勃起の仕組み
勃起の仕組み

テーマ勃起の仕組み

勃起とは?

勃起は一見すると、単純で動物的な現象のように思えますが、そのメカニズムは意外に複雑です。勃起が起こるためには、神経や血管が正常に働き、また勃起に関わるさまざまな物質が放出されなくてはいけません。
男性の陰茎には、左右一対の陰茎海綿体と、その下に1本の尿道海綿体が通っています。このうち勃起に関係するのは、陰茎海綿体のほうです。
海綿体は細い糸のような血管が無数に集まったスポンジ状で、周りを分厚い「白膜」が覆っています。非勃起時には、陰茎海綿体につながる血管や平滑筋は収縮した状態で、血液が中に押し寄せることはできません。おもに毛細血管を通して、海綿体組織に栄養や酸素を運ぶだけにとどまっています。

しかし男性が性的刺激を受けると、まず脳の中枢神経が興奮し、その情報が脊髄神経を通って陰茎へと伝わります。すると体内では一酸化窒素が放出され、これが勃起のGOサインとなります。

一酸化窒素が放出されると、勃起にもっとも関わる「陰茎深動脈」という血管と、バルブのような役割を果たしている「螺行(らこう)動脈」がゆるみ始めます。
さらに海綿体の平滑筋も弛緩することによって、多量の血液を受け入れる準備が整います。そして一気に海綿体へと血が流れ込み、無数の糸のような血管に血液が流れ込み、血液の圧力によって、海綿体は硬くなります。これが勃起という現象です。
一旦、勃起すると、海綿体を覆う白膜がパンパンに膨れた状態となり、静脈が圧迫されます。これによって陰茎の内圧が上がり、一度流れ込んだ血液が簡単に出て行くことなく、勃起が維持されます。


勃起を引き起こす体内物質

血液が海綿体に流れ込むことで勃起は起こりますが、この時に非常に重要な役割を果たす物質が「サイクリックGMP(グアノシン一リン酸)」です。いわば体内で産生される自然の血管拡張剤であり、これが細胞内で増えることによって陰茎の平滑筋がゆるみます。

性的刺激を受けて一酸化窒素が放出されると、サイクリックGMPが増加します。しかし陰茎海綿体には、これを分解してしまう「PDE(ホスホジエステラーゼ)5」という酵素も豊富に存在しており、両者のせめぎ合いが起こるのです。

射精後や、性的興奮がしずまった後で勃起が終わるのは、PDE5のおかげでもあります。PDE5がサイクリックGMPを分解することで、血管や平滑筋が閉じ、勃起が収束します。

しかし性交時にPDE5が増えすぎてしまうと、サイクリックGMPが分解されてしまい、勃起が妨げられてEDにつながります。バイアグラなどのED治療薬は、まさにこのPDE5の働きを抑えることでサイクリックGMPを増やし、勃起しやすい状態に導く薬です。


夜間勃起とは?

性的刺激とは関係のない勃起もあります。健康な男性では、就寝中にも生理的な勃起(夜間勃起)が見られます。

就寝中の勃起が起こるのは、夢をよく見る比較的浅い眠りの「レム睡眠」時です。この間に特定の神経が刺激されることで勃起します。
いわゆる「朝立ち」現象は、レム睡眠からそのまま目が覚めた時に、勃起が続いている状態で、性的刺激がなくても起こる現象ですが、なぜ起こるのかは明確ではありません。


勃起の終わり方

勃起は射精後、もしくは性的興奮がしずまった後で終わります。この時に活躍するのが、前述したPDE5という酵素です。
性的興奮がおさまり、生成される割合より、PDE5によって分解されるサイクリックGMPが多くなると、サイクリックGMPによって広がっていた血管は再び収縮し、充満していた陰茎海綿体の血液は体内に戻っていきます。すると陰茎も柔らかくなり、元通りの状態になります。


勃起機能に異常を感じる男性は、医療機関の受診を

つまり勃起が正常に起こるためには、性的刺激を脳から陰茎へと届ける神経、一酸化窒素の放出、そしてサイクリックGMPの増加と、動脈の弛緩、静脈の圧迫など、さまざまな働きがシステマティックにおこなわれる必要があります。
いずれかに問題が生じるだけで、EDになるリスクがあるということです。

特に血管のトラブルは多く、その原因は主に加齢による動脈硬化ですが、中には糖尿病をはじめとする生活習慣病が関わっているケースもあります。性的興奮しても勃起が起こらない、もしくは勃起しても持続しない(中折れ)などの症状がある男性は、ぜひ一度医療機関にかかるようにしましょう。
現在では、EDを根本から完治させる治療法は存在しませんが、内服のED治療薬で多くの場合、驚くほどの効果が得られます。

「中折れ」とは
「中折れ」についての詳細はこちらをご覧ください