ED治療薬のその他の効果や作用

浜松町第一クリニック 竹越昭彦院長 監修

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バイアグラ(シルデナフィル)、レビトラ(バルデナフィル)、シアリス(タダラフィル)などのED治療薬は、いずれも血管を拡張して血流を改善し、陰茎の海綿体に血液が入りやすい状態をつくることで勃起をサポートする薬です。脳の性欲中枢に働きかける「催淫剤」や「性欲増進剤」ではないため、服用しただけで性欲が高まる薬ではありません。
また、一般にニコチンやアルコールのような依存性が問題になる薬ではありませんが、併用できない薬(硝酸薬など)や、体調・持病によっては使用できない場合があります。服用中の薬がある方は、必ず医師に確認してください。
なお、ED治療薬の代表であるバイアグラは、もともと狭心症などの治療薬として開発が進められる中で、勃起への作用が見いだされたことをきっかけに誕生した薬として知られています。

よくある質問として「女性が服用するとどうなるのか?」があります。ED治療薬は血管拡張作用をもつため、女性が服用した場合でも顔のほてりなど、血流が良くなったと感じる症状が出ることがあります。一方で、女性は男性のような海綿体構造がないため、男性の「勃起」と同じ効果は期待できません。
また、女性の性機能に対する効果については研究報告があるものの、結果は一貫しておらず、自己判断での服用は推奨できません。特に、硝酸薬(ニトログリセリン等)を使用中の方が服用すると、血圧が急激に下がるなど重い副作用につながる恐れがあります。女性も男性と同様に、服用を検討する場合は必ず医師に相談してください。

※2015年8月18日に女性用バイアグラが米FDAで承認されました。これは女性のHSDD(性的欲求低下障害)を改善する薬剤で同年10月17日に発売開始予定とのことです。詳しくは以下をご覧ください。
「ADDYI(アディ)」がアメリカFDAで承認

※更に2019年6月に新たにブレメラノチド(商標名Vyleesi)というHSDD治療薬がFDAによって承認されています。
「Vyleesi(バイリーシ)」がアメリカFDAで承認

現在、バイアグラ(シルデナフィル)やシアリス(タダラフィル)と同系統の薬は、肺動脈性肺高血圧症(PAH)の治療にも用いられています。 バイアグラの有効成分であるシルデナフィル20mg製剤は「レバチオ」、シアリスの有効成分であるタダラフィル20mg製剤は「アドシルカ」という製品名で流通しており、希少疾病用医薬品として扱われています。

肺動脈性肺高血圧症とは、肺の血管が硬くなったり収縮したりして血流が悪くなり、息切れなどの症状が進行する病気です。シルデナフィルやタダラフィルには血管を拡張して血流を改善する作用があるため、肺の血管を広げて負担を軽くし、呼吸を楽にする目的で使用されることがあります。

レバチオは錠剤以外にもODフィルム製剤や懸濁用ドライシロップ製剤が用意されています。小児など、服用しやすさが求められるケースに配慮した剤形と考えられます。なお、製品名や用量が異なっても、有効成分が同一の製剤が存在することがあります(例:バイアグラODフィルムなど)。

一方で、レビトラ(一般名:塩酸バルデナフィル水和物)については、同様の適応に関しては研究・検討段階とされることがあります。
また、シルデナフィル等は血管拡張作用により酸素の取り込みや循環に影響する可能性が語られることがありますが、運動能力向上を目的とした自己判断での使用は、健康面・競技規則の観点から推奨できません。

さらに、過去には海外メディアで、少量のシルデナフィルと光刺激の調整により、動物実験で時差ぼけ回復が早まった可能性が報じられたこともあります。ただし、こうした話題は動物実験や限定的な報告に基づくもので、ヒトでの有効性が確立しているわけではありません。 現在、ED治療薬としての正式な効能・効果は勃起不全などに限られるため、使用を検討する際は必ず医師の指示に従ってください。

「ED治療薬が、将来のアルツハイマー病リスクに関係するかもしれない」――そんな研究報告が近年いくつか発表されています。ここでは代表的な研究を紹介しつつ、現時点でわかっていること・わかっていないことを整理します。

