2型糖尿病とED

浜松町第一クリニック 竹越昭彦院長 監修

2型糖尿病とは、インスリンの分泌不足や作用不足から引き起こされる、糖尿病の形態です。1型糖尿病と異なり、膵β細胞の破壊によるインスリンの絶対的不足ではなく、さまざまな要因によってインスリンの分泌が低下したり、インスリン自体の働きが低下(インスリン抵抗性)するのが特徴です。
1型と同様、2型糖尿病はEDの大きな要因の1つとされており、しっかりと管理・治療していくことが重要です。特に肥満や加齢などによる発症が多いことから、生活習慣病の1つとされ、中年期以降に多く見られる糖尿病です。


2型糖尿病では、複数の遺伝因子に加え、環境因子(食生活・運動不足・ストレスなど)や加齢などが合わさってインスリン分泌量が低下して、作用不足が起こります。また肝臓や骨格筋、脂肪細胞などの各臓器(7割近くは体を動かす骨格筋に取り込まれる)においてインスリン自体の感受性の低下(インスリン抵抗性)によって、血液から細胞内への取り込みが減少し血糖値が高くなることによります。

最近の研究では、正常な方の内臓脂肪からは、善玉物質が、内臓脂肪の蓄積した肥満の方の内臓脂肪からは、悪玉物質を分泌し、この悪玉物質がインスリン抵抗性を増加させ、内臓脂肪が多い方では血糖がエネルギーとして利用されない悪循環になることが発表されています。

2型糖尿病は無症状のまま進行することが多く、大多数は、インスリン非依存状態にとどまっています。しかし進行の程度によっては依存状態になっているケースもあるため、注意が必要です。
多くの場合の初期症状として、まずインスリン抵抗性が見られ、それを補うために膵β細胞がインスリンを過剰分泌します。その後、ある程度まで血糖が上昇すると、膵β細胞の機能が低下し、分泌量が減少して高血糖が進行します。第一に、食後の血糖値が異常に高い状態が続くようになるのが一般的です。

やがて空腹時の血糖値も正常値を超えるようになりますが、この時点でも「のどが渇く・多飲・多尿」などの高血糖症状が出現しないことも多く、たまたま健診などで発見されるパターンもあります。診断時には、すでにインスリンの分泌量が50%にまで低下している場合も見られます。
中には高血糖が、膵β細胞や各臓器に影響をおよぼし、インスリンの分泌や作用をいっそう低下させることもあります(糖毒性)。こういった場合には2型糖尿病でも、高血糖症状が出現して、受診のきっかけとなるケースも見られます。

最近では、ジュース類のとりすぎによる「清涼飲料水ケトーシス」が問題となっており、清涼飲料水による高血糖がきっかけで口の渇きが起こり、それを潤すためにさらに量を飲むという悪循環が起こります。ペットボトル症候群とも呼ばれております。特に健康によいイメージのスポーツドリンクには注意が必要で、糖質や塩分が多く含まれていますので、運動後に多量に飲むことには注意が必要です。

2型糖尿病では、食事療法が不可欠です。適切な摂取エネルギー、そして食品交換表をもとにした栄養バランスを重視した食事が大切になります。
1型と異なり内因性のインスリン分泌はある程度保たれているため、多少の過不足があっても体が対応しようとするのが2型の特徴です。血糖値が急激に上がらないよう食事管理を行うことが非常に重要です。

特に、食事中の糖質については細心の注意を払います。サラダなどの食物繊維を主食の前に食べることで、血糖上昇を抑えるほか、脂質を控えることも重要とされています。脂質を糖質とともに摂取すると、インスリンの必要量が多くなることが分かっているためです。
また体重増加は1型・2型を問わずインスリンの需要を増加させることから体重管理は必須といえます。

1型糖尿病と異なり、運動不足などの環境因子も大きい2型では、運動療法は食事・薬物と並んで大切な治療法の1つです。継続的な運動習慣をつけることで、血糖の低下が期待されます。運動の成果は、毎回運動する度に見られる急性効果と、長期的な改善につながる慢性効果の2つに分かれます。

急性効果としては、筋肉でのエネルギー消費量の増大によって骨格筋へブドウ糖の取り込みが促進されることが挙げられます。運動が終わると数時間で収まりますが、インスリンへの感受性が高まるため、インスリン作用が長時間にわたり発揮されるのがメリットです。
慢性効果としては、運動によって細胞内のミトコンドリアの新生も促すほか、糖の取り込み、利用、エネルギー産生などが効率的におこなわれる、良サイクルの骨格筋が形成されます。

ただしインスリン治療をおこなっている人は、運動効果と合わさって急激な低血糖を起こしやすくなるリスクもあります。運動前後の血糖測定や、場合によっては運動中にジュースやブドウ糖などの補食が必要となりますので、医師の指示のもとおこなうことが大切です。

2型糖尿病では、まずは食事と運動によって適正体重を維持し、インスリンが効率よく作用できる体を作ることが基本となります。その上で、経口による血糖降下薬を活用し管理していきます。

飲み薬の血糖降下薬には以下の5種類に分類されます。

インスリン分泌促進薬 「SU 剤」

現在では、SU剤は第1世代~第3世代まであり、膵β細胞に作用してインスリンの分泌を促す作用を持つ他、インスリン抵抗性を改善する効果があるものなどがある。

即効性インスリン分泌促進薬 「フェニルアラニン誘導体」

インスリン分泌促進薬と同様に、インスリンの分泌を促進する作用を持つが、SU 剤と比較して速く効果が出て、早く効果がなくなるというのが特徴。食前に服用する必要があります。

α-グルコシダーゼ阻害薬

食事中の炭水化物や多糖類は、消化酵素によって2糖類や単糖類に分解される必要があります。この消化酵素の1つである「α-グルコシダーゼ」の働きを抑えることで、糖質の吸収を穏やかにし、急激な血糖値の上昇を抑えて体への負担を減らします。

インスリン抵抗性改善薬 「BG剤」 「チアゾリジン系剤」

インスリンの各細胞での働きを高め、細胞でのインスリン抵抗性を改善することで、骨格筋や各臓器への糖質の取り込みを正常に戻し、血糖値を低下させる働きを持ちます。

DPP-4阻害薬

グルコースの量によってインスリンの分泌を促す「インクレチン」の分解酵素であるジペプチジルペプターゼⅣの働きを抑えます。これによってインクレチンの量を増加させインスリンの分泌を促進します。グルコース依存性のため、他の薬と比較して低血糖になるリスクが少ないことが特徴です。

医師の指示のもと、食事、運動、薬物療法を十分に行い、血糖値の管理をしていくことが重要です。

2型糖尿病とEDは密接に関係しており、どちらも生活習慣病に分類されます。当院に来院されている患者様でも、2型糖尿病の方が非常に多く見受けられます。糖尿病は、ED発症の大きな原因の一つと言えます。
糖尿病治療薬と内服のED治療薬の飲み合わせに問題はなく、また治療効果も非常に高いものとなっておりますのでEDの症状が出ている場合には当院へご相談ください。
また糖尿病をしっかりと管理することは、EDの進行を抑える意味でも非常に重要です。血糖値が高い状態は、性的刺激を伝える神経や性器海綿体へ血液を送る血管を傷つけ、EDの原因となる重要なファクターの一つです。しっかりと血糖値の管理をしていきましょう。

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