排卵日のプレッシャーでED「マンガ」
浜松町第一クリニック 竹越昭彦院長 監修
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あくまで私の推測ではありますが、妊活を始める前は、夫婦ともに「愛し合った結果として、自然に子どもを授かる」というロマンチックなイメージを持っている方が多いのではないでしょうか。
ところが、いざ妊活が始まると、性行為が「夫婦の愛情表現」から「妊娠するための手段」へと変わってしまい、それが旦那さんにとって大きな精神的プレッシャーになることがあります。
結婚して数年が経つと、親や親戚、友人など周囲から「そろそろ子どもは?」と聞かれる機会も増え、夫婦ともにプレッシャーを感じるようになります。すると、これまで大切にしていたロマンチックな時間よりも、「いつ妊娠できるか」という現実的な問題を優先するようになり、本格的な妊活が始まります。
奥様は排卵日を予測するために基礎体温を測ったり、排卵検査薬を使用したりして、妊娠しやすいタイミングを確認します。そして排卵日が近づくと、旦那さんに「たぶん明日か明後日が排卵日だから、よろしくね」と伝える――。
もちろん、妊娠を望む夫婦にとってタイミングを合わせることは大切です。しかし、このような状況が続くと、旦那さんにとって性行為が「愛し合うためのもの」ではなく、「決められた日に必ず成功させなければならないもの」になってしまうことがあります。
最初のうちは協力的に応じていても、何度かうまくいかない経験が重なると、「今回も成功させなければ」「排卵日に失敗したらどうしよう」「また妻をがっかりさせてしまう」といった焦りやプレッシャーが積み重なっていきます。
さらに、「本当はもっと自然な形で子どもを授かりたかったのに……」という戸惑いや、妊活そのものに対する精神的な負担が重なることで、性行為に集中できなくなり、勃起が十分に得られなかったり、途中で萎えてしまったりすることがあります。
一度、中折れを経験すると、「また失敗したらどうしよう」という予期不安が生まれ、それが次の性行為へのプレッシャーとなります。そして、その不安から再び中折れしてしまう――このようにして、妊活をきっかけとしたEDの負のスパイラルに陥ってしまうことがあります。
このような場合には、ED治療薬を活用して、まずは「性行為を最後までできた」という成功体験を取り戻すことも一つの方法です。ED治療薬には勃起をサポートする作用があり、妊活中の男性でも医師の診察を受けたうえで使用することができます。
実際に、ED治療薬を使用することで性行為へのプレッシャーが軽減され、「服用したことでうまくいった」という自信を取り戻せる方もいます。こうした成功体験を重ねることで、次第に「また失敗するかもしれない」という不安が和らぎ、自然な性生活を取り戻せる場合もあります。
なお、バイアグラなどのED治療薬は、妊活目的で使用する場合に一定の条件を満たせば健康保険が適用されます。厚生労働省では、勃起不全による男性不妊の治療を目的として一般不妊治療におけるタイミング法で使用する場合、医師の要件や患者・パートナーの不妊治療に関する受診状況など、所定の条件をすべて満たす場合に保険適用の対象としています。
また、妊活中にED治療薬を使用することについて不安がある場合は、自己判断で使用するのではなく、妊活の状況や服用中の薬などを医師に伝えたうえで相談することが大切です。
妊活は夫婦二人で取り組むものですが、排卵日を意識するあまり、性行為そのものが「義務」になってしまうことがあります。妊娠することだけに意識を向け過ぎず、夫婦のコミュニケーションや気持ちの余裕も大切にすることが、妊活中のEDを防ぐうえでも重要です。
同じように「妊活を始めてから勃たなくなった」「排卵日に限って中折れしてしまう」と悩んでいる方は、決して珍しくありません。一人で抱え込まず、パートナーと気持ちを共有するとともに、必要に応じて医療機関へ相談することをおすすめします。
妊活を始めてから、「排卵日になるとなぜか勃起できない」「排卵日以外なら問題ないのに、タイミングを取ろうとすると中折れしてしまう」という男性は決して珍しくありません。
これは、性欲がなくなったからでも、パートナーに魅力を感じなくなったからでもありません。「排卵日に必ず性行為を成功させなければならない」というプレッシャーが、性的な興奮よりも緊張を強くしてしまうことが主な原因の一つです。
日本泌尿器科学会・日本生殖医学会の「男性不妊症診療ガイドライン2024」でも、タイミング法によって排卵日に性交を求められるプレッシャーが心因性EDの原因になることが示されています。
排卵日に性行為をしなければならないというプレッシャー
