尻にしかれてED「マンガ」

浜松町第一クリニック 竹越昭彦院長 監修

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少し信じがたい話に聞こえるかもしれませんが、実際にこのような悩みを抱えてクリニックを訪れる方が、稀にいらっしゃいます。
家庭内では完全な「かかあ天下」。ご本人はかなり深刻な様子で、相談を受けた当時の私は本当にお気の毒に感じました。

お話を伺うと、「妻を満足させるためにED治療薬を使いたい」とのことでした。初診時に詳しく状況を確認したうえでED治療薬を処方したところ、数日後の再診では「薬が非常によく効いた」と、満足そうに報告してくださいました。

ところが、詳しく話を聞いてみると、ご本人としては、必ずしもED治療薬を使ってまで性行為をしたいわけではないとのこと。
「勃たなければ妻が怒るんです」とおっしゃるのです。単に「すねる」という程度ではなく、本当に怒るそうです。

その話を聞いた私は、正直なところ「それは大変ですね……」と思いながら、最後には「頑張ってください」としか言えませんでした。
もちろん、実際の夫婦関係がどのようなものなのかは、ご本人から伺った話だけでは分かりません。しかし、暗い表情で話される姿からは、それだけ大きなプレッシャーを感じていることが伝わってきました。

ただ、私はもう一つ、別の可能性もあるのではないかと思いました。
もしかすると、この患者さんは、口では「仕方なく性行為をしている」と言いながら、実は奥様との性生活を楽しんでいる部分もあるのではないでしょうか。

気の強い「かかあ天下」の奥様との関係を、少し照れ隠しも含めて「妻に言われるから仕方なく」と表現しているだけなのかもしれません。

というのも、ED治療薬は、服用しただけで自動的に勃起する薬ではなく、性的な刺激や性的興奮があったときの勃起をサポートする薬だからです。

そのため、ED治療薬を服用したことで実際に性行為ができたのであれば、少なくともその場面では、性的な刺激や興奮が勃起につながっていたと考えられます。
もちろん、「薬が効いた=奥様への愛情がある」と単純に判断できるものではありませんが、少なくとも「まったく性的な気持ちがないから勃起できない」というケースとは少し違うのかもしれません。

ですから私は、口では「妻に言われるから仕方なく」と言いながらも、実際には奥様との性生活を完全に嫌がっているわけではなく、夫婦としての関係や性生活を大切にしている部分もあるのではないかと感じました。

夫婦の関係は、外から見ただけでは分からないものです。「尻にしかれている」と感じていても、それが二人にとって居心地のよい関係である場合もあります。大切なのは、どちらか一方が無理をするのではなく、お互いの気持ちや意思を尊重しながら性生活を築いていくことでしょう。

「妻の言うことには逆らえない」「家ではいつも妻の機嫌を気にしている」 このような夫婦関係が続いていると、性行為の場面でも無意識のうちにプレッシャーを感じてしまうことがあります。

もちろん、夫婦のどちらが主導権を握っているかは、それぞれの家庭によって異なります。パートナーのほうが強い関係だからといって、それ自体が問題というわけではありません。

しかし、「怒らせないようにしなければ」「期待に応えなければ」「断ったら機嫌が悪くなる」といった気持ちを常に抱えている場合、その心理的な負担が性行為にも影響することがあります。

特に性行為は、リラックスして性的な刺激に集中できることが重要です。それにもかかわらず、パートナーの反応ばかりを気にしてしまうと、性的な興奮よりも緊張や不安が強くなり、勃起しにくくなることがあります。

このようなケースでは、「パートナーに気を遣う」→「性行為にもプレッシャーを感じる」→「勃起しにくくなる」→「失敗を恐れる」→「さらに緊張する」という悪循環に陥ることがあります。

パートナーの機嫌を気にしすぎてしまう

普段からパートナーの機嫌を気にして生活していると、性行為の場面でも「今、相手はどう思っているだろう」「ちゃんと期待に応えられているだろうか」と、相手の反応ばかりを気にしてしまうことがあります。
本来なら性的な刺激に集中したいところですが、頭の中がパートナーの顔色をうかがうことでいっぱいになってしまえば、当然ながらリラックスすることは難しくなります。
性行為中に「勃起できているか」「相手が満足しているか」を気にしすぎること自体が、心理的なプレッシャーとなる場合があります。

