竹越昭彦院長コラム「なぜEDになってしまうのか?」を医学的に解明する

浜松町第一クリニック竹越昭彦院長監修

EDの原因は、大きく2つに分けられます。1つは「器質性」のものです。器質性とは、すなわち身体的原因によるEDのことを指し、主に神経系と血管系の障害によって起こります。そして、もう1つはメンタルが要因となる「心因性」のものです。

「心因性ED」については、1999年、国際インポテンス学会の用語委員会によるED分類試案では、「一般型」と「状況型」の2つに大きく分類しています。今回は、この器質性と心因性の2つの要因について解説していきましょう。

器質性EDのうち、まずは「神経系」の障害が原因となるケースについて解説していきたいと思います。「神経系の障害が原因となる」とはつまり、「神経に障害が生じることで、脳が興奮を感じても勃起命令が伝達しない」ということです。

この症状を引き起こす最も多い原因が、生活習慣病として知られる「糖尿病」です。糖尿病は血液の病気ですが、血液中のブドウ糖濃度が高い状態が続くことで血管を傷つけるだけでなく、さまざまな臓器や神経に悪影響を及ぼします。糖尿病による神経の障害は「糖尿病性末梢神経障害」と呼ばれ、脳からの命令が伝わりにくくなることでEDに繋がるわけです。日本には、約820万人の糖尿病患者がいると推計されています(2006年11月の厚生労働省の調査に基づく)。

また、自動車やバイク事故などによる脊髄損傷、そして椎間板ヘル二アも神経障害による器質性EDの原因です。脊髄損傷のケースでは、同時に勃起に関係する神経が傷ついたり切れたりしてしまうことで脳からの勃起命令が伝わりづらくなってしまいますし、椎間板へルニアでは、加齢によって変性した椎間板の組織が脊髄や神経を圧迫することで、やはり脳からの勃起命令が伝わりづらくなってしまいます。ほかにも、多発性硬化症などの神経の病気が原因となったり、前立腺がん、直腸がんなどの骨盤内外科手術の際に神経が切断されてしまったりすることもあります。

一方、「血管系」の障害による器質性EDは、血管が細くなり、血流が悪くなることによって、ペニスの海綿体に十分な血液が流れ込まなくなってしまうために起こります。血管系の障害が起きる原因としては「動脈硬化」が圧倒的に多く、これは血管が硬くなることで大量の血液が流れるだけの太さに広がらなくなってしまうためです。

動脈硬化は、決して大動脈などの太い血管だけに起きる症状ではなく、ペニスの海綿体の中にあるような、ごく細い血管でも起こります。動脈硬化になると最初に出る症状がEDというのは、こうした理由があるのです。

また、「高脂血症」も血管系の器質性EDの原因のひとつです。高脂血症とは血中脂質値が高い状態ですが、当然、血液がドロドロの状態になれば血流は悪化し、EDを引き起こしてしまいます。

器質性EDの患者様は、これら神経系、血管系のどちらか、あるいは両方に障害を持っています。たとえば、神経系障害による器質性EDの原因トップは糖尿病であることをお伝えしましたが、糖尿病は血管系障害による器質性EDの原因にもなるのです。糖尿病により動脈硬化や高血圧が起こり、血管が細くなることでEDに繋がることがあります。さまざまな合併症を引き起こすことでも知られる糖尿病ですが、EDにおいても血管系と神経系の両方の原因となっているのです。

器質性EDについてより詳しく知りたい方は、以下の当院のページもご参照いただければと思います。

EDのもう一つの大きな原因が「心因性」によるものです。ストレスや不安、うつ病など、心理的な原因によって起こるEDを指します。血管や神経の障害による器質性EDは、加齢による影響が顕著なために50代以降の男性に多く見られますが、心因性EDは20~30代の男性に最も多く見られるのが特徴です。

そして、その原因は患者様によってさまざまです。代表的なのは、性行為での失敗体験がトラウマになっている「自信喪失型」のケース。ペニスの勃ちがいまひとつで、うまくSEXを行えなかった――。そんなときに、「それでも男なの? だらしないわねぇ」などと、女性から心ない一言を言われて傷つき、心因性EDを発症するケースは珍しくありません。

こうした経緯で心因性EDを発症すると、往々にして負のループに陥ってしまいます。

「また勃たなかったら、どうしよう……」

心因性EDでは、何よりも自信を持つことが肝心ですが、焦りが焦りを呼び、泥沼から抜け出せなくなってしまうのです。そして、次第にSEXそのものを敬遠するようになってしまいます。

また、こうした直接的にSEXと関係のある悩み、不安以外がきっかけで心因性EDを発症するケースもあります。心因性EDは、さまざまな精神的問題が原因となり得るため、多くの種類があるのです。

心因性EDについてより詳しく知りたい方は、以下の当院のページもご参照いただければと思います。

一般型の心因性EDとは、「状況の変化とは無関係に常時発症するED」と定義されています。言い換えれば、精神的な要因により、シチュエーションや性行為の相手を問わず、どんなときでも、相手が誰でも勃起しない、もしくは勃起が難しいタイプのEDです。

このタイプのEDは、さらに「無反応型」と「抑制型」に分かれます。無反応型とは、まさに「性的に枯れている」状態を指し、そもそも勃起を促すための第一段階である性的興奮を覚えないタイプです。もちろん、性的興奮を覚えなければ勃起には至りません。このタイプは性的に興奮することがなくなってきた年配の方によく見られます。

一方、抑制型とは、パートナーとの人間関係が原因でSEXを避けるようになり、性中枢のスイッチを気づかぬうちに切ってしまった結果、発症するタイプのEDです。具体的な性的接触だけでなく、パートナーとのSEXをイメージすることすら避けるようになり、本人も自覚の無いままEDになってしまいます。性中枢のスイッチが切れているために性的欲求が生じないことはもちろん、このタイプのED患者にはSEXそのものに嫌悪感を抱いている人も多くいます。

状況型の心因性EDとは、SEXの状況によって症状の有無が変わるタイプです。メンタルがきっかけとなる心因性EDには実にさまざまなタイプがありますが、その典型的なものがこの状況型の心因性EDだと言えます。このタイプのEDは、主に「パートナー関連型」「行動関連型」「精神的苦痛や適応への関連型」の3つに分かれます。

「パートナー関連型」とは、症状の有無がSEXの相手によって変わるタイプです。たとえば、妻だけには興奮する、反対に妻だけにはEDというように、特定の相手には性的興奮を覚える、あるいは特定の相手以外なら性的に興奮する、といったタイプです。具体的な原因については別コラムで解説しますが、条件が整えば勃起するので、相手によってはまったく問題なくSEXができているケースも少なくありません。

「行動関連型の心因牲ED」とは、ほかの性機能障害(早漏や遅漏、生まれつきペニスが曲がっている先天性陰茎彎曲症など)によってSEXを遠ざけた結果、EDに陥ってしまったケースや、過去にSEXがうまくいかなかった経験から、「また失敗するかも……」という予期不安によってEDを発症してしまうタイプを指します。

これらのEDについては、当院ホームページのコンテンツ「マンガでわかるED失敗談」にある、「排卵日のプレッシャーでED」「出産時の映像が頭から離れずED」「浮気だとED」「オナニーでしか射精できない」「特定の人以外はED」をご覧いただければ、より深くご理解いただけることでしょう。また本コラムでも、引き続き、具体的な状況を挙げながら、さまざまな要因によるEDを解説していきます。

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