高血圧とED
高血圧とED

テーマ高血圧と ED

高血圧とは

高血圧症は「血圧が正常範囲を超えている状態が継続する」疾患であり、年齢が上がるにつれて発生する割合が高くなる病気です。2008年に行われた厚生労働省による「患者調査」の概況によれば、高血圧の患者数は合計796万7,000人。その内訳は男性334万人、女性464万3,000人となっており、男性、女性共に多いことがわかります。

出典:日本生活習慣病予防協会ホームページ
高血圧の総患者数は796万7,000人 厚生労働省「平成20年 患者調査の概況」より
http://mhlab.jp/malab_calendar/2009/12/006720.php

高血圧には自覚症状がない場合も多々ありますが、さまざまな別の疾患を引き起こす病因にもなることから、注意が必要とされています。

血圧とは

高血圧と ED(勃起不全) の関連性

高血圧症と ED の関連の研究は海外で盛んに行われています。論文によると、高血圧症を患う人が ED を発症している確率は27%から68%。研究ごとにかなり幅はありますが、高血圧と ED の因果関係は研究者の中では周知の事実であるようです。

当院でも、高血圧の治療をされている方も多く、糖尿病と並んで、 ED 発症の大きな原因の一つと考えています。


血圧を制御する高血圧治療薬

高血圧症に対してよく使用される薬として、「利尿薬」や「カルシウム拮抗薬」、「β遮断薬」「アンジオテンシンII受容体拮抗薬」「アンジオテンシン変換酵素阻害薬」があります。

これらの薬の副作用で ED を引き起こす可能性もあり、注意が必要です。


1.利尿薬とカルシウム拮抗薬

血圧は血管と中を流れる血液の量で決まります。水道とホースの関係のように水流が多ければ、またホースが細ければ圧力は高くなります。反対に太いホースの中に少量の水が流れる場合は圧力が低くなるという原理です。

「利尿薬」は流れる血液の量を減らす効果を利用、「カルシウム拮抗薬」は血管を広げることで血圧の上昇を抑える降圧剤です。

「利尿薬」の効果は腎臓の働きに関連します。人の体を流れる血液は栄養分や酸素、二酸化炭素、老廃物を運ぶためのものであり水分を多く含みます。腎臓は主に血液中の老廃物と水分をろ過して尿として体外に排出するための臓器であり、血液中から水分が取り除かれることで血液の量が減少、血圧が適正に保たれます。「利尿薬」は腎臓から体外へ水分の排泄を補助する効果があり、結果的に高血圧の治療に役立ちます。

利尿剤の降圧作用

「カルシウム拮抗薬」は血管拡張作用をもつ薬です。血管を太く広げることで血圧の上昇を抑制、高血圧の治療につながります。「カルシウム拮抗薬」は構造の特徴から大別して3つに分類されますが、高血圧の治療に効果があるのは主にジヒドロピリジン系。高血圧治療の第一選択薬とされ幅広く患者様に使用されています。

カルシウム拮抗薬の降圧作用


2.アンジオテンシン系降圧剤

「β遮断薬」「アンジオテンシンII(2)受容体拮抗薬」「アンジオテンシン変換酵素阻害薬」の3つは、いずれも「アンジオテンシン」と呼ばれる生理活性物質に着目した降圧剤です。「アンジオテンシン」にはI(1)からIV(4)の4種類があります。腎臓から分泌される「レニン」と呼ばれる生理活性物質の作用により、まず「アンジオテンシンI(1)」が作られます。その後「アンジオテンシン変換酵素(ACE:angiotensin converting enzyme)」の働きによって生成された物質は「アンジオテンシンII(2)」に変換されます。この「アンジオテンシンII(2)」が受容体と結合することで血圧が上昇することがわかっています。

アンジオテンシンの働きを利用した血圧コントロールには、3つのアプローチが考えられます。

第一は「アンジオテンシンI(1)」の原因となる「レニン」の分泌を防ぐことです。交感神経のアドレナリン受容体の一種「β1」を阻害することによりレニン放出が抑制され、「アンジオテンシンI(1)」の生成を抑えます。この方法を利用する薬剤が「β遮断薬」です。

(β遮断薬は、心拍数・心拍出量の減少によって、血圧を低下させる作用との相乗効果があります)

βブロッカーの降圧作用

二番目は「アンジオテンシンII(2)」が受容体と結合することを防ぐ方法です。受容体は2種類「AT1受容体」と「AT2受容体」があることが知られており、ほとんどは「AT1受容体」と結合し血管を収縮することで血圧の上昇が起こります。「アンジオテンシンII受容体拮抗薬」は「AT1」との結合を直接阻害し、高血圧の原因を取り除きます。

アンジオテンシン2受容体拮抗薬の降圧作用

第三のアプローチは「アンジオテンシンII(2)」を生成する ACE の働きを妨害することです。「アンジオテンシン変換酵素阻害薬」がこの効果による降圧剤です。酵素の英名から「ACE 阻害薬」とも呼ばれます。

アンジオテンシン変換酵素阻害薬の降圧作用


降圧剤と副作用

高血圧の方では、動脈硬化が進んでいる可能性が高く、それだけでも ED のハイリスク群ですが、さらに高血圧の治療で降圧剤を服用されている方は、動脈硬化と降圧剤の副作用のダブルパンチで ED 症状が出ている可能性があります。器質性と薬剤性の複合型 ED です。

中折れや勃起に十分の硬さが出ないなどの ED 症状がある場合は、降圧剤とバイアグラなどの ED 治療薬の併用は可能で、多くの方が満足いく勃起を取り戻していますので、試してみると良いでしょう。


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