泌尿器の病気とED(勃起不全)

浜松町第一クリニック 竹越昭彦院長 監修

泌尿器の病気のうち、特にEDと関係が深いのが、「前立腺の病気」と「包茎」です。

前立腺の病気は「前立腺肥大」など、男性では加齢によって誰もが経験する症状です。この前立腺の病気がEDを引き起こす原因のひとつとなっていることが分かってきており、男性にとってはいいニュースではありませんね。

またこの前立腺の外科的手術を受ける際にも、十分に注意が必要です。骨盤内の手術によって勃起に関わる神経が傷ついてしまうと、術後、まったく勃起出来なくなってしまうということもあるのです。

泌尿器の病気でもうひとつEDと深く関わっているのが、「包茎」です。包茎の場合では、物理的にEDを引き起こす場合がある他、包茎である自分の性器を、女性に見られたくないというコンプレックスが原因となってきます。それぞれの疾患とEDの関係を1つずつみていきましょう。

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男性の泌尿器に関する病気の中でも、特に多いのが前立腺肥大症です。通常は栗の実ほどの大きさである前立腺が加齢とともに肥大化する症状で、40歳ごろから始まり、軽度の前立腺肥大を含めると、日本人男性の60歳では6割、80歳以上では8割以上の人に見られる加齢による症状です。

前立腺は泌尿器としての機能もあるほか、「前立腺液」という精液を構成する成分の1つを分泌する生殖器としての機能も持っています。
そのため本来なら前立腺は、生殖に適した年齢を過ぎたあたりから萎縮するのが通常だったのですが、戦後から栄養状態が良くなったためか、逆に肥大化する男性が増えています。

前立腺は、中に尿道が通っているため、肥大化すると、中を通る尿道が圧迫されるため、さまざまな排尿障害が出るようになります。頻尿や残尿感、排尿痛のほか、尿の出が悪くなる「尿線細小」や、尿が飛び散ってしまう「尿線分裂」、常に尿意に悩まされるようになる「尿意頻拍」などです。
また重症化すると、尿が出なくなってしまう「尿閉」につながることもあります。こういった症状を総合して「下部尿路症状(LUTS)」といいます。

前立腺肥大とEDは両者とも、加齢によって患者数が増えていく症状でお互いの関係はないとされてきました。しかし最近では、前立腺肥大はEDの原因の1つであると考えられるようになってきており、これは、前立腺肥大症の治療を受けると、EDがはっきりと改善するケースも多いことからです。そのメカニズムは、前立腺肥大症などの疾患によって骨盤内の血流が少なくなるためではないかと考えられていますが、まだはっきりと分かっていません。しかし前立腺肥大がEDのひとつの要因となっていることは、間違いなさそうです。

前立腺肥大によって起こるEDにも、バイアグラなどのED治療薬は、性器海綿体への血流を改善しますので、非常に高い効果を発揮します。

一方、同じ前立腺の病気でも前立腺がんの場合、発生するのが尿道から離れた周辺部位のため、症状が出にくい特徴があります。そのため排尿障害やEDなどの自覚症状は現れにくく、直接的な因果関係はあまり問題となっていません。

ただし前立腺がんの手術において、勃起に関わる神経を損傷してしまうケースは多数報告されています。もともと骨盤内にはさまざまな臓器や血管、神経が複雑に入り組んでおり、勃起に関わる神経も前立腺のすぐ近くを通っています。ですから治療のために前立腺を手術する際、神経が傷ついたり切断されたりするなどして、EDの後遺症が残る場合があるのです。
これは前立腺がんに限らず、直腸がんや膀胱がんの手術にも同じことがいえます。また放射線治療によっても影響が出る場合もあります。

術後にEDの後遺症が残るかもしれないことを説明しない医師もいるため、事前に確認することが大切です。

もっとも最近ではQOLを考え、神経を温存する手術をおこなうことが一般的です。ただし摘出する範囲によっては神経を取ることを避けられない場合や、たとえ細心の注意を払っても傷つけてしまうこともあり、実際は術後になってみないと結果が分からないのが現状だともいわれています。

また神経を温存する手術をおこなっても、術後しばらくは勃起機能が回復しないケースも少なくありません。しかし、2年くらいをかけてゆっくりと勃起機能が改善してくる可能性もあります。
この場合では、バイアグラなどのPDE5が血流を促進することで、陰茎海綿体の繊維化を防ぐと考えられ、術後の勃起不全に悩んでいる人では、勃起機能のリハビリテーションとして取り入れてみるとよいでしょう。

バイアグラなどのPDE5阻害薬によるリハビリテーションでも、勃起機能が改善しない場合には、日本国内では未承認の治療法となりますが「陰茎海綿体注射(ICI)」を選択することとなります。

その他、前立腺肥大症以外の原因による「下部尿路症状」も、EDと関連する可能性があります。全般的に何らかの排尿障害がある場合は、EDを合併するケースが多く見られます。

その原因として、生活習慣病が関わっている可能性が指摘されています。実際、高血圧や糖尿病、脂質異常症にかかっている人ほど、下部尿路症状が生じやすいとする報告が集まっているのです。

高血圧の方では、頻尿を訴える人が多いですし、糖尿病が「多飲多尿」を引き起こすことはよく知られています。

糖尿病では、血液中の濃すぎる糖分を排出しようと、体が水分を欲し、尿として排出しようとするからです。
また糖尿病が進行して神経に障害を来すようになると、今度は膀胱の活動が抑制されるため、排尿トラブルが現れやすくなります。1度の排尿でスッキリと出し切ることができなくなり、残尿感を覚えるため、自然と頻尿にもなります。

このように生活習慣病と下部尿路症状には密接な関わりがありますが、もともと生活習慣病はEDの重要なリスクファクターです。いずれの病気も血管にダメージを与え、血流を悪くしますし、糖尿病では神経性のEDにつながる危険性もあります。
ですから排尿障害とEDを合併している男性は、生活習慣病の影響も考えてみるべきでしょう。

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