竹越昭彦院長コラムEDの原因を医学的に解明する

浜松町第一クリニック 竹越昭彦院長 監修

EDの原因は、大きく4つに分けられます。1つは器質性のものです。器質性とは、すなわち身体的原因によるEDのことを指し、主に神経系と血管系の障害によって起こります。2つ目はメンタルが要因となる心因性、3つ目は薬の副作用が原因となる薬剤性、そして最後に器質性・心因性・薬剤性が混合する混合性です。

「心因性ED」については、1999年、国際インポテンス学会の用語委員会によるED分類試案では、「一般型」と「状況型」の2つに大きく分類しています。今回は、この器質性と心因性、薬剤性の3つの要因について解説していきましょう。


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器質性EDの原因は大きく分けて「神経系」か「血管系」の2つあります。両方ともが原因の場合もありますが、まずは「神経系」の障害が原因となるケースについて解説していきたいと思います。「神経系の障害が原因となる」とはつまり、「神経に障害が生じることで、脳が興奮を感じても勃起命令が伝達しない」ということです。

糖尿病

この症状を引き起こす最も多い原因が、生活習慣病として知られる「糖尿病」です。糖尿病は血液の病気ですが、血液中のブドウ糖濃度が高い状態が続くことで血管を傷つけるだけでなく、さまざまな臓器や神経に悪影響を及ぼします。
糖尿病による神経の障害は「糖尿病性末梢神経障害」と呼ばれ、脳からの命令が伝わりにくくなることでEDに繋がるわけです。
2016年に厚労省が実施した調査では「糖尿病が強く疑われる者(糖尿病有病者)が約1,000万人」「糖尿病の可能性を否定できない者(糖尿病予備群)も約1,000万人」いると推計されています。

空腹時血糖値(GLU)126mg/dL以上、またはヘモグロビンA1c(HbA1c)6.5%以上で糖尿病の可能性が高いと判定されます。

手術や外傷

また、自動車やバイク事故などによる脊髄損傷、そして椎間板ヘル二アも神経障害による器質性EDの原因です。脊髄損傷のケースでは、同時に勃起に関係する神経が傷ついたり切れたりしてしまうことで脳からの勃起命令が伝わりづらくなってしまいますし、椎間板へルニアでは、加齢によって変性した椎間板の組織が脊髄や神経を圧迫することで、やはり脳からの勃起命令が伝わりづらくなってしまいます。
ほかにも、多発性硬化症などの神経の病気が原因となったり、前立腺がん、直腸がんなどの骨盤内外科手術の際に神経が切断されてしまったりすることもあります。この場合のED解決法はED治療薬では効果は期待できないのでプロスタグランジンE1製剤を、直接陰茎海綿体に注入し、強制的に勃起させるICI療法の選択となります。

動脈硬化

一方、「血管系」の障害による器質性EDは、血管が細くなり、血流が悪くなることによって、ペニスの海綿体に十分な血液が流れ込まなくなってしまうために起こります。血管系の障害が起きる原因としては「動脈硬化」が圧倒的に多く、これは血管が硬くなることで大量の血液が流れるだけの太さに広がらなくなってしまうためです。

動脈硬化が進行し、冠動脈が詰まると心筋梗塞が、内頚動脈で血栓ができると脳梗塞に繋がりますが、「陰茎動脈」が詰まると陰部への血流が悪くなりEDとなるのです。
動脈硬化は、決して大動脈などの太い血管だけに起きる症状ではなく、ペニスの海綿体の中にあるような、ごく細い血管でも起こります。動脈硬化になると最初に出る症状がEDというのは、こうした理由があるのです。

脂質異常症

また、脂質異常症(高脂血症・高コレステロール血症)も血管系の器質性EDの原因のひとつです。脂質異常症とは血中脂質値が高い状態ですが、当然、血液がドロドロの状態になれば血流は悪化し、EDを引き起こしてしまいます。

LDLコレステロール(悪玉コレステロール)140mg/dL以上、HDLコレステロール(善玉コレステロール)40mg/dL未満、トリグリセライド(中性脂肪のことで血液検査では「TG」と略されています)150mg/dL以上のいずれかで脂質異常症と判定されます。

器質性EDの患者様は、これら神経系、血管系のどちらか、あるいは両方に障害を持っています。たとえば、神経系障害による器質性EDの原因トップは糖尿病であることをお伝えしましたが、糖尿病は血管系障害による器質性EDの原因にもなるのです。糖尿病により動脈硬化や高血圧が起こり、血管が細くなることでEDに繋がることもよくあります。さまざまな合併症を引き起こすことでも知られる糖尿病ですが、EDにおいても血管系と神経系の両方の原因となっているのです。

