ジヒドロテストステロン(DHT)とは?|AGA、ED、性欲低下との関係

浜松町第一クリニック 竹越昭彦院長 監修

更新日:

DHT(ジヒドロテストステロン:dihydrotestosterone)は、男性ホルモン(アンドロゲン)の一種で、テストステロンから体内で変換されて生じる「作用の強い男性ホルモン」です。

ジヒドロテストステロンは、AGA(男性型脱毛症)やBPH(前立腺肥大症)の原因物質として知られ、「DHT=悪者」と思われがちですが、実際には体毛・皮脂・前立腺の発達など、男性の身体づくりに関わる重要なホルモンでもあります。

この章では、DHTが「何から作られて」「どこで作用し」「なぜ強いのか」を、まず整理していきます。

DHTとは(テストステロンとの違い)

テストステロンもDHTも、どちらも「男性ホルモン」ですが、同じものではありません。テストステロンは血液中にも比較的多く存在し、全身のさまざまな組織で働きます。一方でDHTは、テストステロンが体内の酵素によって変換されて生じ、毛根・皮膚・前立腺などの“局所”で作られてその場で作用しやすいのが特徴です。

テストステロンとDHTの違い(概要)
項目 テストステロン DHT(ジヒドロテストステロン)
位置づけ 代表的な男性ホルモン テストステロンから作られる活性型
作られる場所 主に精巣で産生 毛根・皮膚・前立腺など局所で作られる
働き方 全身に作用 作られたその場で作用しやすい
特徴 多面的(筋肉・性機能・気分など) 作用が強く、影響が目立ちやすい

テストステロンは体の中で、DHT(ジヒドロテストステロン)に変わる経路のほか、エストロゲン(女性ホルモン)に変わる経路もあります。一方DHTは、作られたあと基本的にテストステロンに戻ることはなく、またエストロゲンにも変わりません。つまりDHTは、局所で強く作用したあと、代謝(分解)されていくと考えるとイメージしやすいです。

DHTはどこで作られる?(5αリダクターゼと変換)

DHTは、テストステロンが5αリダクターゼ(5α還元酵素)という酵素によって変換されて作られます。この変換は全身で同じように起きるわけではなく、酵素が多い場所(毛根・皮膚・前立腺など)で起こりやすいのがポイントです。

5αリダクターゼには複数のタイプがあり、分布する部位が異なるため、「体のどこでDHTが作られやすいか」も人によって差が出ます。そのため、同じ男性でもAGAが進みやすい人/前立腺の影響が出やすい人など、現れやすい症状には個人差が生じます。

また重要なのが、血液中のDHT(血中DHT)と、毛根・前立腺など局所でのDHTは“同じ意味ではない”という点です。「血中の数値が高い=必ずAGAが進む」とはいえず、局所での変換のされやすさや受容体の感受性が大きく関与します。

5α還元酵素 1型/2型の違い

5αリダクターゼ(5α還元酵素)には「1型」と「2型」があり、どちらもテストステロンからDHTを作りますが、1型は皮脂腺(皮脂を作るところ)に多く存在し、2型は毛根(髪の毛を作るところ)前立腺に多く存在します。

そのため、AGA(男性型脱毛症)とBPH(前立腺肥大症)においては、2型を抑えることがより重要と考えられています。

5α還元酵素 1型/2型の違い
種類 多い部位 ポイント 関連する代表薬
1型 皮脂腺・汗腺など 毛包上部でDHT産生に関わりやすい デュタステリド(1型・2型)
2型 毛根前立腺
精巣上体・精管・精嚢など
毛包深部や前立腺
DHT産生に関わりやすい
フィナステリド(主に2型)
デュタステリド(1型・2型)

この「型の違い」は治療薬の違いにもつながり、フィナステリドは主に2型を抑え、デュタステリドは1型・2型の両方を抑えます。どちらの薬も2型を抑える働きがありますが、プラスして1型も抑えるかどうかの違いとなります。

BPH(前立腺肥大症)の治療では?

