バイアグラバイアグラとの併用注意薬についての詳細

チトクロームP450 3A4 阻害薬との併用注意と理由

バイアグラの有効成分であるシルデナフィルは肝臓で代謝されます。もう少し詳しく説明すると代謝には肝臓にあるCYP3A4という酵素(CYP450 等の分子種の一種)が大きく関わっていますので、CYP3A4を阻害する他の薬剤と併用することで薬の作用が強く出過ぎたり、代謝を遅らせて半減期を引き延ばすことがあります。反対にCYP3A4を誘導する薬剤と併用することで代謝されるのが早まり満足な効果が得られなくなることがあるので注意が必要です。
また、シルデナフィルは血管拡張作用があるため血圧を若干下げる作用があるので一部の降圧剤と併用することで降圧作用が増強するため、こちらも注意が必要です。
詳細は以下をご覧ください。

薬剤名等臨床症状・借置方法機序・危険因子
チトクロームP450 3A4 阻害薬(リトナビル、サキナビル、ダルナビル、エリスロマイシン、シメチジン、ケトコナゾール、イトラコナゾール等)リトナビル、サキナビル、エリスロマイシン、シメチジンとの併用により、本剤の血漿中濃度が上昇し、最高血漿中濃度(Cmax)がそれぞれ3.9 倍、2.4 倍、2.6倍、1.5 倍に増加し、血漿中濃度-時間曲線下面積(AUC)がそれぞれ10.5 倍、3.1 倍、2.8 倍、1.6 倍に増加した代謝酵素阻害薬によるクリアランスの減少注1)

注1)クリアランスの減少とは、肝臓での代謝する能力が低下することを意味しています。代謝機能低下により血中濃度が上昇したり半減期が延長したりするということです。

シメチジンとの相互作用(外国人データ)

健康成人男性22 例を対象に、試験1 日目及び5 日目にシルデナフィル50mg を単回経口投与、試験3~6 日目にシメチジン800mg 又はプラセボを1 日1 回空腹時に反復経口投与し、シメチジン併用時のシルデナフィルの薬物動態を検討した。その結果、シルデナフィルのCmax及びAUC0~t は1 日目に対する5 日目の変化率をプラセボ併用群とシメチジン併用群で比較するとそれぞれCmaxは1.54 倍及びAUC0~t は1.56 倍と有意な増加が示された。これは、シルデナフィルがCYP3A4 で代謝されるためCYP3A4 の阻害薬であるシメチジンの併用によりシルデナフィルの代謝及びクリアランスが遅れるためである。以上より併用には注意すべきと考えられる。

エリスロマイシンとの相互作用(外国人データ)

健康成人男性24 例を対象に、試験1 日目及び6 日目にシルデナフィル100mg を食後2 時間に単回経口投与し、試験2~6 日目までエリスロマイシン500mg 又はプラセボを1 日2 回併用投与し、エリスロマイシン併用時のシルデナフィルの薬物動態を検討した。その結果、シルデナフィルのCmax及びAUC0~∞は1 日目に対する6 日目の変化率をプラセボ併用群とエリスロマイシン併用群で比較すると、それぞれ2.6 倍及び2.8 倍に増加した。Tmax、T1/2には差がみられなかった。エリスロマイシン併用によってCYP 3A4 が阻害され、シルデナフィルの初回通過代謝が低下したためと考えられる。エリスロマイシンの投与により副作用の増加はみられなかったが、以上より併用には注意すべきと考えられる。

リトナビルとの相互作用(外国人データ)

健康成人男性28 例におけるリトナビル及びシルデナフィルの併用時の薬物動態を検討するオープン無作為割付けプラセボ対照クロスオーバー試験を行った(シルデナフィルの投与7 及び8 日目は、二重盲検、無作為化、プラセボ対照、2 期クロスオーバーにて実施)。第1 群の被験者には、1 日目にシルデナフィル100mg を単回投与した。2 日目の朝、リトナビル(300mg、1 日2 回)の投与を開始し、3 日目に400mg1 日2 回、4~8 日目には500mg1 日2 回を投与した。7 日目の朝、二重盲検クロスオーバー相を開始し、無作為にシルデナフィル100mg 又はシルデナフィルのプラセボを単回投与したのち、8 日目の朝には、シルデナフィル又はプラセボのうち前日投与しなかった方を投与した。第2 群の被験者にも第1 群と同じ方法で投与したが、リトナビルの代わりにリトナビルのプラセボを投与した。リトナビル(500mg、1 日2 回)によって、シルデナフィルのCmaxが3.9 倍(290%)、AUC が10.5倍(950%)へと有意に増加した。さらに、Tmaxが3.1 時間有意に延長し、除去速度定数(Kel)が0.06/hr 減少した結果、半減期は約2 時間延長した。一方、シルデナフィル100mg 単回投与はリトナビルの薬物動態に影響を及ぼさなかった。リトナビルとの併用によってCYP3A4 が阻害され、シルデナフィルの初回通過効果の阻害とともに、シルデナフィルの全身クリアランスヘの影響が示唆される。以上より併用には注意すべきと考えられる。

サキナビルとの相互作用(外国人データ)

