泌尿器の病気とED(勃起不全)

浜松町第一クリニック 竹越昭彦院長 監修

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男性に起こる泌尿器の病気には、「前立腺肥大」や「前立腺ガン」などの前立腺の疾患が挙げられます。

特に「前立腺肥大」は、男性では加齢によって誰もが経験する症状で、この前立腺の病気がEDを引き起こす原因のひとつとなっていることが分かってきており、男性にとってはいいニュースではありませんね。

また、前立腺肥大や前立腺ガンの外科的手術を受ける際にも十分に注意が必要です。骨盤内の手術によって勃起に関わる神経が傷ついてしまうと、術後、まったく勃起出来なくなってしまうということもあるのです。

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男性の泌尿器に関する病気の中でも、特に多いのが前立腺肥大症です。前立腺肥大は、通常は栗の実ほどの大きさである前立腺が加齢とともに肥大化する症状で、日本人男性の50歳で約30%、60歳で約60%、70歳で約80%、80歳では約90%に見られるとされ、その患者数は約108万人と厚生労働省「患者調査2020年」が行った調査で推計されています。

前立腺は泌尿器としての機能もあるほか、「前立腺液」という精液を構成する成分の1つを分泌する生殖器としての機能も持っています。そのため本来なら前立腺は、生殖に適した年齢を過ぎたあたりから萎縮するのが通常だったのですが、戦後から栄養状態が良くなったためか、逆に肥大化する男性が増えています。

前立腺の中には尿道が通っており、肥大化すると、尿道が圧迫されるため、さまざまな排尿障害が出るようになります。頻尿や残尿感、排尿痛のほか、尿の出が悪くなる「尿線細小」や、尿が飛び散ってしまう「尿線分裂」、常に尿意に悩まされるようになる「尿意頻拍」などです。また重症化すると、尿が出なくなってしまう「尿閉」につながることもあります。こういった症状を総合して「下部尿路症状(LUTS)」といいます。

前立腺肥大と勃起不全(ED)は両者とも、加齢によって患者数が増えていく症状でお互いの関係はないとされてきました。しかし最近では、前立腺肥大はEDの原因の1つであると考えられるようになってきており、これは、前立腺肥大症の治療を受けると、EDがはっきりと改善するケースも多いことからです。そのメカニズムは、前立腺肥大症などの疾患によって骨盤内の血流が少なくなるためではないかと考えられていますが、明確には分かっていません。しかしながら、前立腺肥大がEDの要因と1つとなっていることは、間違いなさそうです。

前立腺肥大によって起こるEDにも、バイアグラなどのED治療薬は、性器海綿体への血流を改善しますので、非常に高い効果を発揮します。

一方、同じ前立腺の病気でも前立腺がんの場合、尿道や勃起に関係する血管や神経から離れた周辺部位にガンが発生することも多く、排尿障害やEDなどの自覚症状がでない場合もあります。しかし、前立腺ガンが大きくなり、尿道を圧迫すると排尿障害の症状が出たり、性器周辺の血流が低下したり、神経を圧迫すると勃起不全(ED)の症状が出る場合もあります。

また、前立腺がんの手術において、勃起に関わる神経を損傷してしまうケースは多数報告されています。もともと骨盤内にはさまざまな臓器や血管、神経が複雑に入り組んでおり、勃起に関わる神経も前立腺のすぐ近くを通っています。ですから治療のために前立腺を手術する際、神経が傷ついたり切断されたりするなどして、EDの後遺症が残る場合があるのです。これは前立腺がんに限らず、直腸がんや膀胱がんの手術でも、勃起に関わる神経が傷つくと勃起不全(ED)となります。また放射線治療によっても影響が出る場合もあります。

術後にEDの後遺症が残るかもしれないことを説明しない医師もいるため、事前に確認することが大切です。

もっとも最近ではQOLを考え、神経を温存する手術をおこなうことが一般的です。ただし摘出する範囲によっては神経を取ることを避けられない場合や、たとえ細心の注意を払っても傷つけてしまうこともあり、実際は術後になってみないと結果が分からないのが現状だともいわれています。

また神経を温存する手術をおこなっても、術後しばらくは勃起機能が回復しないことがありますが、2年くらいかけてゆっくりと勃起機能が改善していくことも多く、諦めないことが肝心です。この場合では、バイアグラなどのPDE5が血流を促進することで、陰茎海綿体の繊維化を防ぐと考えられ、術後の勃起不全に悩んでいる人では、勃起機能のリハビリテーションとして取り入れてみるとよいでしょう。

バイアグラなどのPDE5阻害薬によるリハビリテーションでも、勃起機能が改善しない場合には、日本国内では未承認の治療法となりますが「陰茎海綿体注射(ICI)」を選択することとなります。

その他、前立腺肥大症以外の原因による「下部尿路症状」も、EDと関連する可能性があります。全般的に何らかの排尿障害がある場合は、EDを合併するケースが多く見られます。

その原因として、生活習慣病が関わっている可能性が指摘されています。実際、高血圧や糖尿病、脂質異常症にかかっている人ほど、下部尿路症状が生じやすいとする報告が集まっているのです。

高血圧の方では、頻尿を訴える人が多いですし、糖尿病が「多飲多尿」を引き起こすことはよく知られています。

糖尿病では、血液中の濃すぎる糖分を排出しようと、体が水分を欲し、尿として排出しようとするからです。
また糖尿病が進行して神経に障害を来すようになると、今度は膀胱の活動が抑制されるため、排尿トラブルが現れやすくなります。1度の排尿でスッキリと出し切ることができなくなり、残尿感を覚えるため、自然と頻尿にもなります。

このように生活習慣病と下部尿路症状には密接な関わりがありますが、もともと生活習慣病はEDの重要なリスクファクターです。いずれの病気も血管にダメージを与え、血流を悪くしますし、糖尿病では神経性のEDにつながる危険性もあります。
ですから排尿障害とEDを合併している男性は、生活習慣病の影響も考えてみるべきでしょう。

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