バイアグラを女性が飲むとどうなるか

浜松町第一クリニック 竹越昭彦院長 監修

女性でもED治療薬によって血行が改善し、膣や陰核(クリトリス)の神経が敏感になり、濡れやすくなる。また、勃起不全改善薬である「バイアグラを飲んでしまったという行為」「副作用で血流が良くなり火照る」などによりプラセボ効果で脳が刺激され性的興奮が増す可能性はあります。しかし、これに医学的根拠はなく、あくまで憶測でしかありません。

バイアグラの販売元であるファイザー社は8年かけて女性の性的興奮障害のある約3,000人の女性を対象にプラセボ対照試験を実施していましたが2004年に有効性が認められなかったとして治験を中止しています。女性の性的興奮障害(FSAD)や性的欲求低下障害(HSDD)は男性のEDより多いと言われていますので、その改善の可能性が期待されていたがために残念です。

参照1 Pfizer will not apply for a licence for sildenafil for women|PMC - NCBI
参照2 The Effect of Sildenafil Citrate on Uterine and Clitoral Arterial Blood Flow in Postmenopausal Women|PMC - NCBI

ファイザーの研究者達はバイアグラにより女性の骨盤付近の血流の増加が確認はできたが、これと性的欲求の増加が関連している可能性についての明確なエビデンスを得ることができなかったとのことです。
つまり、バイアグラにより感度、膣内分泌液の改善効果はあっても脳に影響する性的な欲求や興奮の障害への改善までには至らないということを示唆しています。


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リスクがあるので以下をしっかり理解しておいて下さい。服用は「しない」「させない」ことをお勧めします。

安全性が確率されていない

バイアグラは勃起不全治療薬として治験が進められてきたため女性は臨床試験において除外されているので副作用等の臨床データがありません。つまり安全性が確立されていないということです。前項でファイザー社が女性3,000人を対象に臨床試験について触れましたが途中で治験は中止になっているため詳細な臨床データは公開されていません。

「成人した女性であれば副作用は男性と同じなのでは?」と思う方もいると思いますが医薬品は男性と女性とでは効果に差が出る場合が多いので、おそらく同じではありません。バイアグラの主成分であるシルデナフィルは腸から吸収されるのですが男性よりも女性の方が吸収速度が遅いので作用時間が長くなります。またシルデナフィルは肝臓で代謝されるのですが男性よりも肝臓が小さい女性の方が代謝速度が遅いので体内に蓄積される濃度が高くなり薬の作用が強くなる傾向にあります。つまり副作用も強く出る可能性があるのです。

健康を害した際の公的救済制度の適用外となる

バイアグラは、男性の勃起不全治療薬として厚労省で製造承認を取得しているため女性の服用は使用目的及び方法が適正ではありません。よって、バイアグラを服用して万が一、重篤な副作用があった時に治療の一部を救済してくれる医薬品副作用被害救済制度が適用されません。何かあっても全て自己責任ということです。

処方を受けた男性から貰う

バイアグラは処方箋医薬品にあたり他人への譲渡は薬機法違反になる可能性もあるので絶対に受け取らないでください。 バイアグラ以外でも医師から処方を受けた薬は全て、その患者専用の医薬品ですので他人への譲渡は違法になるため厳禁です。
「試しに彼女に飲ませて確かめてみよう!」と考える男性もいるかもしれませんが、上記の理由により行ってはいけません。

個人輸入代行業者の通販サイトで購入

インターネットで購入できるバイアグラは偽物が多く、思わぬ健康被害に合う可能性があるため非常に危険です。以下はバイアグラの製造販売元であるヴィアトリスが提供するコンテンツです。メーカーも個人輸入の危険性を啓発しているくらい偽造品が多いのでネット購入は止めておきましょう。

シアリス錠(タダラフィル錠)やレビトラ錠(バルデナフィル錠)も男性における勃起不全治療薬として厚労省より製造承認を取得しているため、バイアグラ錠同様に女性は臨床試験の対象外ですので安全性は確率されておりません。女性が服用することでリスクはあるか?でも説明した通り女性は男性よりも薬の作用が強くなる傾向にあるため、思わぬ副作用が出る可能性は否定できません。服用は避けた方がよいでしょう。