BPH(前立腺肥大症)の治療でも、DHTを減らして前立腺の体積を小さくする目的で5α還元酵素阻害薬が用いられます。日本国内では主にデュタステリドが使われていますが、これは「1型も抑えないとBPHに効かない」という意味ではありません。

実際、海外ではフィナステリド5mg製剤(プロスカー)がBPH治療薬として承認されており、2型のみを抑える治療でもBPHに有効であることが示されています。つまりBPHにおいても、前立腺でのDHT産生に関与しやすい2型を抑えることが重要であると言えます。

なお、日本でフィナステリドがBPH治療として一般的に用いられていないのは、効果の問題というより国内でBPH適応が承認されていないという制度上の違いによるものです。

参照 男性における男性型脱毛症用薬5α-還元酵素II型阻害薬フィナステリド(プロペシア®錠0.2 mg・1 mg)の薬理学的特性と臨床効果

DHTの作用が強い理由(受容体結合・作用の特徴)

DHTが「強い」と言われる最大の理由は、細胞内のアンドロゲン受容体(AR)に結合したときの作用の出方にあります。テストステロンもARに結合しますが、DHTはARに結合しやすく、また結合した後も離れにくいためにシグナルが強く出やすく、同じ“男性ホルモン”でも、組織によってはDHTのほうが影響が大きくなりやすいと考えられています。

この性質により、毛根や前立腺など「DHTの影響を受けやすい組織」では、少しの変化が症状として目立ちやすくなります。

逆に言えば、DHTの影響が強く出る、「男性型脱毛症」や「前立腺肥大症」ではDHTをコントロールする治療が重要な選択肢になっています。

AGA(男性型脱毛症)は、男性ホルモンの影響で起こる代表的な脱毛症です。その中でも、DHT(ジヒドロテストステロン)の影響が大きく、AGAはよく「DHTが原因」と説明されます。

ただし正確には、DHTがあるだけで誰でもAGAになるわけではありません。AGAの進み方には個人差が大きく、DHTの影響を受けやすい体質(感受性)が関係します。ここでは「なぜDHTで薄毛が進むのか」「なぜ生え際・頭頂部なのか」「血中DHTの誤解」を整理します。

なぜDHTで薄毛が進むのか(毛包ミニチュア化)

AGA(男性型脱毛症)は、毛根が突然なくなったり、死滅する病気ではありません。特徴は、毛包(毛根)が徐々に弱り、太い髪が作れなくなる「ミニチュア化」が進むことです。

DHTは毛包のアンドロゲン受容体に作用し、影響を受けやすい毛包では成長期(髪が伸びる期間)が短くなるなど毛周期が変化します。すると、髪が太く長く育つ前に成長が止まり、細く短い毛が増えていきます(軟毛化)。

この「成長期が短い状態」が繰り返されると、毛包の下部にある毛球(髪の毛ができる部分)などがだんだん小さくなり、さらに太い髪が作りにくくなります。これが毛包のミニチュア化です。

AGA治療でDHTを抑える薬(5α還元酵素阻害薬)が使われるのは、こうした軟毛化・ミニチュア化へ向かう流れを弱め、進行を抑えることが目的です。

生え際・頭頂部で起きやすい理由

AGAは、なぜ薄毛が起きやすい場所と起きにくい場所に分かれるのでしょうか。前頭部(生え際)や頭頂部から薄くなりやすい一方で、後頭部や側頭部は比較的影響を受けにくい傾向があります。

この差は単に「DHTが全身にあるから」では説明できません。ポイントは、毛包でDHTが作られやすいかどうかと、DHTに反応しやすいか(受容体の感受性)の2点です。前頭部(生え際)や頭頂部の毛包は、局所でDHTが作られやすかったり、アンドロゲン受容体が多い/反応しやすい傾向があるため、影響が出やすいと考えられています。

一方、後頭部や側頭部は相対的に影響を受けにくく、髪が残りやすい部位として知られています。

AGAが起きやすい部位/起きにくい部位(イメージ)
部位特徴起こりやすい変化
生え際・頭頂部DHTの影響を受けやすい毛包が存在しやすい毛が細くなる/短くなる → 薄毛が目立つ
後頭部・側頭部DHTの影響を受けにくい毛包が多い傾向比較的残りやすい

