未承認薬「フィンペシア(Finpecia)」について
ED治療薬3剤の違い
3剤の違い シルデナフィル バルデナフィル タダラフィル
AGAとは プロペシア ザガーロ ミノタブの危険性 AGA治療薬2剤の違い
2剤の違い フィナステリド デュタステリド オンライン診療
目次※知りたい情報をクリック
浜松町第一クリニック 竹越昭彦院長 監修
更新日:
フィンペシアは、プロペシアの国際特許が有効であった時期から、インド独自の特許制度に基づいて製造・販売されていたことから、日本国内では一般的にインド製のコピー版プロペシアとして扱われています。
フィンペシアは、インド・マハーラーシュトラ州ムンバイに本社を置くシプラ社(Cipla Limited)が製造・販売するAGA治療薬で、有効成分にはプロペシアと同じフィナステリドを配合しています。シプラ社は1935年に設立されたインドを代表する製薬会社の一つで、抗生物質・抗がん剤・HIV治療薬など1,500種類以上の医薬品を150か国以上で展開しています。
「なぜプロペシアの特許が切れる前から、インドでは同じ有効成分・同じ効能を持つフィンペシアが販売されていたのか?」と疑問に思われる方も多いでしょう。この点については、ページ下部の「どうしてインドでは国際特許が切れていないのにジェネリック医薬品が存在するのか?」で詳しく解説しています。
フィンペシアは、日本でもインターネット上の個人輸入代行業者を利用して購入されることが少なくありません。その大きな理由の一つが価格です。国内の医療機関で処方を受ける場合、先発品であるプロペシア錠は1錠あたり約260〜290円、国内承認ジェネリックであるフィナステリド錠でも約115〜160円程度ですが、個人輸入では1錠あたり25〜32円程度で販売されているケースもあり、費用を大幅に抑えられます。
しかし、その安さには注意が必要です。個人輸入で流通している医薬品には、偽造品や品質・有効性・安全性が確認されていない製品が含まれている可能性があります。また、万が一健康被害が生じた場合でも、国内で承認された医薬品を対象とする医薬品副作用被害救済制度の対象外となります。価格だけで判断するのではなく、安全性や信頼性も十分に考慮したうえで医薬品を選択することが重要です。
フィンペシアを入手する方法は、医師・一般の方を問わず海外からの個人輸入に限られます。日本国内には正規の流通ルートが存在しないため、国内で流通しているフィンペシアには偽造品が混在している可能性があります。そのため、個人輸入による購入はもちろん、医療機関で処方された場合であっても、その仕入先が個人輸入品であれば品質・有効性・安全性が保証されているとはいえません。
近年では、「関東信越厚生局の輸入確認証(薬監証明)を取得している」ことを理由に、「厚生労働省が認めた正規品」「安心・安全」「本物」などと宣伝している医療機関も見受けられます。しかし、輸入確認証(薬監証明)は、輸入通関時に必要書類を確認したうえで発給される行政上の手続きに過ぎません。これは、医薬品が正規品であることや、その品質・有効性・安全性を厚生労働省が保証するものではありません。薬監証明の意味を誤解しないよう注意が必要です。
現在では、ファイザーをはじめ、沢井製薬や東和薬品などから、厚生労働省の承認を受けたプロペシアジェネリック(フィナステリド錠)が販売されており、以前よりも手頃な価格で治療を受けられるようになりました。品質や安全性が確認されていない海外製フィンペシアではなく、国内で承認された正規のフィナステリド錠を選択することをおすすめします。
当院でも、これまでプロペシア錠を服用されていた患者様の多くが国内承認ジェネリックへ切り替えられており、個人輸入から安全性を重視して医療機関での治療へ切り替える方も増えています。
1万円以上で送料無料。来院歴が無くてもOK。
即日配送。国内正規品のみ。土日も発送。
以下の画像は、インターネット上の個人輸入代行業者の通販サイトで販売されていた製品を参考資料として収集したものです。実際に掲載されている製品が真正品であるか、あるいは偽造品であるかについては確認できておらず、真偽を判断することはできません。あらかじめご了承ください。
◆画像をクリックすると拡大されます◆
商品名:フィンペシア(finpecia)
製造元:シプラ社(Cipla Limited)
主成分:フィナステリド
効 果:プロペシアとほぼ同じとされている
注意点
日本国内でフィンペシアを入手する方法は、海外からの個人輸入に限られます。しかし、個人輸入で流通している医薬品には偽造品が含まれている可能性があり、安全性や品質を確認することは困難です。実際に、2016年に国内大手製薬会社4社が合同で実施した偽造ED治療薬の調査では、個人輸入で入手したED治療薬の約4割が偽造品であったと報告されています。
さらに、個人輸入した医薬品によって重篤な副作用などの健康被害が発生した場合でも、医薬品副作用被害救済制度の対象外となるため、公的な救済を受けることはできません。そのため、医師・一般の方を問わず、個人輸入でしか入手できないフィンペシアを服用することには、品質・安全性の両面から一定のリスクがあります。AGA治療を希望される場合は、国内で承認されたフィナステリド錠を医療機関で処方してもらうことをおすすめします。
