竹越昭彦院長コラムED治療薬と一緒に飲んではいけない薬

ED治療薬と併用してはいけない薬

実は、バイアグラはこれのみを服用した場合、基本的に命にかかわることなどない薬である。ほかの薬との併用についても、一つの薬を除けばほぼ問題はないのだ。その一つがニトログリセリン系の薬だ。

なぜバイアグラと二トログリセリン系の薬の併用は、避けなければならないのか?ニトログリセリンは狭心症や心筋梗塞の薬で、その効果はバイアグラと同様、血管を拡張して血流を促すものだ。バイアグラとニトログリセリンを併用すると、薬の効果がダブルで効いてしまい、血圧を下げすぎてしまう。あまりに血圧が降下すると生命に危険が及ぶ。こうした理由で、日本での死亡事故は起こってしまったのだ。

なお正確に記すと、狭心症の薬である二トログリセリンなどの硝酸剤や重度の不整脈の薬のアンカロン錠やアミオダロン塩酸塩錠とED治療薬の併用は禁忌である。硝酸剤が使われている薬は飲み薬だけに限らない。貼り薬も禁忌となる。そのほか、吸入薬や注射、塗り薬やスプレーなどにも硝酸剤が含まれているので注意が必要だ。とはいえ、これらの薬と併用さえしなければ、冒頭にも記したようにED治療薬によって死ぬようなことはない。

ほかには、スルピリド(商品名ドグマチール)といったうつ病治療薬には、性欲が落ちたり、勃起力が低下したりといった作用があり、前トピックの「うつ病治療薬によるED」でも触れたが、効果が相殺されてしまうのでED治療薬が効きにくくなる。また、高血圧の薬にも勃起力を低下させる作用があり、併用するとED治療薬の効果は表れにくい。薬の併用ではないが、過度に緊張しているときも効果は出にくくなる。というのも、ED治療薬は器質性EDに対する薬であり、心因性のEDに作用するものではないからだ。

単独で服用する限りはED治療薬で死ぬようなことはないと述べたが、大量に飲めば死に至ることもある。

2009年、イギリスの大衆紙「ザ・サン」(2月26日付)が報じたところによれば、12時間耐久SEXに挑戦したロシアの男性がバイアグラを大量に摂取し死亡している。この男性は28歳の機械工で、2人の女性と「12時間ひっきりなしに性行為ができるか」という賭けを3000ポンド(約42万円)でし、この女性たちと12時間のSEXマラソンに挑んでいた。男性は賭けに勝とうと、短時間にバイアグラをボトルごと大量に服用し12時間SEXをし続け、賭けには勝ったが心臓発作により死亡している。

バイアグラなどのED治療薬は血管を拡張する薬だが、効果があるのはペニスだけではない。服用方法を誤ると、急激に血圧が下がり、狭心症の症状が起こることがある。一度に大量に服用すれば、心臓やそのほか内臓に深刻なダメージを与える危険があり、最悪の場合、このロシア人男性のように命を落とすこともあるのだ。世界中でED男性に愛用されているED治療薬だが、常識を外れた使い方をすればこのような悲劇を招くのである。