なぜ血液検査では判断できないか?(誤解ポイント)

DHTについてよくある誤解が、「血中DHTが高い=AGAが進む」という考え方です。

DHTは、頭皮や毛根などの局所でテストステロンから変換されて作用します。そのため、AGAの進行には「血中にどれだけDHTがあるか」よりも、「頭皮でどのようにDHTが作られ、作用しているか」が重要になります。

参照 Male Androgenetic Alopecia

参照 Androgenetic Alopecia|NIH

そのため、「血液検査でDHTを測って将来の薄毛を判定する」といった方法は一般的ではなく、AGAは見た目の変化(生え際・頭頂の薄毛、毛の細さ)や診察所見をもとに評価し、必要に応じて治療を検討する必要があります。

また、DHTの量だけでなく、受容体の感受性もAGAの進行には重要ですが、この感受性を直接調べる検査方法は現在のところ確立されていません。そのため、検査だけで「AGA体質かどうか」を明確に判断することは難しいのが現状です。

もしご自身で変化が気になり始めた場合は、早めに状況を整理し、進行を抑える対策を検討することをおすすめします。

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前立腺は男性の生殖に関わる臓器で、加齢とともに大きくなりやすい特徴があります。その成長に強く関与するのがDHT(ジヒドロテストステロン)です。

前立腺は男性ホルモン(アンドロゲン)の影響を受ける組織で、特に前立腺内でテストステロンがDHTへ変換され、局所で強く作用します。そのため、DHTは前立腺の発達や維持に重要である一方、体質や加齢変化が重なると前立腺肥大に関与すると考えられています。

なお、前立腺の病気には前立腺肥大のほか、前立腺炎や前立腺がんなどもあります。排尿の症状が続く場合は「年のせい」で片付けず、泌尿器科で評価を受けることが大切です。

DHTと前立腺の成長の関係

前立腺では5αリダクターゼ(5α還元酵素)が働き、テストステロンがDHTへ変換されやすい環境があります。DHTは前立腺の細胞にある受容体(アンドロゲン受容体)に結合して作用し、前立腺組織の増殖や維持に関わります。

この「局所でDHTが作られて強く作用する」性質があるため、加齢や体質の影響で前立腺が大きくなり、尿道を圧迫すると、排尿に関する症状(尿の勢いが弱い、頻尿、夜間頻尿、残尿感など)が出ることがあります。これが一般に言われる前立腺肥大症です。

一方で、排尿症状の原因は前立腺肥大だけとは限りません。血尿、強い痛み、発熱、尿が全く出ないなどの症状がある場合は、早めの受診が必要です。

治療薬(5α還元酵素阻害薬)が使われる理由

前立腺肥大症の治療で5α還元酵素阻害薬が使われるのは、テストステロンからDHTへの変換を抑え、前立腺内のDHT作用を弱めることで、前立腺の体積を小さくする方向に働くことが期待できるためです。

ただし、作用は比較的ゆっくりで、効果判定までに数か月単位を要することがあります。また、症状や前立腺サイズによっては、α1遮断薬など別系統の薬と併用されることもあります。治療は医師の管理下で行い、自己判断での中断や変更は避けましょう。

前立腺肥大症については、血中DHT高値と前立腺体積増加や発症リスクとの関連を示す報告がある一方で、明確な関連を認めない研究もあります。そのため、血中DHTの数値だけで前立腺肥大の有無や重症度を判断することはできません。

前立腺が実際に肥大しているかどうかは、超音波検査(エコー)などの画像検査や診察所見をもとに評価することが重要です。

「DHTを下げるとEDになるのでは?」という不安はよく聞かれます。特にAGA治療薬(フィナステリドデュタステリド)はDHTを下げる作用があるため、「ホルモンに作用する=性機能に悪いのでは」と連想されやすいからです。

そこで当院では、AGA発症経験のある2,538名を対象にインターネット調査を行い、フィナステリド服用経験者741名、デュタステリド服用経験者505名から回答を得ました(集計:2024年6月14日~20日)。

当院調査では、フィナステリド服用経験者の50.8%、デュタステリド服用経験者の55.9%がEDを自覚したと回答しました(「ED+性欲低下の両方」を選択した人を含む)。

本調査は自己申告(自覚)の集計であり、薬の服用との因果関係を確定するものではありませんが、AGA薬の服用中にED症状を自覚した方が半数前後みられました。症状が気になる場合は、自己判断でAGA薬の中断をせず、服用開始時期と症状の変化を整理して医師にご相談ください。当院では症状に応じてバイアグラなどのED治療薬も処方しています。

DHTが「直接EDを起こす」は本当?