器質性EDと生活習慣病の関係の徹底調査も行っておりますのでご興味ある方は、以下の当院のページもご参照いただければと思います。

2つ目のEDの大きな原因が「心因性」によるものです。ストレスや不安、うつ病など、心理的な原因によって起こるEDを指します。血管や神経の障害による器質性EDは、加齢による影響が顕著なために50代以降の男性に多く見られますが、心因性EDは20~30代の男性に最も多く見られるのが特徴です。

そして、その原因は患者様によってさまざまです。代表的なのは、性行為での失敗体験がトラウマになっている「自信喪失型」のケース。ペニスの勃ちがいまひとつで、うまくSEXを行えなかった――。そんなときに、「それでも男なの? だらしないわねぇ」などと、女性から心ない一言を言われて傷つき、心因性EDを発症するケースは珍しくありません。

こうした経緯で心因性EDを発症すると、往々にして「また勃たなかったら、どうしよう……」と負のループに陥ってしまいます。

心因性EDでは、何よりも自信を持つことが肝心ですが、焦りが焦りを呼び、泥沼から抜け出せなくなってしまうのです。そして、次第にSEXそのものを敬遠するようになってしまいます。

また、こうした直接的にSEXと関係のある悩み、不安以外がきっかけで心因性EDを発症するケースもあります。心因性EDは、さまざまな精神的問題が原因となり得るため、多くの種類があるのです。

(ⅰ) 一般型の心因性ED

一般型の心因性EDとは、「状況の変化とは無関係に常時発症するED」と定義されています。言い換えれば、精神的な要因により、シチュエーションや性行為の相手を問わず、どんなときでも、相手が誰でも勃起しない、もしくは勃起が難しいタイプのEDです。

このタイプのEDは、さらに「無反応型」と「抑制型」に分かれます。
無反応型とは、まさに「性的に枯れている」状態を指し、そもそも勃起を促すための第一段階である性的興奮を覚えないタイプです。もちろん、性的興奮を覚えなければ勃起には至りません。このタイプは性的に興奮することがなくなってきた年配の方によく見られます。

一方、抑制型とは、パートナーとの人間関係が原因でSEXを避けるようになり、性中枢のスイッチを気づかぬうちに切ってしまった結果、発症するタイプのEDです。具体的な性的接触だけでなく、パートナーとのSEXをイメージすることすら避けるようになり、本人も自覚の無いままEDになってしまいます。性中枢のスイッチが切れているために性的欲求が生じないことはもちろん、このタイプのED患者にはSEXそのものに嫌悪感を抱いている人も多くいます。

(ⅱ) 状況型の心因性ED

状況型の心因性EDとは、SEXの状況によって症状の有無が変わるタイプです。メンタルがきっかけとなる心因性EDには実にさまざまなタイプがありますが、その典型的なものがこの状況型の心因性EDだと言えます。このタイプのEDは、主に「パートナー関連型」「行動関連型」「精神的苦痛や適応への関連型」の3つに分かれます。

「パートナー関連型」とは、症状の有無がSEXの相手によって変わるタイプです。たとえば、妻だけには興奮する、反対に妻だけにはEDというように、特定の相手には性的興奮を覚える、あるいは特定の相手以外なら性的に興奮する、といったタイプです。具体的な原因については別コラムで解説しますが、条件が整えば勃起するので、相手によってはまったく問題なくSEXができているケースも少なくありません。

「行動関連型の心因牲ED」とは、ほかの性機能障害(早漏や遅漏、生まれつきペニスが曲がっている先天性陰茎彎曲症など)によってSEXを遠ざけた結果、EDに陥ってしまったケースや、過去にSEXがうまくいかなかった経験から、「また失敗するかも……」という予期不安によってEDを発症してしまうタイプを指します。

これらのEDについては、当院ホームページのコンテンツ「マンガでわかるED失敗談」をご覧いただければ、より深くご理解いただけることでしょう。

3つ目が薬剤性によるものです。抗うつ薬、降圧剤、前立腺肥大症治療薬、AGA(男性型脱毛症)治療薬等々の薬の副作用が原因でEDとなっていることがあります。降圧剤の場合は、元々投薬前から動脈硬化が進んでいるケースも多く、降圧剤による副作用では無い場合もあるので因果関係は明確にはなっていない薬剤も多いのです。