健康成人男性28 例(外国人、18~45 歳)を対象に、オープン無作為割付けプラセボ対照クロスオーバー試験により、サキナビル及びシルデナフィルの併用時の薬物動態を検討した。第1 群の被験者には、1 日目にシルデナフィル100mg を単回投与した。2 日目の朝、サキナビル(1,200mg、1 日3 回)の投与を開始し、7 日間継続した。7 日目の朝、二重盲検クロスオーバー相を開始し、無作為にシルデナフィル100mg 又はシルデナフィルのプラセボを単回投与したのち、8 日目の朝には、シルデナフィル又はプラセボのうち前日投与しなかった方を投与した。第2 群の被験者にも第1 群と同じ方法で投与したが、サキナビルの代わりにサキナビルのプラセボを投与した。その結果、サキナビル(1,200mg、1 日3 回)によって、シルデナフィルのCmaxが2.4 倍(140%)、AUC が3.1 倍(210%)へと有意に増加した。さらに、Tmaxが2.6 時間有意に延長し、除去速度定数(Kel)が0.046/h 減少した結果、半減期は約1 時間延長した。一方、シルデナフィル100mg単回投与はサキナビルの薬物動態に影響を及ぼさなかった。サキナビルとの併用によってCYP3A4が阻害されシルデナフィルの初回通過効果が低下したためと考えられる。以上より併用には注意すべきと考えられる。

ダルナビルとの相互作用

ダルナビルとリトナビルの併用例に本剤を併用した際、本剤のCmax 及びAUC の増加が認められたとの報告がある。

チトクロームP450 3A4 誘導薬との併用注意と理由

薬剤名等臨床症状・借置方法機序・危険因子
チトクロームP450 3A4 誘導薬(ボセンタン、リファンピシン等)本剤の血漿中濃度が低下するおそれがある。代謝酵素誘導によるクリアランスの増加注1)

注1)クリアランスの増加とは、肝臓での代謝する能力が向上することを意味しています。代謝機能向上により血中濃度が低下し、薬剤の効果が得られない可能性があるということです。

【解説】:チトクロームP450 3A4 誘導薬との相互作用本剤は主として肝ミクロソームのチトクロームP4503A4 によって代謝されることから、この酵素を誘導する薬剤(ボセンタン、リファンピシン等)との併用は本剤の血漿中濃度が低下するおそれがある。

降圧剤との併用注意と理由

薬剤名等臨床症状・借置方法機序・危険因子
降圧剤アムロジピン等の降圧剤との併用で降圧作用を増強したとの報告がある。本剤は血管拡張作用による降圧作用を有するため、併用による降圧作用を増強することがある。

【解説】:降圧剤
アムロジピンとの相互作用(外国人データ)
アムロジピン5 又は10mg を常時服用している本態性高血圧症患者16 例を対象に、アムロジピンの薬物動態及び血行動態に及ぼすシルデナフィルの影響を二重盲検クロスオーバー法により検討した。アムロジピンを空腹時に投与し、その2 時間後(食後約2 時間)にシルデナフィル100mg 又はプラセボを単回併用投与した。その結果、シルデナフィル併用群ではプラセボ併用群に比べ心拍数の基準値からの有意な上昇と仰臥位及び立位における収縮期及び拡張期血圧の基準値からの有意な低下が認められた。したがって、シルデナフィルはアムロジピン等の降圧剤を投与している患者には併用を注意すべきと考えられる。

α遮断剤との併用注意と理由

薬剤名等臨床症状・借置方法機序・危険因子
α遮断剤ドキサゾシン等のα遮断剤との併用でめまい等の自覚症状を伴う血圧低下を来したとの報告がある。降圧作用が増強することがあるので、低用量(25mg)から投与を開始するなど慎重に投与すること。本剤は血管拡張作用による降圧作用を有するため、併用による降圧作用を増強することがある。

【解説】:α遮断剤
トキサジシンとの相互作用(外国人データ)
ドキサゾシンにて治療を行っている前立腺肥大症(Benign Prostatic Hyperplasia:BPH)に伴う排尿障害患者17 例(55~75 歳)を対象に、ドキサゾシン(4mg 又は8mg)の薬物動態及び血行動態に及ぼすシルデナフィルの影響を二重盲検クロスオーバー法により検討した。2 週にわたって1 日1 回ドキサゾシンを経口投与した後に、シルデナフィル25mg 又はプラセボを単回併用投与した。その結果、シルデナフィル25mg 併用群ではプラセボ併用群に比べ心拍数の基準値からの有意な上昇(仰臥位3.7 拍/分:立位6.5 拍/分)と、仰臥位血圧において平均で収縮期7.4mmHg、拡張期6.8mmHg の追加低下が認められた。
(注:ドキサゾシンは本邦においてBPH に伴う排尿障害の適応を有していない。)

カルペリチドとの併用注意と理由

薬剤名等臨床症状・借置方法機序・危険因子
カルペリチド併用により降圧作用が増強するおそれがある。本剤は血管拡張作用による降圧作用を有するため、併用による降圧作用を増強することがある。

【解説】:カルペリチドとの相互作用
急性心不全治療剤であるカルペリチドは、α型ヒトナトリウム利尿ペプチドの受容体に結合し、膜結合性グアニル酸シクラーゼを活性化させることにより細胞内cGMP を増加させ、それに基づき血管拡張作用や利尿作用等を示す。一方、本剤は陰茎海綿体のcGMP 分解を司るPDE5 を阻害することによりcGMP 分解を抑制し、海綿体の平滑筋弛緩、血管拡張により勃起を促す。現在までのところ、本剤とカルペリチドとの相互作用に関する臨床ならびに基礎実験データはないが、併用により両剤の血管拡張作用による降圧作用が増強されるおそれがあるため、慎重投与とした。