DHTは男性ホルモン(アンドロゲン)の一種で、男性の身体づくりに関わる重要なホルモンです。ただしEDは、「DHTが高い=必ず勃起が良い」「DHTが低い=必ずED」のように単純には決まりません。

勃起は、性的刺激をきっかけに血管が拡張し、海綿体に血液が十分に流入して維持される現象です。中心になるのは血流(血管機能)神経で、ホルモン以外の要因も大きく影響します。

一方で、フィナステリド/デュタステリドの服用開始後に短期間でEDが目立つようになった場合は、薬の影響が関係している可能性もあります。当院でも、医師の判断で休薬して経過をみたところ、ED症状が落ち着いたケースを経験しています。

EDは血管・神経・心理・生活習慣の影響が大きい

EDの原因は大きく分けて、器質性(血管・神経など体の問題)と心因性(心理要因)があります。実際には両方が混ざることも多く、特に中高年では血管要因(動脈硬化)の影響が大きくなります。

代表的な関連要因としては、高血圧・糖尿病・脂質異常症・肥満などの生活習慣病、喫煙、運動不足、睡眠不足、過度の飲酒、強いストレス、うつ傾向などが挙げられます。また、前立腺や骨盤内の手術後、腰部疾患などで神経や血流に影響が出る場合もあります。

さらに「最近うまくいかなかった」という経験が不安を強め、次の場面で緊張して悪循環になるなど、心理要因が重なって症状が固定化することも少なくありません。

EDはひとつの原因だけで起こるものではなく、血流・神経・心理・生活習慣など複数の要因が関わります。

そのため、フィナステリド/デュタステリドのようにホルモンへ作用する薬を服用している場合でも、症状をすべて薬だけで説明できるとは限りません。必要以上に怖がりすぎず、気になる変化があれば医師に相談することが大切です。

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テストステロン低下/LOHとの違い

「男性ホルモンの低下=ED」と一括りにされがちですが、ここで混同されやすいのがテストステロン低下(LOH症候群:男性更年期)です。DHTはテストステロンから作られる活性型ホルモンであり、役割も重なる部分がありますが、EDの評価ではまず「血管要因がないか」「生活習慣病リスクが高くないか」を確認することが現実的です。

一方で、性欲低下が強い、朝立ちが明らかに減った、気分の落ち込みや意欲低下、筋力低下などが同時にある場合は、テストステロン低下(LOH)の可能性も視野に入ります。EDとLOHは重なることもあるため、症状の組み合わせで判断し、必要に応じて専門の医療機関でホルモン評価を行います。

フィナステリド/デュタステリドによって低下するのは「ジヒドロテストステロン」であって、「テストステロン」を低下させる薬ではないことは十分理解しておきましょう。

性欲低下(リビドー)は、ED(勃起不全)と混同されやすい症状ですが、性欲と勃起は別の仕組みで成り立っています。EDが「勃起が維持できるかどうか」の問題であるのに対し、性欲は「性行為をしたいという気持ちが湧くかどうか」に関わる機能です。

「そもそも性行為をしたいと思わない」のか、「性欲はあるのに勃起がうまくいかない」のかで、原因は大きく異なります。ここでは、DHTと性欲の関係を、EDとは切り分けて解説していきます。

「性欲=DHT」ではない(ただし“性欲が落ちた”と感じる人は4割程度いる)

性欲(リビドー)は、陰茎の血流や局所ホルモンだけで決まるものではなく、主に脳(中枢)で生まれる意欲に関わる機能です。そのため、睡眠不足や慢性疲労、強いストレス、不安などが重なると、ホルモン値が大きく変わっていなくても性欲が低下することがあります。