また、フィンペシアと併用する目的で、個人輸入によりミノキシジルタブレット(内服ミノキシジル)を購入する方もいます。しかし、内服ミノキシジルはAGA治療薬として有効性・安全性が十分に確立されておらず、日本の厚生労働省および米国FDAのいずれからもAGA治療薬として承認されていません。一方で、リアップやロゲインなどのミノキシジル外用薬は、日本・米国ともにAGA治療薬として承認されており、安全性や有効性が確認されています。
服用方法
フィンペシアの服用方法についてはプロペシアの同じです。フィンペシアの服用はお勧めできませんが服用するなら正しく服用して下さい。
- 1日1回服用。24時間間隔が望ましい。
- 円形脱毛症や化学療法や放射線治療による脱毛症には効果は無い。
- 女性は服用してはいけない。服用しても効果無し。
- 効果が確認できるまで最低3ヶ月間の服用が必要。
- 服用中に前立腺がんの検診を受ける時は必ず担当医にフィンペシア(フィナステリド)を服用していることを伝える。
- 服用中は献血不可。1ヶ月休薬すれば可能。
フィンペシアは、以下の場合には禁忌です。
服用方法
フィンペシアの服用方法についてはプロペシアの同じです。フィンペシアの服用はお勧めできませんが服用するなら正しく服用して下さい。
- 妊婦、妊娠している可能性のある女性
フィナステリドは、妊娠中または妊娠の可能性のある女性には禁忌です。II型5α還元酵素阻害薬は、テストステロンから5α-ジヒドロテストステロン(DHT)への変換を阻害する作用があるため、フィナステリドを服用している妊婦の男児胎児の外性器に異常が生じる可能性があります。妊娠中に本剤を使用した場合、または本剤服用中に妊娠した場合は、妊婦に男児胎児への潜在的な危険性について説明する必要があります。 - フィナステリドに対して過敏症(アレルギー)の既往歴のある人
- フィンペシア錠は、女性、小児、および青年への使用は適応外です。
- 良性前立腺肥大症またはその他の疾患のためにフィナステリド5mgまたはその他の5α還元酵素阻害剤を服用している男性は服用しないでください。FINPECIA錠は、良性前立腺肥大症またはその他の疾患のためにフィナステリド5mgまたはその他の5α還元酵素阻害剤を服用している男性は服用しないでください。
シプラ社(Cipla Limited)の添付文書参照
フィナステリド1mgの安全性は、男性型脱毛症患者を対象とした3つのプラセボ対照臨床試験(フィナステリド群945例、プラセボ群934例)で評価されています。その結果、薬剤との関連が疑われる、または関連があると判断された有害事象により投与を中止した患者は、フィナステリド群で1.4%、プラセボ群で1.6%であり、両群に大きな差は認められませんでした。
発現率が1%以上で報告された主な薬剤関連の副作用は以下のとおりです。
| 副作用 | フィナステリド1mg (945例) | プラセボ (934例) |
|---|---|---|
| 性欲減退 | 1.8% | 1.3% |
| 勃起機能不全 | 1.3% | 0.7% |
| 射精障害 | 1.2% (射精量減少0.8%) | 0.7% (射精量減少0.4%) |
| 性的副作用による投与中止 | 1.2% | 0.9% |
これらの臨床試験を統合して解析した結果、性的な副作用を1つ以上経験した患者はフィナステリド群で3.8%(36/945例)、プラセボ群で2.1%(20/934例)と報告されています(p=0.04)。一方で、これらの副作用は投与を中止した患者のほとんどで消失し、投与を継続した患者でも改善が認められました。また、各副作用の発現率は、治療開始から5年目までに0.3%以下へ低下しています。
さらに、健康な男性を対象とした48週間の試験では、フィナステリド1mgを毎日服用した場合、射精量の中央値は0.3mL(約11%)減少しましたが、プラセボ群でも0.2mL(約8%)の減少が認められました。また、5mg/日を投与した別の試験では、プラセボ群と比較して射精量が約0.5mL(約25%)減少したものの、投与を中止すると射精量は回復することが確認されています。
なお、臨床試験では、乳房の圧痛・乳房腫脹・過敏症反応・精巣痛については、フィナステリド群とプラセボ群で発現率に大きな差は認められませんでした。
参照元 ⇒ Finpecia package insert|シプラ社| 比較項目 | フィンペシア錠 (Finpecia) |
プロペシア錠 (先発品) |
フィナステリド錠 (ジェネリック) |
|---|---|---|---|
| 承認状況 | 日本未承認 (個人輸入のみ) |
厚労省承認・販売中 | 厚労省承認・販売中 |
| 有効成分 | フィナステリド | フィナステリド | フィナステリド |
| 効能・効果 | AGA(男性型脱毛症)の改善 | AGA(男性型脱毛症)の改善 | AGA(男性型脱毛症)の改善 |
