竹越昭彦院長コラムバイアグラの女性への効果

浜松町第一クリニック竹越昭彦院長監修

以前の記事では、女性でもED治療薬によって血行が改善し、膣やクリトリスの神経が敏感になる可能性があることを紹介しました。しかし、そこでもお伝えした通り、それに医学的根拠はなく、あくまで憶測でしかありません。

ところが、最近の臨床実験結果において、ED治療薬の女性への効果が指摘され始めています。バイアグラの製造元であるファイザー社が50人の女性にバイアグラを処方したところ、なんとその多くの女性に、性欲増進、女性器が濡れやすくなった、オーガズムに達しやすくなったという効果が見られたのです。女性の不感症は男性のEDより多いと言われていますが、その改善の可能性が期待される実験結果でした。

ただし、ファイザー社は、「バイアグラにその効果があるかどうかは、まだハッキリしない」という見解を出しています。それを明言するには、まだまだ実験や調査が足りないからです。しかし、そもそもバイアグラ自体、その効果がすべて確認されているわけではないので、女性への効果は決して否定できません。バイアグラには、男女双方の性生活をサポートする、夢のようなポテンシャルがまだ隠されているかもしれないのです。

さらに、そのポテンシャルはSEXだけにとどまりません。帝京大学医学部附属病院泌尿器科の堀江重郎教授の論文によると、バイアグラには老化防止の効果があるとされています。ここには、バイアグラを常用すると体内の酸化ストレスが減り、男性ホルモンが増加すると書かれています。酸化ストレスとは、細胞劣化に悪影響をもたらす「活性酸素群」と、それに対抗する「抗酸化ポテンシャル」との差のことです。この差が大きければ大きいほど細胞は劣化し、老化が進みやすいとされます。また、男性ホルモンの増加も身体機能の改善につながり、老化防止につながります。最近の研究結果では、男性ホルモンは女性の若返りにも効果があると言われています。

また私見ですが、血管拡張作用のあるバイアグラを頻繁に飲むことで、加齢による動脈硬化の改善が促され、血管の老化防止にも効果がある可能性があります。さらに、バイアグラを服用する患者さんからは、持続時間(約4時間)を超えた翌日、翌々日にまで、これまでなかった朝勃ち現象が見られたという声が聞かれますが、これもある意味、若返り効果と言えるかもしれません。

女性用バイアグラがアメリカFDAで承認

2015年8月18日に米FDAは女性のHSDD(性的欲求低下障害)を改善する薬剤を国内にて初めて認可し、同年10月17日にアメリカにて発売開始予定とのこと。この薬剤は重篤な副作用も多いため処方をする医師には研修が必要であったり治療を受ける患者からの同意書が必須であったりとFDAとしては認可はしたものの、かなり慎重な処方が必要と判断していることと思われます。以下に要点だけまとめておきます。

  • 発売元はスプラウト・ファーマシューティカルズ社。一般名は「フリバンセリン」、商品名は「ADDYI(アディ)」(現在はスプラウト・ファーマシューティカルズ社はカナダの製薬大手バリアント・ファーマシューティカルズ・インターナショナルに買収されています)
  • バイアグラを代表とするED治療薬と違って、抗うつ薬などと同様、脳の中枢神経に働きかける薬で毎晩服用する。
  • 失神や極度の眠気、吐き気といった重篤な副作用のリスクが薬効を上回ると専門家から問題点が出ていた。
  • アルコールや避妊薬と併用すると副作用のリスクが増大するとの報告がある。
  • 処方をする医師は研修を受ける必要があり、リスク理解に関する同意書への患者の署名が必要。
  • 満足のいくセックスが月に2、3回のHSDD(性的欲求低下障害)患者を対象とした治験では、アディを服用した人は偽薬を飲んだ人よりもその数が平均で月0.5~1回しか多くならなかった。

所見

副作用のリスクが高いのにも関わらず効果は満足のいくセックスが月0.5~1回程度。FDAも効果が低い割に副作用のリスクが高いということから2013年に一度、認可を却下しています。一部の医師や研究者から「男性の性機能に関する治療薬は24種類も承認しているのに女性向けはゼロだ」「性差別的だ」と批判を浴びたため致し方なく承認したように感じます。FDAでこれだけ慎重なのだから、更にお堅い日本の厚労省では認可が下りることは考え難いです。おそらく日本での登場はないと思います。処方をする医師に研修必須、同意書まで必要という点から、専門医師からの重要な注意点、経過診察も必要であることは間違いありませんので個人輸入で流通することはないかと思いますが、万が一にも入手・使用は考えないようにしてください。余談ですが性的欲求低下障害(HSDD)治療薬情報として、2019年6月、新たにブレメラノチド(商標名Vyleesi)というHSDD治療薬がFDAによって承認されています。メーカーは米パラティン・テクノロジーズ(ニュージャージー州)です。こちらも日本での認可の予定は今のところありません。本家バイアグラのように、必要なときに服用するタイプとのことです。


院長 竹越 昭彦 たけこし あきひこ
略歴
  • 1966年 生まれ
  • 1991年 日本医科大学卒業
  • 1991年 日本医科大学付属病院
  • 1993~2002年 東戸塚記念病院 外科
  • 2004年10月 浜松町第一クリニック開院
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