞれなので、何分以内などと時間で定義するのは難しいと考えています。

早漏と思う時間を男女別で調査

Q.早漏だと感じるのは挿入から射精まで何分くらいだと思いますか?

【回答者】
20~50代男性 各650名(10歳階級)合計:2,600人
20~50代女性 各650名(10歳階級)合計:2,600人

年代 1分
未満
1~3分
未満
3~5分
未満
5~7分
未満
7~10分
未満
10~12分
未満
12~15分
未満
15~20分
未満
20~30分
未満
30分
以上
合計

20代 88
(13.5%)
220
(33.8%)
171
(26.3%)
59
(9.1%)
50
(7.7%)
16
(2.5%)
11
(1.7%)
7
(1.1%)
6
(0.9%)
22
(3.4%)
650
(100%)
30代 106
(16.3%)
262
(40.3%)
152
(23.4%)
63
(9.7%)
24
(3.7%)
12
(1.8%)
4
(0.6%)
3
(0.5%)
11
(1.7%)
13
(2.0%)
650
(100%)
40代 126
(19.4%)
236
(36.3%)
190
(29.2%)
40
(6.2%)
31
(4.8%)
9
(1.4%)
6
(0.9%)
1
(0.2%)
3
(0.5%)
8
(1.2%)
650
(100%)
50代 123
(18.9%)
248
(38.2%)
168
(25.8%)
37
(5.7%)
48
(7.4%)
6
(0.9%)
6
(0.9%)
7
(1.1%)
1
(0.2%)
6
(0.9%)
650
(100%)

20代 117
(18.0%)
243
(37.4%)
164
(25.2%)
60
(9.2%)
39
(6.0%)
8
(1.2%)
5
(0.8%)
4
(0.6%)
0
(0.0%)
10
(1.5%)
650
(100%)
30代 143
(22.0%)
260
(40.0%)
147
(22.6%)
44
(6.8%)
22
(3.4%)
12
(1.8%)
6
(0.9%)
4
(0.6%)
3
(0.5%)
9
(1.4%)
650
(100%)
40代 147
(22.6%)
255
(39.2%)
167
(25.7%)
38
(5.8%)
19
(2.9%)
9
(1.4%)
3
(0.5%)
3
(0.5%)
0
(0.0%)
9
(1.4%)
650
(100%)
50代 178
(27.4%)
234
(36.0%)
141
(21.7%)
40
(6.2%)
35
(5.4%)
9
(1.4%)
6
(0.9%)
3
(0.5%)
1
(0.2%)
3
(0.5%)
650
(100%)
男性
合計
443
(17.0%)
966
(37.2%)
681
(26.2%)
199
(7.7%)
153
(5.9%)
43
(1.7%)
27
(1.0%)
18
(0.7%)
21
(0.8%)
49
(1.9%)
2600
(100%)
女性
合計
585
(22.5%)
992
(38.2%)
619
(23.8%)
182
(7.0%)
182
(7.0%)
115
(4.4%)
38
(1.5%)
20
(0.8%)
14
(0.5%)
31
(1.2%)
2600
(100%)

早漏でお悩みの方も女性の早漏に対する時間が気になるところだと思います。しかし、この調査からわかったことは、男女共に早漏だと感じる時間に対する意識は、ほぼ同等だということ。最も多いのが男女共に「1~3分未満」ですので早漏を克服したい男性はまずは3分を目指すといいでしょう。
「5分以上」になると一気に男女共に下がります(女性は5分未満が84.5%)。ですから、3分の次は5分をクリアーできれば早漏の完全克服と考えてよいでしょう。反対に、5分程度で射精してしまう男性の場合、悩まなくてもよいということです。

早漏克服目標は3~5分間。どう維持させるか?

最も手軽でお勧めなのはコンドームを二重にしたり、オカモトのニューゴクアツ相模ゴムのサガミ009ドット不二ラッテクスのザ・ベストコンドーム ストロングなどの分厚いコンドームを付けて物理的な刺激を少なくすることで、かなり効果は期待できます

ED治療薬で解消できる?

またED気味になってから早漏で悩まされるようになった場合には、ED治療薬で早漏改善の可能性でも説明している通り、「中折れになってなるものか!」とか「どうにか陰茎の硬さが十分な内に射精したい!」という感情から挿入後の腰の動きが早まったり、イキみ気味となることが早漏の要因となっている場合もあります。また、不十分な陰茎は十分な陰茎よりも物理的な刺激を多く受けてしまうがために射精が早まることが考えられます。
よってバイアグラ等ED治療薬の服用で改善する可能性も十分あるのです。

早漏の治療薬について

その他、日本では認可が下りていませんが海外の数カ国では早漏治療としてダポキセチン(Dapoxetine)を有効成分とするプリリジー(Priligy)が使用されています。
ダポキセチンは厚労省"未認可"ですが、この成分はSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)という分野の薬で国内では抗うつ薬としてパキシル(パロキセチン)、ジェイゾロフト(セルトラリン)、レクサプロ(エスシタロプラム)、デプロメール・ルボックス(フルボキサミン)が厚労省の認可を得ています。よってこれらを利用して早漏治療を行っている医療機関もあります。

※当院ではプリリジーは国内未承認医薬品であるため取り扱っておりません。

遅漏とは

早漏とは逆に「適正と思う挿入時間」よりも大幅に長い時間、射精に至らないことをいいます。時間をかけても射精に至らないと次項の【膣内射精障害】となります。
次項の調査では女性が遅漏と思う時間は「20~30分」が最も多く、「理想的な挿入時間の調査」では「5~10分」という女性が多いことから、遅漏でお悩みの方は15分以内での射精を目標にするのがよいでしょう。
遅漏の原因としては、「握りしめが強すぎたり、床に強くこすりつける間違ったマスターベーションを続けた結果、膣内での刺激では物足りなくなる。」「手術や糖尿病、深酒等で神経の伝達が悪くなる。」「鬱病の治療薬の副作用。」「元々性行為自体に抵抗がある」「毎回、刺激の強いアダルトビデオを見てマスターベーションを行っていたがために、通常の性行為では性的興奮を抱き難くなる」等々、要因はかなり幅広いのです。
薬の副作用が要因の場合は違う薬に変更したりと対策が取れますが、それ以外だと問診で遅漏となっている原因を模索し、対処していくしかありません。つまり遅漏には特効薬は存在しないのです。

早漏と思う時間を男女別で調査

Q.遅漏だと感じるのは挿入から射精まで何分だと思いますか?