しかし、日本性機能学会と日本泌尿器科学会が2018年1月に発行したEDガイドライン[第3版]では、利尿剤、β遮断薬、Ca拮抗剤は、勃起不全の報告が多く、α遮断薬、アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬に関しては影響がなく、アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬(ARB)に関しては、僅かに報告がある。と記されています。

抗うつ薬の副作用による勃起不全は非常に多いので、もし、抗うつ薬を服用し始めてから中折れになる回数が増えたら薬剤性のEDを疑って下さい。主にSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)、SNRI(セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬)は性機能障害の副作用発言率は7割程度もあります。このような方にもED治療薬の効果はありますので試してみるのもよいでしょう。しかしSSRIやSNRIは副作用で射精障害もあるので勃起はしても射精に至らない場合は主治医に事情を説明して薬を変更や減薬で対処するしかないでしょう。

前立腺肥大症治療薬やAGA治療薬で使用される5α還元酵素阻害薬であるデュタステリドも副作用で勃起障害の報告がされています。この薬は男性ホルモンであるジヒドロテストステロン(DHT)に変換させるために必要な5α還元酵素を阻害することから性欲減退や勃起障害の副作用が現れますが日本人120例中勃起不全3%、性欲減退8%程度です。また、副作用が気になって服用を停止しても長期間服用を続けていた場合は半減期が3週間程度あるため服用中止しても、すぐには副作用の症状も収まらないことがあります。
同じくAGA治療薬で使用されるフィナステリドの場合は、長期服用していても半減期は4時間程度なので、副作用が発言しても服用停止すれば、比較的早期に改善します。
どちらのお薬でも副作用で勃起障害が発現してもED治療薬で対処可能なので、服用は止めずにしばらく様子を見るのがよいでしょう。

ED治療薬で勃起の補助をする

器質性でも心因性でも薬剤性でも有効なのがED治療薬です。まずは、これを試すのが一番の選択でしょう。勃起はするが硬さが今一つだったり、勃起はするが途中で中折れしてしまうといった症状でしたら、かなり効果は期待できます。ポイントは、なるべく空腹時に服用することです。お薬の成分は腸から吸収されます。食後だと腸に油膜が張ってしまい薬の吸収を妨げてしまうため薬の効果が充分に発揮されないのです。


生活習慣を改める

主に器質性EDの方の場合は、適度な運動や食生活の改善、禁煙等々、生活習慣を改めることでED改善には確実に役立ちます。肥満気味になり内臓脂肪が増えるとインスリンの活動が妨げられ血糖値も上がり血流が悪くなり血管を傷つけ動脈硬化に繋がります。適度な運動を心がけ、間食を減らし、塩分の高いものや脂質の高いものを食べ過ぎず、ゆっくりよく噛んでモノを食べることで肥満を予防することになり、徐々にインスリンの分泌が増加し働きもよくなり血流もよくなり結果、EDの改善に繋がります。


減薬や薬の変更

薬剤の副作用がEDの要因である場合もED治療薬は有効ではありますが、より薬の効果を引き出すために主治医に相談し、減薬もしくは処方薬を変更してもらうのがよいでしょう。
基本的にうつ病の症状がある時は性行為にもあまり興味がなくなることから、あまりEDで悩む人は少ない傾向にあります。しかし、うつ状態が安定もしくは改善し始めた頃に性行為への意識も徐々に高まり、いざ性行為をしてみるとED気味になっていることに気が付き当院に来院されるケースが多いのです。EDで悩んでいる時点でうつ状態も改善に向かっていることが多いので主治医に相談すれば減薬や処方薬の変更してくれる可能性はあるでしょう。
降圧剤や前立腺肥大症治療薬やAGA治療薬の副作用でED気味になっている場合はED治療薬で対策すれば問題ないでしょう。

ICI療法

前立腺癌や直腸癌などの骨盤内外科手術や事故等による脊髄損傷等で性的刺激を伝達する神経が切断されてしまい自力で勃起も厳しい状態の場合はED治療薬での改善は期待できません。その場合はプロスタグランジンE1製剤を、直接陰茎海綿体に注入し、強制的に勃起させるICI療法という方法が良いでしょう担当医に注射の打ち方を教えてもらい二回目からは自身で注射することになります。治療費は1回で5,000~10,000円が相場です。
※当院ではICI療法は行っておりません。

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