EDと生活習慣病

浜松町第一クリニック 竹越昭彦院長 監修

生活習慣病とは、日常生活を普通に送っている人なら誰でも心当りのあることが原因となり、人生生活を徐々に蝕んでいく実は恐ろしい病です。自覚症状がない為、放置されがちですが、男性なら、まさかオレが!という症状も引き起こします。

生活習慣病は、慢性的な喫煙、過度の飲酒、乱れた食生活、運動不足、肥満、ストレスなどを原因とします。代表的なものとして、高血圧症、糖尿病、脂質異常症(高脂血症・高コレステロール血症)などを引き起こし、結果として最終的には、心臓病、脳卒中のように死に至る病にもつながります。生活習慣というぐらいですから、1年、2年で発症というわけではなく、10年20年かけて、少しずつ病状は悪化していきます。ちょうど、働き盛りの、早い人だと30代半ば、普通は40代、50代から発症します。会社の健康診断や人間ドックで、突然、高血圧、糖尿病、高コレステロールを指摘されて、まずは運動、食事療法、減量を指導されますが、人間、そう簡単に今までの生活習慣、嗜好を変えることが出来ません。体に悪いとわかってはいるけど愛煙家、お酒好きにとって禁煙、節酒は簡単そうで難しいですし、運動、減量の為にジョギングなど、危機感のない人では長続きするわけありません。むしろ運動で、いい汗かいてビールがおいしくなってしまいかねません。健康診断の医師はいとも簡単に禁煙、節酒、運動、減量、塩分控えめ、などと指導しますが、まずほとんどの方に、実践不可能なことは承知しています。そして、しばらくして、再検査で異常値がみつかると、まずは薬で様子を診ましょうとなるわけです。そして、よほどの改善がみられないかぎり、医師は投薬治療を続けざるをえません。

生活習慣病は、世界でも有数の長寿国である日本でも年々増えています。潜在的に、高血圧症の患者さんは2017年で4300万人、糖尿病の患者さんは2016年で1000万人と推測されています。増えているということは、本来健康で人生を送り、一生を全うできた方が、できなくなってしまう可能性がでてきたということです。

昔は、学校の先生は、体罰を含め、生徒を叱ってくれました。町医者も患者さんを、あなた、このままじゃ死んじゃうよ!と脅かしてくれました。今では、トレパン姿で竹刀片手に学校内を練り歩いていた怖い先生は絶滅し、死ぬよ!と脅かす医者も特別天然記念物指定ほど珍しいか、ご高齢のため、引退されました。ある意味、危機感を持った自分の健康管理も自己責任の時代です。

しかしながら、生活習慣病の初期症状で、男性なら、こんなはずじゃ!という前兆がみられることがしばしばあります。それが、ED です。ED とは、Erectile Dysfunction の略で、性交時に十分な硬さの勃起力が得られない、または、十分な勃起力が維持できずに中折れしてしまう状態をいいます。従来は、インポテンツといわれていましたが、直訳だと性的不能という、いかにも冷たい言葉であるために、中折れという広義の意味も含めてこの2000年頃から ED という表現が一般的です。


なぜ、代表的な生活習慣病である高血圧症、糖尿病が、ED になるのかを簡単に解説しましょう。勃起というのは、男性性器に大量の血液が流れ込むことによって起こります。高血圧になるということは、動脈の血管が硬く、細くなって柔軟性が無い状態ですから、男性性器に流れ込む血液量は減るわけです。当然、全身への血液循環も悪くなっていると推測されます。さらに、糖尿病になると、血管への障害のみならず、神経にも障害をきたします。すると、脳からの勃起指令が性器に伝わりません。実は ED は病状のおおまかな指標になりえます。

ですから、世の奥様方は、ご主人の ED の症状をみたら、まず、生活習慣病の前駆症状ではないかと思っていただきたいです。大和撫子の奥様方が万一、御自分に魅力がなくなった為ではないか、または、あらぬ誤解をされる前に、ご主人の健康を心配してみてください。

平成20年5月

院長 竹越 昭彦 たけこし あきひこ
略歴
  • 1966年 生まれ
  • 1991年 日本医科大学卒業
  • 1991年 日本医科大学付属病院
  • 1993~2002年 東戸塚記念病院 外科
  • 2004年10月 浜松町第一クリニック開院
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