【回答者】
20~50代男性 各650名(10歳階級)合計:2,600人
20~50代女性 各650名(10歳階級)合計:2,600人

年代 5~10分
未満
10~15分
未満
15~20分
未満
20~30分
未満
30~40分
未満
40~50分
未満
50~60分
未満
60分
以上
合計

20代 33
(5.1%)
62
(9.5%)
104
(16.0%)
174
(26.8%)
127
(19.5%)
38
(5.8%)
30
(4.6%)
82
(12.5%)
650
(100%)
30代 33
(5.1%)
56
(8.6%)
123
(18.9%)
149
(22.9%)
159
(24.5%)
41
(6.3%)
27
(4.2%)
62
(9.5%)
650
(100%)
40代 38
(5.8%)
54
(8.3%)
87
(13.4%)
172
(26.5%)
174
(26.8%)
42
(6.5%)
17
(2.6%)
66
(10.2%)
650
(100%)
50代 41
(6.3%)
42
(6.5%)
81
(12.5%)
177
(27.2%)
143
(22.0%)
53
(8.2%)
29
(4.5%)
84
(12.9%)
650
(100%)

20代 44
(6.8%)
78
(12.0%)
118
(18.2%)
163
(25.1%)
136
(20.9%)
41
(6.3%)
23
(3.5%)
47
(7.2%)
650
(100%)
30代 73
(11.2%)
86
(13.2%)
123
(18.9%)
165
(25.4%)
105
(16.2%)
35
(5.4%)
19
(2.9%)
44
(6.8%)
650
(100%)
40代 84
(12.9%)
104
(16.0%)
119
(18.3%)
155
(23.8%)
116
(17.8%)
28
(4.3%)
15
(2.3%)
29
(4.5%)
650
(100%)
50代 121
(18.6%)
105
(16.2%)
119
(18.3%)
131
(20.2%)
107
(16.5%)
27
(4.2%)
8
(1.2%)
32
(4.9%)
650 (100%)
男性
合計
145
(5.6%)
214
(8.2%)
395
(15.2%)
672
(25.8%)
603
(23.2%)
174
(6.7%)
103
(4.0%)
294
(11.3%)
2600
(100%)
女性
合計
322
(12.4%)
373
(14.3%)
479
(18.4%)
614
(23.6%)
464
(17.8%)
131
(5.0%)
65
(2.5%)
152
(5.8%)
2600
(100%)

「早漏」は反対に「遅漏と思う時間」に対する意識調査も実施しました。女性が考える遅漏の1位は「20~30分」、2位は「15~20分」、3位「30~40分」で、これらが6割以上を占めました。「15分未満」と答えた女性が26.7%だったことも踏まえると、挿入後15分以上が経過すると「長い」と感じる女性が増えてくるといえるでしょう。その他の調査で「理想的な挿入時間の調査」でも、女性の多くは5~10分と答えていますので、「15分」が遅漏の分岐点になるといえます。
また、世代別で見ると、年を重ねるごとに15分未満でも遅漏だと感じる女性が増える傾向にありました。理想的な挿入時間の調査でも、女性は年を重ねるごとに短い時間を求める傾向があったので、年齢によっては挿入時間を短めにする意識が必要でしょう。

マスターベーションでは射精に至るが性行為の際に膣内だと射精ができない状態を膣内射精障害といいます。要因としては、前項の遅漏の要因と重なることが多いのですが、その中でも特に多いのが間違ったマスターベーションによるものです。
基本的なマスターベーションは利き手で陰茎を握り上下にピストン運動をするやり方ですが、その際に陰茎を強く握りしめ過ぎてマスターベーションを繰り返したり、うつ伏せになり床に局部を強く擦り付けるマスターベーションを繰り返したりすることに慣れてしまうと実際の性行為の際にマスターベーションの時の感覚と異なるため射精に至らなくなるのです。当院のサイト内にてマンガでも解説しています。


この解決策としては、まずはマスターベーションのやり方を改めることです。強く握りしめず力を抜いてピストン運動をして射精できるようにしましょう。床に擦り付けるのは完全に間違っているので基本型に戻すようにしましょう。
またオナニー自体の回数を減らしたりすることも良いのですが、実際の性行為に近付けるためにオカモトのゴクアツや相模ゴムのサガミ009ナチュラル、不二ラテックスのザ・ベストコンドーム ストロング等の分厚いタイプのコンドームを装着して陰茎や亀頭への刺激を緩和させる方法も効果的です。
コンドームを付けたとしても強く握りしめてしまっては意味が無いので注意して下さい。

他にはTENGAヘルスケアが発売するメンズトレーニングカップ フィニッシュトレーニングという遅漏改善器具もあります。これは、オナニー器具で有名な「TENGA」と同じ形状ですが刺激の違う5種類のTENGAを使い、段階的に使用していき挿入時に近いマイルドな刺激でも射精ができるようにする遅延、膣内射精障害専用のマスターベーショントレーニング器具です。

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