インドでは性的欲求低下障害(HSDD)の改善薬としてシアリスの有効成分であるタダラフィル10mg含有のFemalefil(フィメイルフィル)という女性用シアリス錠(タダラフィル錠)が発売されていて発売元であるRSMエンタープライズの公式サイトでは「膣領域の血流と感度」「性的満足を促進」が期待できると記されています。服用方法は性行為1時間前ではなく毎晩就寝前に1錠服用とだけ記されていて、性行為の何日前から服用するのか?いつまで服用すればよいのかは不明です。臨床データ等も公開されてないようなのでしっかりエビデンスが取れているのかは不明です。もちろん国内未承認薬ですので入手はせず知識だけに留めるようお願いします。
RSM公式Femalefil10mg(Tadalafil10mg)(外部リンク)

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2015年8月18日に米FDAが女性のHypoactive sexual desire disorder(HSDD:性的欲求低下障害)の治療薬として国内にて初めて認可したのがADDYI(アディ)で同年10月17日にアメリカにて発売開始されています。この薬剤は重篤な副作用も多いため処方をする医師には研修が必要であったり治療を受ける患者からの同意書が必須であったりとFDAとしては認可はしたものの、かなり慎重な処方が必要と判断していることと思われます。以下に要点だけまとめておきます。

  • 発売元はスプラウト・ファーマシューティカルズ社。一般名は「フリバンセリン」、商品名は「ADDYI(アディ)」(現在はスプラウト・ファーマシューティカルズ社はカナダの製薬大手バリアント・ファーマシューティカルズ・インターナショナルに買収されています)
  • バイアグラを代表とするED治療薬と違って、抗うつ薬などと同様、脳の中枢神経に働きかける薬で毎晩服用する。
  • 失神や極度の眠気、吐き気といった重篤な副作用のリスクが薬効を上回ると専門家から問題点が出ていた。
  • アルコールや避妊薬と併用すると副作用のリスクが増大するとの報告がある。
  • 処方をする医師は研修を受ける必要があり、リスク理解に関する同意書への患者の署名が必要。
  • 満足のいくセックスが月に2、3回のHSDD(性的欲求低下障害)患者を対象とした治験では、アディを服用した人は偽薬を飲んだ人よりもその数が平均で月0.5~1回しか多くならなかった。

所見

副作用のリスクが高いのにも関わらず効果は満足のいくセックスが月0.5~1回程度しか多くならない等、FDAも効果が低い割に副作用のリスクが高いということから2013年に一度、認可を却下しています。一部の医師や研究者から「男性の性機能に関する治療薬は24種類も承認しているのに女性向けはゼロだ」「性差別的だ」と批判を浴びたため致し方なく承認したように感じます。FDAでこれだけ慎重なのだから、更にお堅い日本の厚労省では認可が下りることは考え難いです。おそらく日本での登場はないと思います。処方をする医師に研修必須、同意書まで必要という点から、専門医師からの重要な注意点、経過診察も必要であることは間違いありませんので個人輸入で流通することはないかと思いますが、万が一にも入手、及び使用は考えないようにしてください。

「ADDYI(アディ)」に続き、性的欲求低下障害(HSDD)治療薬情報として、2019年6月、新たにブレメラノチド(商標名Vyleesi)というHSDD治療薬がFDAによって承認されています。
開発は米Palatin Technologies(パラティン・テクノロジーズ社)、販売は米Amag Pharmaceuticals(AMAGファーマシューティカルズ社)です。
使用方法は性行為の45分前に腹部か大腿部に自己注射します。注意点は1回使用したら24時間空け、1ヶ月に8回以上は使用してはいけない等です。
こちらも日本での認可の予定は今のところありません。本家バイアグラのように、必要なときに使用するタイプとのことです。


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