竹越院長コラムSEXで免疫力が上がる

ジョイ・デビッドソン博士らが発表したSEXがもたらす健康的効果の中でもっとも注目すべきは、SEXをすると風邪をひきにくくなるばかりか、心臓疾患や前立腺がんのリスクが低減されるという研究結果だろう。

免疫力

前述のカール・J・カーネットスキー教授が112人の大学院生を対象に行った調査では、SEXをすると風邪をひきにくくなると結論づけている。
この調査では、112人の学生にSEXの回数を報告してもらい、「まったくなし」「1週間に1回以下」「1週間に1〜2回」「1週間に3回以上」と、その頻度によって4つのグループに分類。研究対象者の唾液サンプルを回収して分析してみると、「1週間に1〜2回」のグループは、ほかの3つのグループに比べてグロブリンAという免疫物質の量が顕著に多いことがわかったのだ。

グロブリンAは、消化器や呼吸器の免疫機能に重要な役割をもち、風邪やインフルエンザなど感染症への抵抗力となる。生後6ヶ月までの乳児が風邪をひきにくいのは、母乳に含まれるグロブリンAのおかげともいわれている。

SEXで心臓病のリスクが低減する

イギリスで914人の男性を対象とした調査が行われ、その結果から「1週間に2回以上」SEXをしている男性の半数が、「1ヶ月に1回未満」の男性に比べて心臓発作のリスクが下がったことが判明した。SEXは脳梗塞を起こす危険性があるといわれているが、この調査では関連性は認められなかったという。

さらに2010年には、この調査結果と同様の報告がアメリカのニューイングランド研究機構から寄せられている。同機構疫学部のスーザン・A・ホール教授は、心臓血管系の既往症のない平均年齢50代の男性のSEXの頻度を16年間にわたり追跡調査したところ、SEXの回数が「1ヶ月に1回以下」の男性は「1週間に2〜3回」の男性に比べて心臓病を発症するリスクが、実に45%も高いことが明らかになったのだ。

心臓疾患の多くは動脈硬化が原因となる。ペニスの勃起が陰茎動脈の血流を良くし、老化によって硬くなる血管を広げることで柔軟性を取り戻すように、SEXの際に勃起し、射精することが体内のほかの血管に同様の作用をもたらすことは十分に考えられる。さらに、性的に活動的な男性は身体能力が総じて高いので、SEXの能力が健康のバロメーターにもなりうるというわけだ。

SEXで前立腺がんのリスクが低減する

SEXをすることで前立腺がんのリスクが減るとの研究結果も報告されている。
日本人の死亡原因の1位ががんであることはよく知られているが、近年、目立って男性に急増しているのが前立腺がんだ。前立腺がんによる死亡者数は年々増え続け、厚生労働省の発表によれば2009年にはついに1万人の大台を突破。肺がん、胃がん、大腸がん、肝臓がんに続いて、第5位に入っている。いわば男性の敵ともいえる前立腺がんだが、SEXをすることで発症のリスクを減らすことができることが明らかになったという。

オーストラリアのビクトリア州がん協会のグラハム・レジス博士は、前立腺がん患者1079人と健康な成人男性1259人に対し性生活に関する詳細なアンケートを実施したところ、20〜50代の男性は、より射精をする人ほど前立腺がんになりにくいことが明らかになったのだ。特に予防効果が高いのは20代であり、20代に1週間に5回以上射精していた男性は、そうでなかった男性に比べて、その後に前立腺がんを発症する確率が3分の1にまで激減するという。

射精するときに前立腺は収縮を繰り返し、血流が促進される。逆に長期間にわたって射精しないと血行が悪くなり、前立腺が炎症を起こすこともあり、前立腺肥大症や前立腺がんのリスク要因になるとも考えられる。この結果によれば、射精の効用はSEXでもオナニーでも変わらないが、そのほかの効果を考えればSEXをした方が身体にもたらされるメリットは大きいだろう。やはりSEXは健康にいいのだ。