妊活では、妊娠しやすい時期を予測して性行為のタイミングを合わせることがあります。しかし、排卵日が近づくたびに「今日は絶対に成功させなければ」と考えるようになると、性行為がいつの間にか「愛情表現」ではなく「妊娠するための義務」のように感じられてしまうことがあります。
特に、「今日失敗したら今月のチャンスを逃してしまう」と考えるほど、焦りや緊張が強くなります。その結果、性的な刺激に集中できず、勃起しにくくなったり、中折れしたりすることがあります。
解決方法
「排卵日だから成功させなければ」と考え過ぎない
妊活中であっても、性行為を「必ず成功させなければならないもの」と考え過ぎないことが大切です。
- 性行為を義務として捉え過ぎない
- 「今日必ず妊娠させなければ」と考えない
- 性行為そのものを楽しむ気持ちを忘れない
- パートナーとプレッシャーについて話し合う
「排卵日だからこそ、焦らず二人の時間を楽しもう」と考えることで、精神的な負担が軽くなる場合があります。
「今度こそ成功しなければ」という焦り
一度、排卵日に中折れや勃起不全を経験すると、「また失敗するかもしれない」という不安が生まれます。
そして次の排卵日には、性行為を始める前から「今日は大丈夫だろうか」「また途中で萎えたらどうしよう」と自分の勃起ばかりを気にしてしまいます。こうした予期不安がさらに緊張を高め、再び勃起できないという悪循環に陥ることがあります。
解決方法
一度の失敗を引きずらず、成功体験を積み重ねる
- 過去の中折れを必要以上に気にしない
- 「また失敗するかもしれない」と考え過ぎない
- 挿入や射精だけを性行為の目的にしない
- 必要に応じてED治療薬を活用する
「以前は失敗したけれど、今回は最後までできた」という経験を重ねることで、自信を取り戻せる場合があります。
パートナーからの期待がプレッシャーになる
妊活中は、女性側も排卵日を意識しているため、「今日は排卵日だからお願いします」と伝えることがあります。もちろん妊娠を望む夫婦にとっては自然なことですが、男性側がその言葉を「今日は絶対に応えなければならない」というプレッシャーとして受け止めてしまうことがあります。
また、過去に中折れした経験があると、パートナーの何気ない言葉や表情まで「期待されている」「また失敗したらがっかりされる」と感じてしまうことがあります。
解決方法
夫婦でプレッシャーを共有し、二人で妊活に取り組む
男性だけが「排卵日に性行為を成功させる責任」を背負わないことが大切です。
- 「排卵日になるとプレッシャーを感じる」と正直に伝える
- パートナーの気持ちも聞いてみる
- 性行為がうまくいかなかったときに責めない
- 妊活について夫婦で一緒に考える
お互いの気持ちを理解することで、性行為に対する心理的な負担を軽減できることがあります。
妊娠することばかりを意識して性行為を楽しめなくなる
妊活が長くなると、「妊娠できるかどうか」という結果ばかりを意識してしまい、夫婦のスキンシップや性行為そのものを楽しむ余裕がなくなることがあります。
「排卵日だからする」「妊娠のためにしなければならない」という気持ちが強くなるほど、性行為が作業のようになり、性的な興奮が起こりにくくなる場合があります。
解決方法
妊活と夫婦の性生活を切り離して考える時間もつくる
- 排卵日以外にもスキンシップを大切にする
- デートや旅行など夫婦二人の時間を楽しむ
- 性行為を妊娠のためだけのものにしない
- 性行為以外のコミュニケーションも大切にする
妊活だけでなく、夫婦としての関係そのものを大切にすることで、性行為に対する緊張や義務感を和らげることにつながります。
疲労やストレス、生活習慣などによる勃起力の低下
「排卵日のプレッシャー」が原因だと思っていても、実際には仕事の疲労や睡眠不足、過度の飲酒、加齢、生活習慣病などによって、もともとの勃起力が低下している場合もあります。
そこに「今日は排卵日だから成功させなければ」という心理的なプレッシャーが加わることで、普段よりも勃起しにくくなることがあります。つまり、身体的な要因と心理的な要因が重なってEDが起こるケースもあります。
解決方法
生活習慣を見直し、必要に応じて医療機関へ相談する
- 十分な睡眠を取る
- 適度な運動を習慣にする
- 過度な飲酒を控える
- 禁煙を心掛ける
- 高血圧や糖尿病などの生活習慣病を適切に管理する
- 症状が続く場合は医療機関へ相談する
勃起力そのものが低下している場合には、ED治療薬による治療が選択肢となります。妊活中のEDについては、男性不妊の診療でも治療対象となっており、医師に相談しながら適切な治療を受けることが大切です。