| 有効成分量 | 1mg | 0.2mg・1mg | 0.2mg・1mg |
| 服用方法 | 1日1回1錠 | 1日1回1錠 | 1日1回1錠 |
| 効果が現れる目安 | 3か月以上 | 3か月以上 | 3か月以上 |
| 品質・安全性 | 品質保証なし 偽造品リスクあり |
国内承認医薬品 | 国内承認医薬品 先発品との生物学的同等性を確認 |
| 医薬品副被害救済制度 | 対象外 | 対象 | 対象 |
| 入手方法 | 個人輸入 | 医療機関で処方 | 医療機関で処方 |
| 製造メーカー | Cipla社(インド) | MSD株式会社 | 沢井製薬・東和薬品・ヴィアトリス製薬・富士化学工業など |
| おすすめ度 | ★☆☆☆☆ | ★★★★☆ | ★★★★★ |
| 総合評価 | × 個人輸入による品質・安全性リスクがあるため 推奨されない |
△ 先発品で信頼性が最も高い 費用が高い |
◎ 最もおすすめ 品質・安全性・費用のバランスに優れる |
インドでは2005年まで医薬品の物質特許(有効成分そのものに対する特許)が導入されていませんでした。そのため、2005年以前からインド国内で製造・販売されていた医薬品については、国際特許が有効な期間中であっても、一定の条件のもとで継続して製造・販売できる仕組みが存在していました。これが、プロペシアをはじめとする医薬品のインド製ジェネリックが早い時期から流通していた理由の一つです。
もう一つの大きな理由は、インド製ジェネリック医薬品が発展途上国の医療を支える重要な役割を担っていることにあります。
例えば、国境なき医師団(MSF)は、紛争地域や自然災害の被災地、医療資源の乏しい発展途上国などで医療支援活動を行っている国際的な非営利団体です。HIV/AIDSをはじめ、感染症やさまざまな疾患の治療にも取り組んでいますが、先発医薬品のみを使用した場合、薬剤費が高額となり、十分な数の患者へ治療を提供することが困難になります。
そのため、HIV治療薬だけでなく、抗生物質やその他の医薬品についても、価格を抑えたインド製ジェネリック医薬品が世界中の医療支援活動で広く活用されています。
このような背景から、2005年にインドで物質特許制度が導入された後も、公衆衛生上の必要性や人道的な観点、さらにインド国内の製薬産業への影響などを踏まえ、インドでは先発医薬品メーカーの特許権と医薬品へのアクセスとのバランスを重視した制度運用が続けられています。その結果、インド製ジェネリック医薬品は現在でも世界中へ供給され、多くの発展途上国の医療を支えています。
なお、このテーマについてさらに詳しく知りたい方は、以下の竹越院長のコラムで詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。
かつてフィンペシアには、コーティング剤として黄色203号(キノリンイエローWS)という合成着色料(タール色素)が使用されていました。そのため、「キノリンイエローには発がん性がある」「健康に悪影響を及ぼす」といった情報がインターネット上で広まり、不安視する声が多く見られるようになりました。
また、2008年には欧州において、キノリンイエローを含む6種類の合成着色料について、子どもの注意欠陥・多動性障害(ADHD)との関連が指摘されたことから、食品への使用に関して自主的な対応が進められました。この出来事も、フィンペシアに関する噂が広まる一因になったと考えられます。
その後、シプラ社はこうした懸念を受け、現在流通しているフィンペシアではキノリンイエローの使用を中止しています。現在の製品パッケージには、以下の画像のように「Quinoline Yellow Free(キノリンイエローフリー)」と記載されており、キノリンイエローは使用されていません。
ただし、パッケージに「Quinoline Yellow Free」と表示されていても、それだけで真正品であることを保証するものではありません。フィンペシアには精巧に作られた偽造品が流通している可能性もあるため、表示だけを根拠に安全性を判断することはできません。日本国内には正規の流通ルートが存在しないことから、品質や安全性が確認された医薬品を希望する場合は、国内で承認されたフィナステリド錠を医療機関で処方してもらうことをおすすめします。
日本国内では認められているのか?
日本では、厚生労働省が定める「医薬品等に使用することができるタール色素を定める省令(厚生省令第三十号)」により、使用できるタール色素が定められています。
黄色203号(キノリンイエローWS)は、外用医薬品・外用の医薬部外品・化粧品への使用は認められていますが、内服医薬品や食品への使用は認められていません。
同省令では、内服医薬品に使用できるタール色素は第一部に掲げられたものに限られており、第二部に分類される黄色203号(キノリンイエローWS)は、外用医薬品以外の医薬品への使用対象から除外されています。そのため、日本国内で承認されている内服医薬品には、キノリンイエローWSを使用することはできません。