解決方法

「相手の機嫌」ではなく「自分自身の感覚」に意識を向ける

  • 性行為中にパートナーの反応を気にしすぎない
  • 「満足させなければ」と自分を追い込まない
  • キスやスキンシップなど、行為そのものを楽しむ
  • 性行為を「評価される場」だと考えない

性行為はテストではありません。相手から評価されることを意識するよりも、二人で楽しむ時間だと考えることが大切です。

性行為に義務感やプレッシャーを感じている

「妻が求めているから応じなければ」「夫婦なのだから性行為をしなければ」といった義務感が強くなると、性行為そのものを楽しめなくなってしまうことがあります。
特に、自分自身はそれほど性行為をしたい気分ではないにもかかわらず、パートナーの期待に応えるために無理をしている場合には注意が必要です。
性行為を「しなければならないもの」と考えるほど、性的な興奮よりも義務感が先行し、勃起に必要なリラックスした状態を作りにくくなります。

解決方法

性行為を「義務」ではなく「二人のコミュニケーション」と考える

  • 性行為をする・しないを無理に決めない
  • 自分の体調や気分も大切にする
  • 性行為以外のスキンシップを増やす
  • お互いが自然に楽しめるタイミングを選ぶ

夫婦だからといって、いつでも性行為をしなければならないわけではありません。お互いの気持ちや体調を尊重することが、結果的に性生活を良好に保つことにもつながります。

「失敗すると怒られる」という恐怖がある

「勃起できなかったら妻に怒られる」「途中で中折れしたら、また何か言われるかもしれない」 このような経験があると、性行為を始める前から緊張してしまうことがあります。
そして、実際に少し勃起が弱くなると、「やっぱりダメだ」「怒られる」と考えてしまい、さらに緊張が強くなります。
その結果、勃起を維持できなくなり、実際に性行為がうまくいかない。すると、次回はさらに不安になるという悪循環が生まれます。
「失敗するかもしれない」という予期不安は、心因性EDにつながる重要な要因の一つです。EDではパフォーマンス不安や心理的ストレスが関係することがあり、必要に応じて心理的な支援を組み合わせることも推奨されています。

解決方法

「失敗してはいけない」という考え方を手放す

  • 性行為を「成功・失敗」で判断しない
  • 勃起が弱くなっても焦らない
  • 挿入や射精だけを性行為の目的にしない
  • パートナーに不安を素直に伝える
  • 症状が繰り返す場合は医療機関に相談する

「今日は最後までできなくてもいい」と考えるくらいの余裕を持つことで、性行為に対するプレッシャーを軽くできることがあります。

夫婦間で性生活について話し合えていない

普段からパートナーのほうが強い立場にいると、「性について意見を言ったら怒られるのではないか」と考え、性生活についても本音を話せなくなってしまうことがあります。
「本当はもう少しゆっくりしたい」「今日は疲れている」「こういうことをしてみたい」など、自分の気持ちを伝えられないまま相手に合わせ続けていると、知らないうちにストレスが蓄積してしまいます。
性生活について話し合うことは、性行為の回数を増やすためだけではなく、お互いが無理をしていないかを確認するためにも大切です。

解決方法

落ち着いているときに性生活について話し合う

  • 性行為の直前ではなく、普段の落ち着いた時間に話す
  • 相手を責めるのではなく、自分の気持ちを伝える
  • 「してほしい」だけでなく「したくない」ことも伝える
  • お互いの希望やペースを確認する
  • 性行為以外の夫婦関係についても話し合う

「あなたが悪い」と伝えるのではなく、「自分はこう感じている」と伝えることで、相手も受け止めやすくなります。

自分の気持ちや欲求を我慢し続けている

「妻が望むなら応じなければ」「妻が嫌がることはしないようにしよう」と、相手を大切にするあまり、自分の気持ちをすべて抑えてしまう男性もいます。
相手を思いやることはもちろん大切ですが、自分の気持ちや体調を無視して我慢し続けることが、必ずしも良好な夫婦関係につながるとは限りません。
特に、「本当は性行為をしたくないのに断れない」という状態が続けば、性行為そのものにストレスを感じるようになる可能性があります。

解決方法

相手を尊重すると同時に、自分自身の気持ちも大切にする

  • 疲れているときは無理をしない
  • 性行為をしたくないときは無理に応じない
  • 自分の希望や好みも伝える
  • 性行為以外の愛情表現も大切にする
  • お互いが納得できる性生活を考える

夫婦やカップルの性生活は、どちらか一方だけが我慢するものではありません。お互いの意思を尊重しながら、二人にとって無理のない関係を築いていくことが大切です。


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