一方で、DHTを下げるAGA治療薬(フィナステリド/デュタステリド)を飲み始めたあとに、「性欲が落ちた」と感じる方が少なくないのも事実です。

当院では、AGA発症経験のある2,538名を対象にインターネット調査を行い、フィナステリド服用経験者741名・デュタステリド服用経験者505名に「EDや性欲減退があったか」を確認しました。

当院調査では、フィナステリド服用経験者の41.3%、デュタステリド服用経験者の41.2%が「性欲低下」を自覚したと回答しました(「性欲低下+EDの両方」を選択した人を含む)。

ただし、これらの結果は「副作用が確実にその割合で起こる」という意味ではありません。添付文書や臨床試験で報告される副作用率よりも高く出ることがあり、その背景としてAGAの好発年齢と、加齢や体調・心理要因による性機能低下の時期が重なりやすいためです。

ホルモンの視点で見ると、フィナステリド/デュタステリドは「テストステロンからDHTが作られるのを抑える薬」で、性欲に直接関わるテストステロンそのものを低下させる薬ではありません。そのため、性欲低下をDHTだけで説明することは現実的ではなく、体調・心理面・生活習慣・EDの有無も含めて総合的に判断することが重要です。

性欲低下が気になるときに見直したいポイント

性欲低下が気になる場合は、まず睡眠不足・慢性疲労・ストレスといった影響を確認することが重要です。性欲は中枢(脳)の影響を強く受けるため、生活の乱れだけで大きく低下することがあります。

次に、「性欲が下がった」のか「勃起がうまくいかない」のかを切り分けましょう。EDへの不安や失敗体験が続くと、気分が盛り上がらず「性欲低下」に見えてしまうこともあります。

また、肥満・高血圧・糖尿病・脂質異常症などの生活習慣病リスクや、服用中の薬の影響も確認します。特にAGA治療薬の開始後から急に変化を感じた場合は、自己判断で中止せず、医師に相談してください(薬の変更や調整、経過観察などを含めて検討します)。

それでも性欲低下が続き、朝立ちの減少や意欲低下、気分の落ち込みなどが重なる場合は、テストステロン低下(LOH症候群)の可能性も含めて評価することが重要です。

加齢と共に性欲が低下していくことは、ある程度は仕方のないことですが、著しい性欲低下は生活の質(QOL)を低下させます。体調をしっかりと整えると共に、健康診断などで生活習慣病や原因となる病気が隠れていないかもしっかりと確認しましょう。

AGA治療薬(フィナステリドデュタステリド)について多い不安が、「性欲が落ちないか」「EDにならないか」といった性機能への影響です。結論として、多くの方では大きな影響はみられませんが、体質によっては性機能低下を自覚することがあります。ここでは、薬の作用と「性機能低下を自覚した際の対応」を簡潔に整理します。

作用機序(DHTを下げる薬)

フィナステリドデュタステリドは、テストステロンをDHTへ変換する5α還元酵素の働きを抑え、毛根周辺で作られるDHTを減らすことで、AGAの進行を抑える治療薬です。

薬の作用の結果として血中DHTも低下しますが、テストステロンそのものを低下させる薬ではありません

副作用としての性機能症状

添付文書上、フィナステリドデュタステリドでは性欲低下や勃起機能の低下などが副作用として記載されています。フィナステリドでは、性欲減退(リビドー減退)1.1%、勃起機能不全(ED)0.7%と記載され、デュタステリド(ザガーロ)0.5mgの日本人120名長期試験では、リビドー(性欲)減退8%、勃起機能不全(ED)11%と報告されています。つまり、そうした変化が薬の影響で起こる可能性があります

⇒ プロペシアの副作用
⇒ ザガーロの副作用

服用開始後に気になる変化があった場合は、自己判断で中断せず、服用開始時期・症状の経過を含めて医師に相談してください。状況に応じて、休薬や薬剤変更、ED治療薬の併用などを検討します。

大切なのは「怖がりすぎず、気になる点があれば医師に確認する」ことです。薬の効果と安全性を両立させることが重要です。

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当院の独自調査(2,538名)|「性機能低下の自覚」はどれくらい?

