ザガーロのジェネリックザガーロのジェネリック医薬品について

浜松町第一クリニック竹越昭彦院長監修

ザガーロのジェネリック医薬品とは、「ザガーロ」と同じ有効成分「デュタステリド」が配合され、厚労省に「ザガーロ」と同等の効果の薬であると認められた医薬品のことを言います。「デュタステリド」が "AGA治療に有効である" という物質・用途特許の満了を迎え、開発した製薬会社が独占的に販売する期間を過ぎた後、厚労省にジェネリック医薬品として認可されると販売開始されるようになります。ザガーロの特許権は発売元であるグラクソ・スミスクライン社(GSK)が所有しており、現在は特許が有効なため、国内の正規ザガーロジェネリック医薬品は発売されておりません。(2019年3月27日現在)

物質・用途特許が満了を迎えたとしても、製造方法に与えられる「製法特許」、どのような添加物を加えて、どのような製剤を作るのか等に与えられる「製剤特許」など有効な権利をGSK社が所有している場合、GSK社以外の製薬メーカーが同じ特許技術の製造方法を用いて「デュタステリド」を製造したり、同じ添加物を含んだ特許製剤を作ることはできません。そのためジェネリック発売には特許を侵害せずに製造する技術力も必要となります。特にザガーロは軟カプセル(ソフトカプセル)で、油性の液状の成分をゼラチン質のカプセル皮膜で包み込んだ薬剤です。カプセルの大きさは0.1mg、0.5mgともに、服用し難そうという印象を持たれかねないくらいに大きい(全長19.3mm、厚さ6.6mm)ことから、おそらく「デュタステリド」の安定性や均一性を保つ上で、ソフトカプセルにするしか方法が無かったということが推測できます。
つまり、「製法・製剤特許」が有効である状況でジェネリック登場の場合は、ジェネリックを製造する製薬メーカーの技術力次第では、もっと飲みやすい剤形で登場する可能性も充分考えられるということです。価格も安くなり飲みやすくなるのはザガーロ服用中の患者さんにとっては喜ばしいことですので期待して待ちましょう。

ジェネリックの名称は?

ザガーロカプセルはGSK社が「商標権」を持つ製品名のため、当然のことながら「ザガーロ」という名称を他社は使用できません。ジェネリック登場の際は、様々なメーカーが発売開始していくので医師や薬剤師が混乱しないよう、ジェネリック医薬品は以下のような名称とすることが義務付けられています。

【一般名+剤形+容量+(※ZA)「製造メーカーの略語」】
※ザガーロと同一薬で用途が異なるアボルブも存在するので「ZA」と入ることが予想できます。

どこのメーカーが発売するのか?についてですが、おそらく「プロペシアのジェネリック医薬品」である「フィナステリド錠」を発売している沢井製薬、東和薬品、ファイザー、武田テバあたりが濃厚であると考えられます。
名称はデュタステリド錠0.5mg ZA「サワイ」(錠剤だった場合)、デュタステリドOD錠0.5mg ZA「トーワ」(OD錠だった場合)、デュタステリドカプセル0.5mg ZA「ファイザー」(カプセルだった場合)、デュタステリド錠0.5mg ZA「武田テバ」(錠剤だった場合)等々の名称となることが予想されます。

ザガーロの製造販売初認日が2015年9月28日なので、普通に考えて「物質・用途特許」が満了を迎えジェネリックが登場するのは、まだまだ先のことであると思っていました。ところが、2019年から医薬品製造にかかわる関係者によるザガーロのジェネリックに関する動きが時折、目立つようになり、ついには2019年度の秋頃に厚労省から認可を受けたジェネリック医薬品が発売開始されるという噂まで広がってきています。
そこで独立行政法人 工業所有権情報・研修館が無料提供する『特許情報プラットフォーム|J-PlatPat』にて、「ザガーロ」の有効成分である「デュタステリド」に関わる特許があるか調査してみましたところ、1件該当するものが見つかりましたので紹介させていただきます。

ザガーロの物質・用途特許について

【出願人】グラクソ、ウェルカム、インコーポレーテッド(当時、英国グラクソ社と英国ウェルカム社が合併しグラクソ・ウェルカム社であった)
【発明の名称】アンドロステノン誘導体
【出願番号】特願1995-509391
【出願日】平成6年9月16日(1994年9月16日)

上記【出願番号】にあるリンク先を開き、「特表平09-502731」を選択し、特許内容を表示させ「文献単位PDF表示」を選択すると全26ページからなる特許内容の詳細を閲覧できます。下記の通り、ここに記載のある化合物の構造式とザガーロの有効成分であるデュタステリドは合致しています。

更に3ページ目を抜粋。
7. 有効なアンドロゲン応答または媒介疾患量の請求項1に記載の化合物を哺乳動物に投与することを含んでなる、疾患にかかった哺乳動物におけるアンドロゲン応答または媒介疾患の治療方法。
8. アンドロゲン応答または媒介疾患が良性前立腺肥大、前立腺癌、ざ瘡、男性型禿頭症および多毛症である、請求項7に記載の方法。

これは上記の化合物を男性型禿頭症(だんせいがたとくとうびょう)の哺乳類に投与する治療方法に関する項目。これはつまりデュタステリド投与による男性型脱毛症に関する特許である可能性が高いです。

ザガーロの特許満了日について

この特許がザガーロの発売元であるグラクソ・スミスクラインの所有する特許であれば添付画像の赤いアンダーラインの通り【登録細項目記事:権利者が全て民間、または民間と官庁共有である 本権利は抹消されていない 存続期間満了日(平31.9.16)】とあるので2019年9月に満了を迎えることになり、現在の「2019年度中にザガーロのジェネリックが登場する」という噂に信憑性が出てきます。
しかしながら未だ製薬メーカー等から正確な情報を入手したわけではありません。未だ推測の域を出ない状況なので、あくまでもこれがザガーロの特許であればという仮説に基づく情報であることであることをご了承下さい。

海外には「ザガーロ」と同じ「デュタステリド」を主成分とする薬剤が多く存在しています。しかしAGA治療薬として「デュタステリド」が認められているのは、日本の「ザガーロ」と韓国の「アボダート」(☆マーク)のみで、以下の通り、前立腺肥大症の治療薬として「デュタステリド0.5mg」を含有しているもの(★マーク)が大半を占めます。しかも各国では未だ特許が有効な場合が多いので、例のようにインド製のものが非常に多く、個人輸入代行業者の通販サイトでは多く存在しています。
参考⇒どうしてインドでは国際特許が切れていないのにジェネリックが存在するのか?

不思議なのが「前立腺肥大症の治療薬」としては既に100カ国以上で承認を得ているにもかかわらず、「AGA治療薬」としては日本と韓国だけという点です。薄毛治療のために毎日長期に渡って服用することで、何かしらのリスクがあるのかと疑われてしまうのも無理もありません。半減期(薬を服用後、薬の成分の血中濃度が最大値の半分以下になる時間)が約41時間±15時間と長い、つまり体に成分が滞在している時間が長いこともあり、医師の中にはAGA治療として「デュタステリド」の服用に否定的な方もいらっしゃいます。長期服用している場合は服用中止後6ヶ月経過しないと献血ができないことからも、薬の成分が長時間滞在することの裏付けでもあります。ちなみにプロペシアの成分フィナステリドは、半減期が約4時間±30分で、献血は服用中止後1ヶ月経過すれば問題ありません。

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