人工透析(血液透析)とED
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浜松町第一クリニック 竹越昭彦院長 監修
更新日:
腎臓が担っている血液から不要な老廃物をろ過する役割を、機械や透析液を使って人工的に行う治療法です。
日本には2022年末時点でのデータで、約35万人の人工透析患者がおり、うち60パーセント強が男性となっています。透析を受ける原疾患としては、糖尿病の合併症である「糖尿病腎症」40.2%がもっとも多く、「腎硬化症」18.2%、「慢性糸球体腎炎」14.2%と続いています。
参照元 ⇒ CKD診療ガイド2024|日本腎臓学会編
人工透析を必要とする慢性腎臓病
長い期間をかけて徐々に進行する「慢性腎臓病」の場合、早期発見が難しいこともあって、一度失われた腎機能を取り戻すことは難しいのが現状です。
腎臓の働きが著しく低下した「末期状態」となると、腎臓のろ過機能が低下し、血液から十分に水分や老廃物を排出できなくなります。腎臓から尿として排泄される老廃物を「尿毒素」と呼び、この「尿毒素」が体内に蓄積すると、「吐き気」や「嘔吐」、「イライラ」、「高血圧」、「体がだるい」、「めまい」、「むくみ」などの症状が出たり、重い場合は「全身けいれん」や「意識不明」に陥ってしまうこともあります。こういった事態を防ぐためにおこなわれるのが人工透析です。
人工透析では、腎臓の代わりに機械で血液のろ過をおこないます。血液を体外に取り出し、機械を通して浄化した後、再び体内に戻す「血液透析」のほか、お腹に透析液を入れて体内で浄化する「腹膜透析(CAPD)」もあります。
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人工透析を受ける男性のうち、50~80パーセントの人にED症状が見られるとのデータがあります。もともと透析を受ける、受けないに関わらず、慢性腎臓病にかかっている男性患者の約7割にED症状が見られるとの報告もあります。特に60歳以上の世代では、9割にも達するといわれるほどです。透析の治療自体が、EDの原因になるということより、透析を受けなくてはならない腎臓の機能低下が、EDの要因と考えるのが自然でしょう。
慢性腎臓病がEDを併発する要因
- 血流の低下
- 神経障害
- テストステロン値の低下
- 高プロラクチン血症
- 腎性貧血
- NO(一酸化窒素)阻害
などです。その他、慢性腎臓病によって引き起こされる高血圧やうつ病の治療に使われる薬が、薬剤性EDを引き起こすことが考えられます。
人工透析を受けている方でも、服用できるED治療薬があります。QOL の観点からいっても、EDを改善することは重要です。人工透析を受けているからといって、EDによって、満足いく性行為が出来ないと諦めてしまう必要はありません。
人工透析を受けている場合、服用できるED治療薬はバイアグラ(シルデナフィル)又はシアリス(タダラフィル)となります。レビトラ(バルデナフィル)は禁止(禁忌)となっております。
バイアグラ、シアリスを服用する場合の注意点は、低用量からスタートし試していくことです。腎臓は薬の分解や排泄に関わる臓器のため、腎機能が低下していると薬の血中濃度が高くなりすぎてしまい、さまざまな副作用が起こりやすくなるため、十分な注意が必要です。
一方で、人工透析を受ける段階にある方の場合、EDも重症であるケースが多いため、高用量のものを使わないと十分な効果を得られない場合もあります。腎臓の機能が低下しているため、健康な男性よりも薬の血中濃度が上昇しやすいことは確かですので、上述の通り、少量から開始し慎重に様子を見ることが大切です。効果と副作用を共によく確認し、医師と相談しながら、自分に合った適切な服用量を見つけましょう。