AGA治療薬(フィナステリド/デュタステリド)について「性欲が落ちるのでは?」「EDになるのでは?」という不安は多く、 当院ではAGA発症経験のある2,538名を対象にインターネット調査を行い、フィナステリド服用経験者741名、デュタステリド服用経験者505名から回答を得ました。(集計:2024年6月14日~20日)。

その結果、なんらかの性機能低下(「ED」または「性欲低下」)を自覚した割合は、フィナステリドでは64.4%、デュタステリドでは73.3%でした。自己申告調査のため薬の影響によるものかは判別できませんが、服用期間中に性機能低下を自覚した方が高い割合でみられました。

※ここでは性機能低下全体を集計しています。

※添付文書は臨床試験ベース、当院調査は自己申告で生活要因も混ざるため、数字は単純比較できません。

当院調査:ED/性欲減退の「自覚」割合(自己申告)
項目 フィナステリド デュタステリド
対象 741人 505人
EDまたは性欲減退
(いずれか/両方)
64.4%
(477人)
73.3%
(370人)
内訳:EDのみ 23.1%
(171人)
32.1%
(162人)
内訳:性欲減退のみ 13.6%
(101人)
17.4%
(88人)
内訳:両方 27.7%
(205人)
23.8%
(120人)
どちらもなし 35.6%
(264人)
26.7%
(135人)

年齢の影響も大きい

性機能は、薬の影響だけでなく年齢・疲労・ストレス・睡眠不足・飲酒・運動不足などの要因でも変化します。AGAが気になって治療を始める年代(30~40代)は、ちょうどED(勃起不全)も増えはじめる年代と重なりやすいのが特徴です。

そのため、服用中にEDや性欲の変化を感じても、薬の副作用とは限らず、加齢や生活要因による変化が同時に起きている可能性があり、服用中の変化を「副作用かも」と捉えるケースも含まれます。気になる症状がある場合は、自己判断で中断せず、開始時期や経過も含めて医師に相談してください(休薬・薬剤変更・ED治療薬の併用などを状況に応じて検討します)。


ED発症率詳細⇒ 年代別のED有病者数調査2025年
AGA発症率詳細⇒ 日本人6000人のうす毛(AGA)発症率2024年

「DHTを下げれば薄毛は止まる?」「DHTを上げれば性欲は戻る?」と考える方は少なくありません。

ただしDHTは、毛根・皮膚・前立腺などの局所で作られて作用する性質があるため、生活習慣だけで「DHTだけ」を狙い通りに上げ下げするのは現実的ではありません。

結論としては、DHTそのものを自己流で動かそうとするより、目的に合った治療(AGA/前立腺/性機能)を選ぶほうが安全で確実です。

自己流での調整はおすすめできない

特に注意したいのは、海外通販や個人輸入の薬を自己判断で使用することです。副作用が出た場合に原因の切り分けが難しく、自己判断で中断・再開を繰り返すと不安が強まって長引くことがあります。令和6年と令和3年の最近の厚生労働省の健康被害報告でも、インターネットで入手した未承認のAGA治療薬について、服用後に性機能や気分の変化が長期に続いた例や、肝機能障害で入院治療を要した例が報告されています(厚生労働省:個人輸入に関する健康被害報告)。

参照 インターネット等で購入した未承認医薬品等・健康食品(医薬品成分含む)の健康被害情報|厚生労働省

医療で行う場合(目的別)

AGAでは5α還元酵素阻害薬やミノキシジル外用などを組み合わせ、薄毛の進行を抑えます。前立腺肥大症では症状や前立腺の状態に応じて薬を選ぶことが重要なため、泌尿器科で検査結果に基づいた医師の判断を仰ぎましょう。

ミノキシジル内服薬は厚生労働省未承認のため服用しないでください。
ミノキシジルタブレット(ミノタブ)の危険性

一方で「DHTを上げる治療」は一般的ではなく、メリットも少ないです。性欲低下や意欲低下が続く場合は、DHTよりもテストステロン低下(LOH症候群)があるかどうかなどを確認するようにしましょう。

サプリは補助(過度に期待しない)

サプリは不足しやすい亜鉛や鉄、ビタミンなどの栄養素を補う目的では有用なことがありますが、サプリだけでDHTをコントロールすることは難しいのが現実です。「DHTを下げる」「薄毛が治る」などの強い表現をうたう商品(例:ノコギリヤシを含んだ製品など)には注意し、治療中の方は追加前に医師や薬剤師へ相談しましょう。

Q DHT(ジヒドロテストステロン)とは何ですか?テストステロンとどう違いますか?

