竹越院長コラムED治療薬以外で勃起させる方法

ED薬でも勃起しなかったときの「最後の手段」

ED治療薬は、絶大な効果を発揮するが万能ではない。また、既往症や服用している薬によってはED治療薬を使用できない男性もいる。

ED薬でも勃起しなかったときの「最後の手段」

加えて、「EDの種類」の項でも述べたが、心因性EDに高い有効性を発揮するED治療ではあるが、「特定の相手では性的に興奮しない」「特定の好みでないと性的に興奮しない」……といったタイプのEDの場合、脳の性欲中枢への抑制が強いため、ED治療薬を使ってもほとんど効かないことが多いのだ。というのも、そもそもED治療薬はのめば勃起するというものではなく、内服後に性的刺激が必要なのだが、この性的刺激が心理的に抑制されてしまっているので勃起のしようがないのだ……。

残念だが、効果抜群のED治療薬とはいえ万能ではないのが現実なのである。だが、「もう二度と勃起できない」と諦める必要はない。「最後の手段」とも言える方法がある。それは外科的手法による局所治療などだ。そのいくつかを紹介しよう。ただし、当院では扱っていないため、その点ご留意いただきたい。

陰茎締めつけリング

勃起補助器具として販売されているこうしたリングは、ペニスの根元を締めつけることで海綿体に流入した血液が流れ出すことを防ぎ、勃起を促し維持するものだ。アダルトグッズのショップなどでも売られている、シリコン製やゴム製の「輪っか」といえば、どんな器具か把握できる男性も多いのではなかろうか。男性にはアダルトグッズのイメージが強いかもしれないが、医療機関などで用いられるのは厚生労働省の認可を受けた、れっきとした医療器具である。使用するのも簡単で、安価でもあるので試しやすいだろう。

陰圧式勃起補助器具

この器具はペニスを筒状のシリンダーに挿入し、手動のポンプでシリンダー内の圧力を下げることで海綿体に血液を呼び込み勃起を促す。十分に勃起したら、根元にリングを装着し勃起状態を維持するというものだ。取り扱いも簡単で、自分ひとりで一連の操作を行える。空気圧を利用した物理療法だから、海綿体に血液を流入させる血管に異常がなければ勃起することができ、神経系の切断やED治療薬が使用できない場合にも有効だ。ただ、陰茎締めつけリングもそうだが、リングの締めつけによって勃起を維持するため、長時間の使用は禁物なのが難点と言えるだろう。

陰茎海綿体注射

ペニスの海綿体に薬剤を注射して勃起を促す治療方法で、バイアグラが開発される前はEDの第一の治療法として欧米で普及していた。日本で馴染みがないのは、患者本人による自己注射が医師法によって禁じられているためである。

効果は顕著で、注射後10分以内に完全に勃起し、この状態が2時間程度続くのだが、日本では医療機関で注射してもらわなければならないので、注射後すぐにSEXしなければならず、とにかく慌ただしいことも国内で普及しなかった一因だろう。ただ薬剤によって勃起させるので、性的刺激がなくてもかまわない点は心因性EDの人にはメリットとなる。デメリットとしては、薬剤による強制勃起なので性的に興奮してなくても勃起し、そればかりか射精後も勃起したままになる持続性勃起を引き起こすことが挙げられる。こうなると海綿体内部の血液が止まることとなり、海綿体の組織が破壊されて完全なEDになる可能性がある。また、薬剤の副作用で海綿体が繊維化してしまう陰茎海綿体繊維症になるリスクも否定できない。また、性的刺激で勃起しているわけではないので、射精したときの快感に乏しい場合もあるのが難点だろう。

陰茎海綿体注射(ICI療法)については、他のページで詳しく解説させていただいているので詳しく知りたい人は、こちらを参考にして下さい。


陰茎プロステーシス移植

陰茎プロステーシスとは、ペニスのなかに埋め込み、人工的に勃起させるシリコン製の「支柱」だ。外科手術を伴うため、費用も高価になる。陰茎プロステーシスを移植しての勃起はあくまでも人工的な「擬似勃起」であり、本人の性感が向上するわけではない。むしろ、男性よりもパートナーの女性を性的に満足させるための治療と考えるべきだろう。この手術で用いられるシリコン製の「支柱」には、インフレータブル型とノン・インフレータブル型がある。インフレータブルとは「膨らませることができる」という意味で、文字通りペニスを膨張させることができるが、その仕組みを実現させるための手術は大がかりなものだ。一例としては、勃起させるためのシリンダーをペニスの海綿体に埋め込み、このシリンダーを膨張させる液を入れるタンクを体内の膀胱の手前に埋め込む。さらに、陰嚢にポンプと弁を仕込むという外科手術を施すのだ。SEXを行う際は、ペニスを勃起させるときは陰嚢のポンプを手動でシリンダーを膨張させ、ペニスを萎えさせるために陰嚢の弁を開けてシリンダー内の液を抜き、平常時のやわらかい状態に戻すという手順を踏む。考慮しなくてはいけないのは、外科手術によってさまざまな器具をペニスや体内に埋め込むことになるので、合併症の可能性があることだ。