竹越昭彦院長コラムバイアグラの女性への効果

浜松町第一クリニック 竹越昭彦院長 監修

以前の記事では、女性でもED治療薬によって血行が改善し、膣やクリトリスの神経が敏感になる可能性があることを紹介しました。しかし、そこでもお伝えした通り、それに医学的根拠はなく、あくまで憶測でしかありません。

バイアグラの販売元であるファイザー社は8年かけて女性の性的興奮障害のある約3,000人の女性を対象にプラセボ対照試験を実施していましたが2004年に有効性が認められなかったとして治験を中止しています。女性の不感症は男性のEDより多いと言われていますが、その改善の可能性が期待されていたがために残念です。

参照 Pfizer will not apply for a licence for sildenafil for women|PMC - NCBI

ファイザーの研究者達はバイアグラにより女性の骨盤付近の血流の増加が確認はできたが、これと性的欲求の増加が関連している可能性についての明確なエビデンスを得ることができなかったととのことです。
つまり、バイアグラにより感度、膣内分泌液の改善効果はあっても脳に影響する性的な欲求や興奮の障害への改善までには至らないということを示唆しています。

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女性用バイアグラ「ADDYI(アディ)」がアメリカFDAで承認

2015年8月18日に米FDAは女性のHypoactive sexual desire disorder(HSDD:性的欲求低下障害)を改善する薬剤を国内にて初めて認可し、同年10月17日にアメリカにて発売開始されています。この薬剤は重篤な副作用も多いため処方をする医師には研修が必要であったり治療を受ける患者からの同意書が必須であったりとFDAとしては認可はしたものの、かなり慎重な処方が必要と判断していることと思われます。以下に要点だけまとめておきます。

  • 発売元はスプラウト・ファーマシューティカルズ社。一般名は「フリバンセリン」、商品名は「ADDYI(アディ)」(現在はスプラウト・ファーマシューティカルズ社はカナダの製薬大手バリアント・ファーマシューティカルズ・インターナショナルに買収されています)
  • バイアグラを代表とするED治療薬と違って、抗うつ薬などと同様、脳の中枢神経に働きかける薬で毎晩服用する。
  • 失神や極度の眠気、吐き気といった重篤な副作用のリスクが薬効を上回ると専門家から問題点が出ていた。
  • アルコールや避妊薬と併用すると副作用のリスクが増大するとの報告がある。
  • 処方をする医師は研修を受ける必要があり、リスク理解に関する同意書への患者の署名が必要。
  • 満足のいくセックスが月に2、3回のHSDD(性的欲求低下障害)患者を対象とした治験では、アディを服用した人は偽薬を飲んだ人よりもその数が平均で月0.5~1回しか多くならなかった。

所見

副作用のリスクが高いのにも関わらず効果は満足のいくセックスが月0.5~1回程度。FDAも効果が低い割に副作用のリスクが高いということから2013年に一度、認可を却下しています。一部の医師や研究者から「男性の性機能に関する治療薬は24種類も承認しているのに女性向けはゼロだ」「性差別的だ」と批判を浴びたため致し方なく承認したように感じます。FDAでこれだけ慎重なのだから、更にお堅い日本の厚労省では認可が下りることは考え難いです。おそらく日本での登場はないと思います。処方をする医師に研修必須、同意書まで必要という点から、専門医師からの重要な注意点、経過診察も必要であることは間違いありませんので個人輸入で流通することはないかと思いますが、万が一にも入手・使用は考えないようにしてください。

女性用バイアグラ「Vyleesi(バイリーシ)」がアメリカFDAで承認

余談ですが性的欲求低下障害(HSDD)治療薬情報として、2019年6月、新たにブレメラノチド(商標名Vyleesi)というHSDD治療薬がFDAによって承認されています。
開発は米Palatin Technologies(パラティン・テクノロジーズ社)、販売は米Amag Pharmaceuticals(AMAGファーマシューティカルズ社)です。
使用方法は性行為の45分前に腹部か大腿部に自己注射します。注意点は1回使用したら24時間空け、1ヶ月に8回以上は使用してはいけない等です。
こちらも日本での認可の予定は今のところありません。本家バイアグラのように、必要なときに使用するタイプとのことです。

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