A DHTは、テストステロンが5αリダクターゼ(5α還元酵素)で変換されてできる、作用の強い男性ホルモン(アンドロゲン)です。テストステロンが全身で幅広く働くのに対し、DHTは毛根・皮膚・前立腺などの局所で作られてその場で作用しやすいのが特徴です。

関連 DHTとは(テストステロンとの違い)作られ方(5αリダクターゼ)

Q 血液検査でDHTを測れば、AGA(薄毛)になりやすいか分かりますか?

A 一般的には血中DHTの数値だけでAGAのなりやすさや進行度は判断できません。AGAは、頭皮や毛根などの局所で「どれだけDHTが作られ、どれだけ反応するか(感受性)」が影響します。そのため、評価は血液検査よりも見た目の変化や診察所見が中心になります。

関連 血中DHTの誤解ポイント

Q DHTが高い(低い)と、体にどんな影響がありますか?

A DHTは男性の体づくり(体毛・皮脂・前立腺の発達など)にも関わる一方、体質によってはAGA(薄毛)や前立腺肥大の方向に影響が出やすいと考えられます。逆に「DHTが低い=必ず性欲が落ちる/EDになる」といった単純な関係ではなく、性機能は血流・神経・心理・生活習慣など複数要因で変動します。

関連 DHTとEDの関係DHTと性欲低下の関係

Q フィナステリド/デュタステリドで、EDや性欲低下はどれくらい起こりますか?

A 添付文書では、性欲低下や勃起機能低下が副作用として記載されていますが、頻度は高くないとされます。一方で、服用中の体調・ストレス・加齢の影響も重なるため、「薬のせいかも」と感じる方が出ることがあります。当院調査では、フィナステリド64.4%、デュタステリド73.3%で性機能低下があったと回答されましたが、自己申告(自覚)であり因果関係を確定するものではありません。気になる場合は、開始時期と症状の変化を整理して医師に相談してください。

関連 AGA治療薬と性機能の不安当院の独自調査

Q 服用開始後にEDが出た気がします。自己判断で中止していいですか?

A 自己判断での中断・再開はおすすめできません。EDは薬以外にも、睡眠不足・疲労・ストレス・飲酒・生活習慣病リスクなどで変動します。まずは服用開始時期/症状の出方/他の体調変化を整理し、医師に相談しましょう。状況に応じて、経過観察・薬剤調整・ED治療薬の併用などを検討します。

関連 DHTとED(勃起不全)の関係

Q ノコギリヤシなどのサプリでDHTは下げられますか?

A サプリは栄養補助として役立つことはありますが、サプリだけでDHTを狙い通りにコントロールするのは現実的ではありません。また、薬との併用や体質によっては体調変化が出ることもあります。「DHTを下げる」「薄毛が治る」など強い表現の製品は過度に期待せず、治療中の方は追加前に医師・薬剤師に相談してください。

関連 サプリの位置づけ

Q DHTと前立腺肥大は関係がありますか?

A 前立腺ではテストステロンがDHTへ変換されやすく、DHTが前立腺の増殖や維持に関与します。そのため、前立腺肥大症では5α還元酵素阻害薬が治療に用いられることがあります。ただし、血中DHTの数値だけで前立腺肥大の有無や重症度は判断できないため、症状がある場合は泌尿器科で評価を受けることが大切です。

関連 DHTと前立腺の関係

院長 竹越 昭彦 たけこし あきひこ
略歴
  • 1966年 生まれ
  • 1991年 日本医科大学卒業
  • 1991年 日本医科大学付属病院
  • 1993~2002年 東戸塚記念病院 外科
  • 2004年10月 浜松町第一クリニック開院
料金表・
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