米クリーブランド・クリニックの研究チームは、米科学誌『Nature Aging』にて、シルデナフィル(バイアグラの有効成分)を使用していた人は、使用していない人と比べて、約6年間の追跡でアルツハイマー病の発症リスクが低かった(約69%低下)という関連を報告しました。
この研究は保険請求データを用いた解析であり、さらに患者由来の細胞モデルを使った実験で、神経細胞の成長や病態関連タンパクの変化などが示唆された、とされています。 ただし、観察研究であり「因果関係(バイアグラが予防する)」を証明するものではない点は重要です。

また2024年には、イギリスのユニバーシティ・カレッジ・ロンドン(UCL)主導の研究が、米国神経学会の学術誌『Neurology』に掲載されました。 処方記録を用いた解析で、ED治療薬(PDE5阻害薬)を処方されていた人は、処方されていない人と比べて、平均約5年の追跡でアルツハイマー病の発症リスクが低かった(約18%低下)と報告されています。
一方で、解析によっては「薬剤ごとに差がある可能性」も示されており、結果の解釈には慎重さが求められます。

作用機序については研究段階ですが、PDE5を阻害することで細胞内の情報伝達(cGMPなど)に影響し、脳内環境に何らかの変化が起こる可能性が議論されています。
ただし、現時点でED治療薬が「認知症の予防・治療薬として確立した」わけではありません

認知症は進行すると、徘徊などの見守りや、食事・排泄・入浴・着替えといった日常生活の介助が必要になり、ご本人だけでなくご家族の負担も大きくなります。
厚生労働省の将来推計では、2025年時点で、65歳以上の認知症高齢者が約471.6万人、軽度認知障害(MCI)が約564.3万人とされ、合計で1,000万人を超える規模になります。

今後、臨床試験などで有効性と安全性が確認されれば、ED治療薬が別の領域でも役立つ可能性はあります。
しかし、「認知症予防のために自己判断で服用する」ことは避けてください
ED治療薬は併用禁忌(硝酸薬など)や副作用もあり、服用は必ず医師の判断のもとで行う必要があります。

参照元米研究で「バイアグラを飲んでいる人は認知症リスク7割減」の衝撃データ|NEWSポストセブン

帝京大学医学部附属病院 泌尿器科の堀江重郎教授は、バイアグラ(シルデナフィル)について「老化(加齢)に関わる要素に良い影響が出る可能性がある」という趣旨の見解を紹介しています。たとえば、バイアグラを継続的に使用することで体内の酸化ストレスが減る可能性や、男性ホルモン(テストステロン)に変化がみられる可能性が語られています。

酸化ストレスとは、細胞を傷つけやすい「活性酸素」と、それに対抗する「抗酸化力(抗酸化ポテンシャル)」のバランスが崩れた状態を指します。酸化ストレスが高い状態が続くと、細胞の劣化が進みやすく、加齢に伴う不調の一因になるとも考えられています。また、テストステロンは筋力・活力・代謝などに関わるため、適正な範囲で保たれることがコンディション維持につながる可能性があります。なお、ホルモンと健康の関係は男女ともに研究が進んでいる領域です。

参照 女性でも長生きする人は男性ホルモン値が高い|堀江重郎|テンミニッツTV

また私見ですが、血管拡張作用をもつバイアグラを適切に使用することで、血流に関わるコンディションが整い、結果として血管の“加齢変化”に何らかの良い影響が出る可能性も考えられます。さらに、服用した患者さんの中には、作用時間(約4時間)を過ぎた翌日・翌々日に「以前はなかった朝勃ちが出た」と感じる方もいます。こうした体感が、コンディションの変化として現れているのかもしれません。

ただし、バイアグラは“老化防止”を目的とした薬として承認されているわけではありません。
自己判断での常用は避け、服用の可否や安全性は必ず医師に相談してください(特に硝酸薬の使用中などは併用禁忌です)。

院長 竹越 昭彦 たけこし あきひこ
略歴
  • 1966年 生まれ
  • 1991年 日本医科大学卒業
  • 1991年 日本医科大学付属病院
  • 1993~2002年 東戸塚記念病院 外科
  • 2004年10月 浜松町第一クリニック開院
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